米モルガンSの企業文化に異変、次期CEOはリテール部門ゴーマン氏

米金融大手モルガン・スタンレ ーのジェームズ・ゴーマン氏(51)は、ウォール街に来て10年に なる。近く、数少ないこの街の生き残り組企業のトップとなる。

コンサルタント会社マッキンゼー出身の同氏はモルガン・スタ ンレーでリテール(小口)ブローカー部門を率い、他部門のトレー ディング収入がどん底の間、同社を支えた。モルガン・スタンレー は10日、同氏を次期最高経営責任者(CEO)とする人事を発表し た。就任は来年1月1日。

弁護士で出自はオーストラリア人の同氏は今年、米銀シティグ ループから経営権を取得したブローカー部門スミス・バーニーを自 社部門と統合し、ウォール街最大の個人向け証券事業を立ち上げる のに活躍した。投資銀行部門バンカーやトレーダー出身でない同氏 の経歴はウォール街幹部としては異例だと、マンハッタン大学の経 済・金融学教授、チャールズ・ガイスト氏は指摘する。

ウォール街の歴史についての著書のある同氏は、モルガン・ス タンレーにとって「大々的な企業文化の変化だ」として、「投資銀行 部門のバンカーへのメッセージは、流通経路は以前よりも幅広くな ったということだ。商品を販売する拠点は増える」と述べた。

2005年に就任したジョン・マック現CEOは、65歳になる今 年11月をめどにCEOを退き会長専業となる意向を、1年半前に取 締役会に伝えていた。その1年半の間に、金融危機が同業他社をな ぎ倒し、モルガン・スタンレーも株価は急落、政府の資本注入を受 け入れるという創業以来の波乱を経験した。

モルガン・スタンレーは商業銀行と投資銀行の分業を義務付け た1933年のグラス・スティーガル法導入に伴い、米銀JPモルガ ンから分離し、独立した投資銀行となった。そのモルガン・スタン レーは昨年、預金や米連邦準備制度理事会(FRB)の支援で危機 を乗り切るため、銀行持ち株会社に転身した。

政府資金は返済したものの、今年4-6月(第2四半期)は3 四半期連続の赤字だった。株価は昨日時点で依然、前年同期から 26%、07年に付けたピークからは61%安い。ゴーマン氏は10日の インタビューで、「今必要なのは、日々の業務の執行に集中していく ことだ」と語った。また、トレーディングや投資銀行業務を軽視す ることはしないと表明し、最近に面談した顧客の多くは機関投資家 だと説明した。

マック氏はCEO就任後すぐにゴーマン氏を起用し、ブローカ ー部門立て直しを同氏に託した。モルガン・スタンレーは1997年 にディーン・ウィッター、ディスカバーとの合併でリテール事業を 抱えたが、フィリップ・パーセル前CEOは事業統合に成功してい なかった。

ゴーマン氏は500人のブローカー解雇を断行した。ブローカー らは同氏を外部からの侵入者と感じていたかもしれないが、実は同 業務での経験も長いと同氏は語っている。

同氏がモルガン・スタンレーに加わったころ、一部のアナリス トは同社が最終的にはリテールブローカー部門を売却すると予想し ていた。ゴーマン氏はシティのスミス・バーニー部門との合弁事業 立ち上げを今年5月末に完了させ、逆に同事業を拡大した。

ゴーマン氏とともに米国証券業者協会(SIA)の理事を務め たマーク・ラクリッツ氏は、ゴーマン氏のリーダーシップのオープ ンなスタイルを高く評価。ゴーマン氏について「オープンで透明、 頭脳明晰であることで、部下たちから信頼を集めた」と語った。

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