9月9日の海外株式・債券・為替・商品市場

◎外国為替市場

ニューヨーク外国為替市場ではドルが下落。主要6通貨に対する インターコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数はほぼ1年ぶり の安値をつけた。借り入れコストが記録的な低水準にあり、ドルを売 って高金利通貨を買う動きが促進された。

リスク許容度が高まり、主要通貨の対ドルでの上昇ではノルウェ ー・クローネと韓国ウォンの上昇が目立った。米連邦準備制度理事会 (FRB)が午後に発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、 個人消費はなお低調だと指摘されたことが伝わると、ドルは下げ渋っ た。

ドイツ銀行の通貨戦略のグローバル責任者、バイラル・ハフィー ツ氏(ロンドン在勤)は「リスクをとって投資する際、資金調達通貨 としてドルが使われている」と指摘した。

ニューヨーク時間午後4時14分現在、ドル指数は0.4%安の

77.029。一時は0.7%安の76.803と、2008年9月26日以来の低水準 に下落した。

ドルは対ユーロで0.5%安の1ユーロ=1.4556ドル(前日は

1.4478ドル)。一時は1.4601ドルと、昨年12月18日以来の安値を つけた。円は対ドルで一時0.8%上昇し、2月17日以来の円高・ド ル安水準となる1ドル=91円61銭まで買い進まれる場面があった。 対ユーロでは0.2%安の1ユーロ=133円99銭(同133円67銭)。

ベージュブックは「大半の地区では個人消費はなお低調だ。借り 入れ需要は弱く、多くの地区連銀は融資基準がなお厳しいと報告し た」と説明した。これを材料にドルはやや下げ渋った。今回の報告は 22―23日に開催される次回米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で の討議資料となる。

ドルが調達通貨に

今週、ロンドン銀行間貸出金利(LIBOR)市場でドルが最も 低い調達金利通貨となり、高利回り資産を購入する際の資金調達手段 としての魅力が高まった。英国銀行協会(BBA)によると、3カ月 物ドル建てLIBORはこの日、0.299%と過去最低を記録した。一 方、スイス・フラン建ては0.307%、円建ては0.370%。

低金利通貨で資金を調達し、高金利通貨で運用するキャリー取引 が強まるとの思惑を背景に、ドルはクローネやウォンに対して下落し た。

ドル安基調の再開か

シティグループのアナリストによると、ユーロが対ドルで

1.4622ドルを上抜くと、ドルの「中期的な下降トレンドが再開す る」という。

シティのアナリスト、トム・フィッツパトリック氏とシャム・デ バニ氏は9日付リポートで、この水準はユーロにとって1.4509ドル の次の「短期的な抵抗線」だと指摘。同水準はトレーディングレンジ の上限にあたり、ユーロ売り注文が大量に控えているとの見方を示し た。また、同水準はフィボナッチ分析の61.8%戻しにもあたるとい う。

英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RB S)の通貨ストラテジスト、グレッグ・ギブズ氏はリポートで、円が キャリー取引の調達通貨としての地位をドルに明け渡し、対ドルで上 値を伸ばす可能性があるとの考えを明らかにした。

さらに、「今後数カ月、円は対ドルで対欧州通貨で強含むだろう。 高リスク・高利回りの資産や通貨を調達する資金として、円からドル、 さらには欧州通貨への交替が続く可能性がある」と指摘した。

一方、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン)の シニア為替ストラテジスト、マイケル・ウールフォーク氏は円がこの 日、対ドルでつけたほぼ7カ月ぶりの高水準は維持するのは困難かも しれないと述べた。その理由として、景気が回復することなく円が上 昇するのを日銀が容認しそうにないことを挙げた。

◎米国株式市場

米株式相場は上昇。S&P500種株価指数は11カ月ぶり高値を 記録した。ゴールドマン・サックス・グループが鉱工業銘柄の買いを 推奨したほか、投資家のマイケル・プライス氏が米株に投資妙味があ ると述べたのが買い材料となった。

