9月8日の海外株式・債券・為替・商品市場

◎外国為替市場

ニューヨーク外国為替市場ではドルが対ユーロで下落。年初来 安値をつけた。景気回復見通しから株高が進み、金が1オンス= 1000ドルを突破する中で、ドル売りが加速した。

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)の ドル指数は7月以来の大幅安。ロンドン銀行間貸出金利(LIBO R)市場でドルが最も低い調達金利通貨となったことが売りを誘った。 新興市場国の高利回り資産を求める動きが強く、ブラジル・レアルと 南アフリカ・ランドは年初からの上昇率が25%を超えている。

P/Eインベストメンツの最高投資責任者(CIO)、ウォーレ ン・ナフタル氏は「高利回り資産に資金が流入し始め、質への逃避が 反転している。ドルは安価な資金の調達先だ」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時9分現在、ドルは対ユーロで1.1% 安の1ユーロ=1.4491ドル(前日は1.4332ドル)。一時は

1.4535ドルと、昨年12月18日以来の安値をつけた。ドルは対円 で0.9%安の1ドル=92円22銭。前日は93円8銭だった。この 日のユーロは対円で0.2%高の1ユーロ=133円71銭(同133円 39銭)。

ユーロや円、ポンド、スイス・フラン、カナダ・ドル、スウェー デン・クローナを対象としたドル指数は一時、1.2%安の77.047と、 昨年9月29日以来の低水準まで下落した。下げは7月31日以来で 最大。年初来高値の89.624からの下落率は14%となっている。

JPモルガン・チェースはドル指数が最大で76まで下落する可 能性があるとの見方を示した。同水準を最後につけたのは、リーマ ン・ブラザーズ・ホールディングスが破たんした8日後の昨年9月 23日。JPモルガンのテクニカルアナリスト、ナイオール・オコナ ー氏はドル指数が77.40-77.45に控えていた下値支持線を割り込 んだと指摘。ユーロは対ドルで1.4670ドルまで上昇するとの見通 しを明らかにした。

クローナは一時1.7%高と、8月21日以来の大幅高 。カナ ダ・ドルは1カ月ぶり高値となる1米ドル=1.0674カナダ・ドルま で上昇した。

LIBOR

スイス・フランは最大1.6%上昇し、08年7月31日以来の高 値となる1.0433フランをつけた。ドル建ての3カ月物LIBOR が昨年11月以来、初めてフラン建てを下回り、最も低い調達金利と なった。

英国銀行協会(BBA)によると、3カ月物ドル建てLIBOR は0.30%と、フラン建ての0.31%を下回った。円建ては0.37%。

シティグループの通貨ストラテジスト、トッド・エルマー氏は 「ドルが有力な資金調達通貨となっている」と指摘。リスク許容度の 高まりを背景に、カナダ・ドルを買って、円を売る取引などを顧客に 提唱した。

米国債需要は強く

ドルの下落にもかかわらず、米国債離れは起こらなかった。発行 額が380億ドルと過去最高になった3年債入札はほぼ1年ぶりの高 い需要を集め、米国債相場はほぼ変わらず。今週はこれを含め3回の 入札が実施される予定で、発行総額は700億ドル。

米財政赤字が1兆ドルに達し、長期的なドル安観測が強まってい る。先渡し契約によると、ドルは今後10年に1ユーロ=1.49ドル まで下落するとみられている。99年のユーロ導入以来の平均は

1.17ドル。

米貿易赤字は1年前の649億ドルからは縮小しているものの、 2月以降270億ドル前後で推移している。これはドルの価値を維持 するために、1日当たり約10億ドルの海外資本が必要であることを 示している。

パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIIMC O)のマネジングディレクター、エマニュエレ・ラバノ氏は「米国が 必要とする資金調達は巨額で、ドルの適正水準を再検証する動きが出 てくるだろう」と述べた。

◎米国株式市場

米株式相場は3営業日続伸した。金属相場の上昇が資源企業の 利益見通しを押し上げた。この日は、金が1オンス=1000ドルを突 破、ドルは対ユーロで年初来の安値をつけた。

