9月10日の海外株式・債券・為替・商品市場

◎外国為替市場

ニューヨーク外国為替市場ではドルが対ユーロで続落。連日で 年初来安値を更新した。米国の低金利を背景にドルを売って、高金利 通貨を買う動きが広がった。

ポンドはほとんどの主要通貨に対して上昇。イングランド銀行 (英中央銀行)が国債購入の額を据え置いたため、当局は景気回復が 予想通り進んでいると判断しているとの思惑が広がり、買いが入った。 120億ドル規模の米30年債入札では需要が予想を上回ったため、利 回りが低下。これを受けて、ドルは対円で下げ幅を拡大した。

オーガスタス・アセット・マネジャーズの運用担当者、エイドリ アン・オーウェンス氏(ロンドン在勤)は「米国は利上げに動くのが 最も遅い国の1つになるとの見方が強まっている。それがドルを圧迫 している」と語った。

ニューヨーク時間午後4時11分現在、ドルは対ユーロで0.2% 安の1ユーロ=1.4585ドル(前日は1.4557ドル)。一時は

1.4613ドルと、昨年12月18日以来の安値をつけた。ドルは円に 対して0.4%下落し、1ドル=91円72銭(前日は92円4銭)。一 時は2月16日以来の円高・ドル安水準となる91円44銭をつけた。 ユーロは対円で1ユーロ=133円77銭(同133円99銭)。

日米利回り差

30年債は5日ぶりに上昇した。同国債入札で最高落札利回りが

4.238%と3月以来の低水準になったことが背景。応札倍率は

2.92%と07年11月以来の高水準となった。

米10年債の10年物日本国債への上乗せ利回りは2.03ポイン トと、前日の2.15ポイントから縮小。米国債の魅力が弱まった。

ポンド高

ポンドは対ドルで最大0.8%高の1ポンド=1.6687ドル。8月 10日以来のポンド高水準となった。対ユーロでは0.6%上昇。

イングランド銀行は10日の金融政策委員会(MPC)で、資産 買い取りプログラムの規模を現行の1750億ポンド(約26兆7500 億円)に据え置くことを決めた。ブルームバーグ・ニュースがまとめ たエコノミスト調査では、35人全員が資産買い取り規模の現状維持 を予想していた。

TDセキュリティーズのチーフ為替ストラテジスト、ショーン・ オズボーン氏(トロント在勤)は「市場は英中銀が追加の資産買い取 りを導入するのではないかと懸念していた。しかし、実際には何もし なかった。ポンドは今後2カ月、上昇を追う可能性がある」と述べた。

カナダ、スイス

カナダ・ドルは対米ドルでほぼ変わらず。カナダ中銀は政策金利 を過去最低の0.25%で据え置いた。また、今年7-12月(下期) の景気回復ペースが予想より速い兆しがあるとしながらも、カナダ・ ドルの上昇が景気回復の抑制要因になっていると指摘した。

スイス・フランは対ドルで08年7月以来の高値を付けた後、下 げに転じる場面があった。対ユーロでも安い。スイス国立銀行(SN B)がフラン押し下げを狙って介入を実施するとの憶測が流れた。S NBのニコラス・ヘイモズ報道官はコメントしなかった。

スイスの地方銀行ルザーナー・コントナルバンクの通貨トレーダ ー、マーティン・フラー氏は「SNBが市場介入するとの憶測があっ たが、それ以上のことは聞かなかった。介入する公算は大きいとは思 わない」と指摘した。

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)の ドル指数は一時0.5%安の76.699と、08年9月26日以来の安値 をつけた。3月に付けた年初来高値89.624からは14%下げている。

◎米国株式市場

米株式相場は続伸。S&P500種は昨年11月以降で最長の5 日連続高を記録した。原油需要見通しの上方修正をきっかけにエネル ギー株に買いが入ったほか、週間失業保険申請件数が7月以来の低水 準だったことも好感された。

石油のシェブロン、油田サービスのシュルンベルジェはいずれ も上昇。国際エネルギー機関(IEA)は中国の消費や予想を上回る 旺盛な米国の消費を理由に、石油需要の拡大を指摘した。電話事業者 のAT&Tを中心に電話株が上昇。調査会社が米アップルは引き続き 携帯電話端末「iPhone(アイフォーン)」の独占事業者にAT &Tを選定する可能性があるとの見方を示したのが、買いにつながっ た。

米労働省が朝方発表した今月5日に終わった1週間の新規失業 保険申請件数(季節調整済み)は55万件と、前週の57万6000件 (速報値57万件)から減少した。ブルームバーグ・ニュースがまと めたエコノミスト予想の中央値は56万件だった。シカゴ・オプショ ン取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX)は、7月以来 の水準に下げた。