複合電機大手ゼネラル・エレクトリック(GE)は今年1月以来 の高値に上昇。イリノイ・ツール・ワークスも大幅高を記録した。ゴ ールドマンは製造業が成長を再開すると、複合的な鉱工業企業の株価 が特に上昇する傾向にあると指摘した。

インターネット競売大手eベイも上昇。サンフォード・C・バー ンスティーンがeベイの中核事業であるオンライン競売は「回復しつ つある」との見方を示したのが好感された。この日のドルは主要6通 貨に対してほぼ1年ぶりの安値に落ち込んだ。原油相場は上昇した。

S&P500種株価指数は4日続伸。前日比0.8%高の1033.37。 ダウ工業株30種平均は49.88ドル(0.5%)上昇して9547.22ドル。

ファースト・シティズンズ・バンクシェアーズ(ノースカロライ ナ州ローリー)のエリック・ティール氏は、「鉱工業銘柄の株価は昨 年末の水準まで戻っていない。ここにアナリストは注目し、株式の投 資判断を引き上げている。景気が回復したらより高いリターンが期待 できる」と語った。

ベージュブック

米連邦準備制度理事会(FRB)が発表した地区連銀経済報告 (ベージュブック)によると、全12地区連銀のうち11連銀が7-8 月の経済活動の安定化もしくは改善の兆候を報告した一方で、小売売 上高は「横ばい」、労働市場は「軟調」との見方が示された。ベージ ュブックの発表後、株価は値上がり分を削られた。ベージュブックは 連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される2週間前に発表される。

S&P500種は今年3月9日の12年ぶり安値から53%値を戻し た。経済統計からリセッション(景気後退)が緩和されつつあること が示唆されたほか、医療品メーカーのジョンソン・エンド・ジョンソ ンからゴールドマンに至るまで多数の企業決算がアナリスト予想を上 回る好調だったのが背景。

米資産運用会社、MFPインベスターズ(ニューヨーク)を経営 するプライス氏はブルームバーグのインタビューで、米株式相場の様 相は1975-1982年に似ていると指摘した。S&P500種はこの間2 倍に上昇した。同氏は「75年から82年にかけて非常に高いリターン を出した」と述べた。

GE、イリノイ・ツール

GEは2.6%高。イリノイ・ツールは5%上昇した。ゴールドマ ンはイリノイ・ツールを「コンビクション・バイ(強い買い推奨)」 に加えた。

ゴールドマンは複合的な鉱工業企業の株式投資判断を「ニュート ラル」から「アトラクティブ」に引き上げた。同社は、米供給管理協 会(ISM)の発表する製造業景況指数が、製造業の拡大と縮小の境 目を示す50を上回ると、複合企業の株価パフォーマンスがS&P500 種を上回る傾向があると指摘した。

8月のISM製造業景況指数は52.9と予想以上の伸びだった。

S&P500種鉱工業株価指数は1.6%高、産業別10指数のうち、 値上がり率トップだった。

eベイは上昇。バーンスティーンは同社の株式投資判断を「マー ケットパフォーム」から「アウトパフォーム」に引き上げた。

クレジットカード・ネットワーク2位のマスターカードと、同業 のキャピタル・ワン・ファイナンシャルも高い。シティグループは両 社の株式投資判断を引き上げた。

◎米国債市場

米国債相場はほぼ変わらず。米財務省はこの日、発行額200億ド ルの10年債入札を実施した。最高落札利回りは3.510%と、ブルー ムバーグ・ニュースがプライマリーディーラー18社のうちの10社を 対象にまとめた予想平均3.530%を下回った。

米連邦準備制度理事会(FRB)が公表した地区連銀報告(ベー ジュブック)によると、大半の地区で引き続き消費が低迷し、すべて の地区で労働市場が「引き続き弱い」と判断された。