アルミ生産のアルコアや石油のシェブロンはいずれも上昇。金 相場は1年半ぶりの高値をつけ、銅や原油も値上がりした。複合電機 大手のゼネラル・エレクトリック(GE)も高い。米JPモルガン・ チェースがGE株に買いを推奨したのが好感された。JPモルガンは GEに対する投資家の評価が低過ぎると指摘した。

S&P500種株価指数は前営業日比0.9%高の1025.39。ダウ 工業株30種平均は56.07ドル(0.6%)上昇して9497.34ドル。 MSCI世界指数は1.2%上昇した。クレディ・スイス・グループ が債券や現金の保有よりも株式の保有を選好したのが手掛かりとなっ た。

ガムコ・インベスターズのハワード・ワード氏は「世界的に景 気が再び拡大しており、株相場にとっては大きな材料だ。当社は今、 世界同時景気回復を見込んでいる。先進国、発展途上国ともに産業活 動が活発化している」と述べた。

国際通貨基金(IMF)のストロスカーン専務理事が、2008 年9月に米リーマン・ブラザーズ・ホールディングスの破たんを引き 起こした今回の金融危機は「ほぼ確実に過ぎ去った」との見方を示し たことも株式にとっては強材料だった。

金属相場

米ゴールドマン・サックス・グループが、「世界的な産業活動で は予想以上に力強い回復の兆しが一段とみられる」として、金属相場 の見通しを引き上げたことから、この日の金属相場は急伸した。

ニューヨーク金先物相場は上昇。一時は、オンス当たり

1009.70ドルまで上昇。銅や鉛、原油も値上がりした。

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE) のドル指数は1%下げて77.27だった。

アルコア、シェブロン

アルコアは3.5%高、シェブロンは2.2%上昇した。S&P 500種の素材株とエネルギー株はそれぞれ1.5%と2.6%値上がり した。

クレディ・スイスは、景気回復とともに株価指数も世界的に上 昇すると予想。2010年半ばまでに欧州の株価指数は12%高、日本 は同23%上昇すると見込んでいる。

クレディ・スイスのストラテジスト、アンドルー・ガースウエ ート氏は8日付のリポートで、「今が景気循環で最良の時だ。多くの 経済的、財務的な状況はリーマン前の水準に戻っている」と述べた。

GEは4.5%高。JPモルガンはGEの株式判断を「ニュート ラル」から「オーバーウエート」に引き上げた。

一方、米クラフト・フーズは大幅安。ダウ工業株30種平均銘 柄のうち値下がり率でトップだった。同社は英キャドバリーに買収案 を提示したが、キャドバリー側がこれを拒否。クラフトは今後も買収 に向けて対話を続ける方針を示した。

◎米国債市場

米国債相場は下落。3年債入札としては過去最大規模となる 380億ドルの入札では強い需要が示されたものの、市場の関心は9 日実施の10年債200億ドルの入札に移っている。

3年債入札の最高落札利回りは1.487%と、5月以来の最低水 準だった。ブルームバーグ・ニュースがプライマリーディーラー18 社のうちの10社を対象に実施した事前予想は、1.50%だった。投 資家の需要を測る指標の応札倍率は3.02倍と、昨年11月以来の最 高となった。過去10回の入札の平均は2.58倍。

BNPパリバ証券の金利戦略責任者、ブレント・ベイガン氏は、 「この日の入札は、明日とあさって実施される2回の入札が順調にい くことを必ずしも意味しているわけではない」と指摘。「期間の長い 国債の利回りが低下するには、市場の方向性に対する強い確信が求め られる」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時33分現在、10年債利回りは前週末比3ベーシスポイン ト(bp、1bp=0.01ポイント)上昇の3.48%。10年債(表面利 率3.625%、2019年8月償還) 価格は9/32下げた101 7/32。