USAAインベストメント・マネジメントのワシフ・ラティフ 氏は、「失業保険申請件数は、米国の景気が底入れした可能性を示唆 する新たな材料だ」と述べた。

S&P500種株価指数は前日比1%高の1044.14。ダウ工業株 30種平均は80.26ドル(0.8%)上昇して9627.48ドル。

ガイトナー財務長官

ガイトナー米財務長官は10日、政府が金融危機対策として実 施した異例の処置の一部について、「徐々に縮小し始める必要があ る」と表明。「米政府は危機対応から回復過程への対応に移行する」 と述べた。同財務長官は米議会監視・政府改革委員会で証言した。同 長官の発言後、米国株は上げ幅を拡大した。

S&P500種は今年3月9日の12年ぶり安値から54%値を戻 した。経済統計からリセッション(景気後退)が緩和されつつあるこ とが示唆されたほか、医療品メーカーのジョンソン・エンド・ジョン ソンからゴールドマン・サックス・グループに至るまで多数の企業決 算がアナリスト予想を上回る好調だったのが背景。

ブルームバーグの週間データによると、S&P500種の株価収 益率(PER)は約19倍と、04年6月以来の高水準だった。今年 3月には24年ぶり低水準の10.11倍を記録した。

シェブロン、AT&T

シェブロンは1.6%高、シュルンベルジェも1.9%値上がりし た。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物10月限は前 日比0.88%高の1バレル=71.94ドルで終了した。

この日の電気通信株は2.1%高と、S&P500種産業別10指 数の中で値上がり率トップだった。AT&Tは2.4%上昇で取引を 終えた。

オンライン検索のヤフーも上昇。バンク・オブ・アメリカ(B OA)がヤフー株の買いを推奨したのが材料視された。S&P500 種テクノロジー株価指数は1.3%高。年初からの値上がり率は43% となった。

◎米国債市場

米国債相場は大幅上昇。財務省がこの日実施した120億ドルの 30年債入札で需要の強さが明らかになったことを好感した。

30年債はほぼ6カ月ぶりの大幅高。入札の最高落札利回りは

4.238%と、3月以来の最低となった。ブルームバーグ・ニュースが まとめた事前予想では4.289%が見込まれていた。

キャボット・マネー・マネジメントの債券ポートフォリオマネジ ャー、ウィリアム・ラーキン氏は「政府側からすれば、低金利で借り 入れができるので願ってもないことだ」と指摘。「景気回復の持続性 について、一部に健全な懐疑論が浮上している。弱い雇用データを背 景に期間の長い国債の魅力が高まっている」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時19分現在、30年債利回りは前日比12ベーシスポイント (bp、1bp=0.01ポイント)低下の4.20%。一時は17bp低 下する場面もあった。30年債(表面利率4.50%、2039年8月償 還)価格は2 6/32上げて105。

この日の入札で、投資家の需要を測る指標の応札倍率は2.92倍 と、07年11月以来の最高となった。過去10回の入札の平均は

2.31倍。海外の中央銀行を含む間接入札の割合は46.5%。過去10 回の入札の平均は34.5%となっている。

30年債入札

ミラー・タバクの主任経済ストラテジスト、ダン・グリーンハウ ス氏は顧客向けリポートで、「財務省にとっては文句のつけようのな い入札だった」と指摘。「様々な要素が絡み合った結果だ。そのなか には景気回復に対する不信感や、世界経済に注入された大量の流動性 を支えるのに、米国債市場以外に十分な規模と流動性を持つ市場は数 少ないという事実が含まれる」と記述した。

2年債と30年債の利回り格差は331bpと、過去の平均の約3 倍に拡大している。08年末には191bpだった。

今週の入札で国債への力強い需要が示されたことは、ドル安でド ル建て資産が敬遠されるとの懸念緩和にも貢献した。

CRTキャピタル・グループ(コネティカット州スタンフォー ド)のシニア国債ストラテジスト、イアン・リンジェン氏は「ドルの 変動と国債入札との相関関係はほとんどみられず、驚くほどだ」と指 摘した。

低金利の恩恵

信用市場の別の分野でも低い金利水準による恩恵が表れている。 米政府の公的管理下にあるファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレ ディマック(連邦住宅貸付抵当公社)の住宅ローン担保証券の利回り が約3カ月ぶりの低水準となった。新規の住宅ローン金利が一段と低 下し、住宅市場のてこ入れにつながる可能性がある。

ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストらによると、 米家計と企業の負債圧縮を支援するため、米政策金利は「長年」にわ たり低水準にとどまる見通しだ。

◎金先物市場

ニューヨーク金先物相場はほぼ変わらず。朝方は軟調に推移した が、ドルが対ユーロで軟化したために代替投資資産としての魅力が高 まり、下げ渋った。

ドルは対ユーロで一時は0.4%安となった。金は一時1.4%下 げる場面もあった。金は8日に1009.70ドルと2008年3月以来の 高値を付けた。この日も通常取引終了後の時間外取引で一時1000ド ルを超えた。

ヘレウス・プレシャス・メタルズ・マネジメントのセールス担当 バイスプレジデント、ミゲル・ペレスサンタラ氏(ニューヨーク在 勤)は電子メールで「この日の金はドルの軟調を受けて底堅くなっ た」と指摘した。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 12月限は前日比30セント安の1オンス=996.80ドルで取引を終 えた。