ウェルズ・ファーゴ・キャピタル・マネジメント(ミルウォーキ ー)で約30億ドルの債券運用に携わるジェイ・ミューラー氏は「こ の日の入札はどこから見ても順調だった。ただ長期的には、国債発行 増の影響が広がるとみられる。その結果、インフレ期待や財政赤字へ の悪影響をめぐり不安が頭をもたげることになろう」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時23分現在、10年債利回りは前日比1ベーシスポイント (bp、1bp=0.01ポイント)低下の3.47%。10年債(表面利率

3.625%、2019年8月償還)価格は3/32上げて101 9/32。

地区連銀報告は、米リセッション(景気後退)の最悪局面は過ぎ たものの、なお広範にわたる成長は表れていないと指摘。「借り入れ 需要は弱く、銀行の融資基準も引き続き厳しいと報告した」と記述し ている。

「入札、まあまあ順調」

BNPパリバ・セキュリティーズのトレーダー、ヒチャム・ハジ ャム氏(ニューヨーク在勤)は、「ベージュブックは厳しい内容だっ た」と指摘。「当局の見方に劇的な変化は何もなく、引き続きペース の遅い成長が予想されている。国債相場にとってはマイナスよりもプ ラスだ」と述べた。

この日の10年債入札で、投資家の需要を測る指標の応札倍率は

2.77倍と、過去10回の入札平均の2.49倍を上回った。海外の中央 銀行を含む間接入札の割合は55.3%と、05年11月以来の最大となっ た。過去10回の入札の平均は30.8%。

モルガン・スタンレー・スミス・バーニーの債券ストラテジスト、 ケビン・フラナガン氏(ニューヨーク在勤)は、「入札の結果はまあ まあ順調だった」とし、「先週の利回り水準だったならば、この実現 は困難だっただろう」と述べた。

10年債利回りは6月に4%に上昇。米景気が戦後最悪の景気後 退から回復しつつあるとの兆しをみせるなか、記録的規模の国債供給 が需要を大幅に上回るとの懸念が広がっていた。

「大量の国債」

前日の3年債380億ドルの入札でも予想を上回る強い需要が示さ れた。最高落札利回りは1.487%と、5月以来の最低水準。市場予想 では1.50%が見込まれていた。財務省は10日、発行額120億ドルの 30年債入札を実施する。

ミラー・タバクの主任経済ストラテジスト、ダン・グリーンハウ ス氏は顧客向けリポートで、「切り口はどうであれ、全体のテーマに 変更はない」とした上で、「財務省は大量の国債を市場にほとんど難 なく一貫して投入することが可能なのだ」と記述した。

◎金先物市場

ニューヨーク金先物相場は反落。一時は再び1オンス=1000ド ル台に乗せたが、売りに押された。前日には1年半ぶりの高値をつけ ていた。

金は前日に1009.70ドルと、2008年3月以来の高値をつけた。 主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)のドル 指数が0.9%下落したことが背景。9日はドルが対ユーロで最大

0.8%下げ、年初来安値を更新した。金は一時1005ドルまで上昇した 後、下げに転じた。

ゴールドコアのマネジングディレクター、マーク・オバーン氏は 「予想されていた通り、利益確定の売りで金は高値から下げた。金は 常に節目の1000ドルを試しており、金上昇の持続性を示す非常に良 い兆しとなっている。不動産と株式市場への懸念から金に買いが入っ ている」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 12月限は前日比2.70ドル(0.3%)安の1オンス=997.10ドルで取 引を終了した。過去最高値は08年3月17日につけた1033.90ドル。

◎原油先物市場

ニューヨーク原油相場は続伸。ドルが対ユーロで年初来安値を更 新したことが背景。石油輸出国機構(OPEC)はこの日の総会で、 生産枠を据え置く見通しだ。

原油相場は前日の4.5%高に引き続き、この日は小幅上昇。ドル が下落したことから、インフレヘッジの需要が膨らんだ。クウェート のサバハ石油相はウィーンで、OPECは生産枠を据え置くことでコ ンセンサスができていると述べた。

