日興シティG江夏氏:民主党政権、地方債の信用支援につながる公算

日興シティグループ証券シニアク レジットアナリストの江夏あかね氏は9日のセミナーで、信用格差の広 がりが懸念されている地方債について、民主党政権が創設を検討してい る「地方財政調整・財源保障制度」が下支え要因となる可能性があると の見通しを示した。

民主党は、政権公約の中で、地域主権の確立とともに、中央政府か らの「ひも付き補助金」を廃止し、地方自治体が自由に使える一括交付 金の交付を明示。地方の財源不足や自治体間の財政格差拡大に対応する ため、新たに同制度の創設を提言している。

こうした政策に関して、江夏氏は、「財源保障の機能の充実、強化 は、制度設計によっては、地方公共団体のクレジットを下支えする要因 になる可能性がある」と述べ、「国と地方のみならず、地方と地方の関 係に関しても議論できる機会になる」と解説した。海外の例として、ド イツでは州の財政が危機に陥った場合、連邦政府と全ての州が支援する 連帯責任を負っているという。

また、地方自治体の財政悪化を背景に、地方公共団体財政健全化法 が今年4月に本格施行。これにより地方公共団体は健全化判断比率など の公表が義務付けられており、2008年度決算に基づく数値が09年秋ご ろに公表される見通し。

江夏氏は、「民主党の政権公約において、特に地方公共団体のクレ ジットが大幅に変化する可能性のある部分は見受けられない」と分析。 「地方債のクレジット・スプレッドは、国債金利およびボラティリティ ー(変動率)に大幅な変化がなければ当面安定して推移する」という。

総務省が公表した「2010年度地方債計画(案)」によると、地方債 計画額は前年度に比べて1兆4444億円増加、10.2%増加の15兆6288 億円。地方税の減少などで地方財源の不足が見込まれ、臨時財政対策債 の発行などを通じて歳入を確保する構図となっている。

一方、財投機関債に関しては、独立行政法人の整理合理化や高速道 路の原則無料化に注目。江夏氏は、「日本高速道路保有・債務返済機構 の債務の国債承継の方向性はポジティブであるが、時期や詳細が固まっ ていないため、現時点でのクレジットの影響を分析するのは時期尚早」 と指摘した。機構の07年度末債務残高は35兆1848億円(債券を簿価 で計上した合計)。

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