◎原油先物市場

ニューヨーク原油相場は続伸。国際エネルギー機関(IEA)が 来年の世界石油需要予測を2カ月連続で上方修正したことを好感した。 ドルが対ユーロで大幅に値下がりしたことも買い材料。

IEAはこの日発表した月報で、来年の世界需要は日量平均 8570万バレルになるとの見通しを示した。8月時点の予想を45万 バレル上回る水準となる。ドルが対ユーロで年初来安値に下げたこと も、インフレヘッジとしての需要増加につながった。

MFCグローバル・インベストメント・マネジメント(ボスト ン)のマネジングディレクター、チップ・ホッジ氏は、「IEAの明 るい需要見通しは原油価格の支えになるだろう」と指摘。「冬も近づ いており、いずれにせよ需要は上向き方向だ」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物10月限は前 日比0.63ドル(0.88%)高の1バレル=71.94ドルで終了した。 年初来では61%値上がり。

◎欧州株式市場

欧州株式相場は6営業日連続で上昇。ダウ欧州600指数は11 カ月ぶり高値を更新した。小売り銘柄が大幅安となったものの、テク ノロジー株の上昇が同指数を押し上げた。

オランダの半導体製造装置メーカー、ASMLホールディングは、 売上高見通しの引き上げを好感されて上昇した。英仏海峡トンネルを 運営するグループ・ユーロトンネルは過去2年で最大の上げとなった。 仏証券会社シュブルーが投資判断を引き上げたことが好感された。

一方、英小売り大手のホーム・リテール・グループは6.7%安。 過去3カ月で2回目となった住宅関連用品部門ホームベースの利益率 目標引き下げが売りを誘った。

ダウ欧州600指数は前日比0.2%高の240.47と、昨年10月 7日以来の高値で終了。同指数は3月9日以降では52%上げている。 ブルームバーグのデータによれば、同指数構成銘柄の株価収益率(P ER)は46.3倍と、2003年以来の高水準となった。

オフィ・パトリモアン(パリ)のファンドマネジャー、ジャッ ク・ポルタ氏は「非常に高いパフォーマンスの後も、なお相場には妙 味がある。マクロとミクロの両面で、企業ニュースは支援材料のよう だ。短期的に相場上昇が加速する可能性がある」と語った。

英銀ロイズ・バンキング・グループのハリファックス部門が10 日発表した8月の英住宅価格は前月比0.8%上昇し、2カ月連続の プラスとなったが、エコノミスト予想の1%上昇を下回った。

イングランド銀行(英中銀)はこの日の金融政策委員会(MP C)で資産買い取りプログラムの規模を維持した。キング総裁ら9人 から成るMPCは政策金利も0.5%に据え置いた。いずれも事前予 想通りの結果だった。

10日の西欧市場では、18カ国中10カ国で主要株価指数が上昇。 ダウ・ユーロ50種指数は前日比0.1%下落した一方で、ダウ・欧州 50種指数は0.1%上げた。

ASMLは2.2%上昇。ダウ欧州600指数を構成する19産業 別グループのなかで、テクノロジー銘柄は1.4%高となった。

欧州最大の半導体メーカー、STマイクロエレクトロニクスは 2%上昇、同2位の独インフィニオン・テクノロジーズは3%上げた。

◎欧州債券市場

欧州債相場は上昇。ドイツ10年債利回りは約4週ぶり高水準か ら低下した。欧州中央銀行(ECB)は9月の月報で、ユーロ圏の景 気回復が「まだら模様」と述べたのが材料となった。

ドイツ2年債利回りも低下。ECBはインフレは抑制された状 態が続くと指摘、月報の見解は当局者が景気刺激措置の解除を急がな い姿勢を示唆した。フランスの7月の鉱工業生産は前月比で0.1% 増、ブルームバーグがまとめたアナリスト予想の伸び(0.4%増)に は届かなかった。

フランクフルト・トラスト・インベストメントの資産配分責任 者、クリストフ・キント氏は「経済指標がこのまま好調な結果を示し 続ける可能性は低い。これが短期的に国債相場を押し上げている」と 述べた。

ロンドン時間午後5時30分現在、10年債利回りは6ベーシス ポイント(bp、1bp=0.01ポイント)下げて3.30%。同国債 (表面利率3.5%)価格は0.49ポイント上げ101.63。2年債利回 りは1.22%と、前日から5bp下げた。

◎英国債市場

英国債相場は上昇。株式相場の下落を背景に比較的安全な資産で ある国債に対する需要が高まった。

2年債利回りは前日比6ベーシスポイント(bp、1bp=

0.01ポイント)低下し0.89%。10年債利回りは3.68%と、前日 を8bp下回った。

イングランド銀行(英中銀)は10日の金融政策委員会(MP C)で資産買い取りプログラムの規模を維持することを決定した。キ ング総裁ら9人から成るMPCは政策金利も過去最低の0.5%に据 え置いた。いずれも予想通りの結果だった。

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