8月の国内企業物価は前年比8.5%低下-下落率は横ばい

8月の国内企業物価指数は、前年 比の下落率が2カ月連続で過去最大となった前月から横ばいだった。 昨年夏にピークを付けた原油価格高騰の影響がはく落しつつあるため 下げ止まりつつあるが、景気が昨年秋以降大きく落ち込んだ影響から、 企業物価の下落は長期化する公算が大きい。

日本銀行が10日発表した8月の国内企業物価指数は前年同月比

8.5%低下と8カ月連続マイナス。前月比は横ばいとなった。ブルーム バーグ・ニュースの予想調査は前年同月比が8.4%低下、前月比が

0.2%上昇。7月の確報値は前年同月比8.5%低下、前月比0.4%上昇 だった。

原油相場は昨年7月に1バレル=147ドルの最高値を付けた後、 急速に下落に転じた。昨年の原材料価格高騰の反動は徐々に薄れてい くため、企業物価指数は前年比では近く下げ止まる可能性が大きい。 しかし、個人消費や設備投資など国内最終需要の低迷から製商品需給 が緩んでおり、企業物価指数は当面マイナスが続く見通しだ。

8月も引き続き、前年比では石油・石炭製品、鉄鋼、化学製品な ど、昨年の同時期に高騰した素材関連の製商品の値下がりが全体を押 し下げた。前月比では逆に、このところの国際商品市況の値上がりを 受けて、非鉄金属、石油・石炭製品、スクラップ類、プラスチック製 品などが上昇した一方、最終需要の低迷を受けて、農林水産物や輸送 用機器、一般機器など幅広い品目が下落した。

なお残る巨大な需給ギャップ

4-6月の実質GDP(国内総生産)成長率は前期比年率3.7% 増と5期ぶりにプラスに転じたが、日本全体の需要と供給の乖離(か いり)を示す需給ギャップはGDPのマイナス7.4%、実額にして40 兆円程度と、引き続き大幅な需要不足が続いている。11日には同期の 実質GDP成長率の2次速報値が発表される。

バークレイズ・キャピタル証券の森田京平チーフエコノミストは 「国内の需要不足に根差す『ホームメード型(国産型)デフレ』が徐々 に姿を現し始めるだろう。物価の下落が幅広い品目に広がることで、 国内企業物価指数の前年比マイナスが解消されるにはまだしばらくか かりそうだ」と指摘する。

日銀は8月の金融経済月報で、国内企業物価指数の先行きについ て「製品需給が緩和した状態が続く下で、当面、緩やかな下落を続け るとみられる」と指摘した。日銀の白川方明総裁は先月31日、大阪市 内で講演し、物価の先行きについて「下落幅は縮小していく」としな がらも、「物価の下落圧力は長い期間にわたって残るとみている」と述 べ、物価の下落が長期化する可能性を示唆した。

デフレスパイラルのリスクは

白川総裁は「大事なことは、こうした物価の下落が景気悪化をも たらし、さらなる物価下落につながる悪循環、いわゆるデフレスパイ ラルに陥る可能性があるかどうかだ」と指摘。重要な判断ポイントと して、①金融システムの安定が維持されているかどうか②企業や家計 の中長期的なインフレ予想が下振れることがないか-を挙げた。

白川総裁はその上で、金融システムについて「総じて安定してお り、この面からはデフレスパイラルに陥るリスクが高まっているとは 判断していない」と言明。さらに、「各種アンケート調査や市場動向を みる限り、これまでのところ企業や家計における中長期的なインフレ 予想は安定的に推移している」と語った。

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