PFGベスト(シカゴ)のバイスプレジデント、フィル・フリン 氏は、「原油相場は今後もドルやほかの商品の値動きを見極める展開 となるだろう」と指摘。「OPECは現在の価格水準に満足を示し、 生産枠順守の徹底というリップサービスを披露してくれるだろう」と 述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物10月限は前 日比0.21ドル(0.30%)高の1バレル=71.31ドルで終了した。

◎欧州株式市場

欧州株式相場は上昇し、7月以降で最長となる5日続伸となった。 過去半年にわたる株価上昇ペースが業績・景気見通しよりも速過ぎる との懸念が広がったものの、自動車株が株価指数全体を押し上げた。

フランスの自動車メーカー、ルノーは大幅高。同社のカルロス・ ゴーン最高経営責任者(CEO)が金融危機の最悪期が過ぎたと発言 したことが好感された。同業でドイツのBMWは7.7%上昇。モルガ ン・スタンレーとロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グルー プ(RBS)が同銘柄の投資判断を引き上げたことが買いを誘った。

一方、スイスの宝飾品メーカー、フィナンシエール・リシュモン が安い。同社が売上高見通しに慎重な姿勢を示したことが嫌気された。

ダウ欧州600指数は前日比0.9%高の240.09と、11カ月ぶり高 値を更新した。同指数は3月9日以降では52%上げている。

アッシュバートン(英ジャージー島)の資産運用担当者、リチャ ード・ロビンソン氏は、「調整に関する話題を常に耳にするだろうが、 相場上昇は継続可能だ。下げは一時的なものにとどまる」と語った。

9日の西欧市場では、18カ国中17カ国で主要株価指数が上昇。 ダウ・ユーロ50種指数は前日比1.2%高、ダウ・欧州50種指数は

0.8%上げた。

「緩やかな」回復

ルノーは6.9%高。ダウ欧州600指数を構成する19産業別グル ープの中で、自動車株は最大の上げを演じた。ゴーンCEOは仏紙フ ィガロとのインタビューで、金融危機の最悪期は終わったと述べた。 さらに回復は緩やかで、数年間にわたるだろうとの見方を示した。

ドイツのコメルツ銀行は12%高と、ダウ欧州600指数の構成銘 柄で最大の上げとなった。同行は金融市場安定化基金(Soffi n)による債務保証のうち未使用分50億ユーロを返済する方針を明 らかにした。

◎欧州債券市場

欧州債市場ではドイツ2年債相場が下落。ドイツが新たに指標と なる57億ユーロ相当の2年債入札を実施したのに加え、欧米の株式 相場の上昇を背景に安全資産としての国債需要が後退したことが響い た。

既発の2011年6月償還の2年債利回りは前日比3ベーシスポイ ント(bp、1bp=0.01%)上昇し1.09%となった。一時は少な くとも19年ぶり低水準となる場面もあった。この日実施された2年 債(2011年9月償還)入札の結果は、応札倍率が2.3倍となった。 6月の前回入札では1.9倍だった。

コメルツ銀行(フランクフルト)の債券ストラテジスト、マルセ ル・ブロス氏は「複数の中央銀行を含む実需筋から強い需要があり、 かなり良好な入札だった」と述べた。

ロンドン時間午後4時10分現在、新発2年債利回りは2bp上 昇の1.26%。同国債(2011年9月償還)価格は0.04ポイント下げ

99.99。10年債利回りは3.34%と、前日から7bp上げた。

新たな指標債の入札の結果、2年債に対する10年債の上乗せ利 回りは209bpと、ここ3カ月で最大だった前日の222bpから縮小 した。

◎英国債市場

英国債相場は下落。2年債利回りは0.94%と、前日比5ベーシ スポイント(bp、1bp=0.01ポイント)上昇した。

同国債(表面利率4.25%、償還期限2011年3月)価格は0.08 ポイント下げ104.89。

10年債利回りは前日比8bp上昇し、3.76%となった。これに より、両国債の利回り格差(スプレッド)は280bpに拡大し、少な くとも1992年1月以降で最大となった。

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