ドルが下落し、米政府の財政赤字が拡大しているものの、最近の 入札への需要は底堅い。世界的な景気回復ペースに対する懸念が需要 を後押ししているもようだ。2週間前の2年、5年、7年債入札では 海外中央銀行を含む間接入札の割合が増加した。

「ドル売り」

キャンター・フィッツジェラルドのチーフ債券ストラテジスト、 ジョージ・ゴンキャルベス氏は、「ドルが売られ、リスク市場が堅調 となるなか、この日の入札は米国債相場が独自に強さを保ちドルの値 動きからデカップリングできることを示した」と指摘する。

10年債利回りは6月に4%に上昇。米景気が戦後最悪のリセッ ション(景気後退)から回復しつつあるとの兆しをみせるなか、記録 的規模の国債供給が需要を大幅に上回るとの懸念が広がった。同利回 りはそれ以降、約52bp低下している。

HSBCセキュリティーズの金利ストラテジスト、ローレンス・ ダイヤー氏は「国債供給増の背景には、経済成長の低迷と財政赤字の 拡大がある」と指摘。「供給と、低金利を示唆する低成長のどちらが 懸念材料かといえば、市場の答えは供給よりも実体経済だ」と述べた。

米連邦公開市場委員会(FOMC、8月11-12日開催)の議事 録によると、FOMCメンバーは景気回復の強さについて「著しく不 確実」だと表明した。

ガイトナー米財務長官や欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁 は、ロンドンで4日から2日間の日程で開催された20カ国・地域 (G20)財務相・中央銀行総裁会議で、景気後退に対する勝利宣言 をするのは時期尚早だとの見解を示した。

「景気低迷」

HSBCセキュリティーズのダイヤー氏は「今後の見通しにおけ るリスクは、米国でインフレが加速するかどうかだ」と指摘。「加速 すれば、低金利に対する懸念が強まるほか、赤字規模が持続可能かど うかも不安視されるだろう。現時点では両方ともまだ早過ぎる。低金 利は景気低迷が要因だ」と述べた。

議会予算局によると、30日に終了する今会計年度の財政赤字は 1兆8500億ドルに拡大する見通しだ。これは米実質国内総生産(G DP)の13%に相当する。

オバマ大統領の下、米国は経済成長や金融システム、記録的な財 政赤字を支えるため国債発行を進め、流通市場で取引される国債総額 は過去に例のない6兆7800億ドルに膨らんだ。

この日の入札は、3年債入札としては過去最高規模だった。3年 債の入札は18カ月の中断後、昨年11月に再開された。

◎金先物市場

ニューヨーク金先物相場は上昇。一時は節目の1オンス=1000 ドル台に乗せ、2008年3月以来の高値をつけた。ドル安に加え、イ ンフレ加速懸念から貴金属の魅力が高まった。

金は一時、1009.70ドルまで上昇。08年3月につけた過去最高 値の1033.90ドルまで3%弱に迫った。原油高のほか、ロンドン金 属取引所(LME)で取引されている6種類の金属すべてが上昇した。 一方、主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE) のドル指数は最大1.2%下落し、11カ月ぶりの安値をつけた。

プロスペクター・アセット・マネジメントのレナード・カプラン 社長は「市場はインフレが加速するとみている。金利がかなり低く、 資金が資金を追う格好となっており、ドルが売りを浴びている」と述 べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 相場12月限は前営業日比3.10ドル(0.3%)高の1オンス=

999.80ドルで取引を終了した。

◎原油先物市場

ニューヨーク原油相場は上昇し、ほぼ1カ月ぶりの大幅高。ドル 安を受けて買いが膨らんだ。石油輸出国機構(OPEC)は9日に臨 時総会を開き、生産枠について協議する。

金相場は一時1オンス=1000ドルを超えた。ドルが対ユーロで 今年の安値水準に下落したことに加え、インフレが加速するとの観測 が広がったことが背景。サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相は、 「原油市場は良好な状態にある」とし、OPEC臨時総会で生産枠を 変更しない可能性を示唆した。

MFグローバル(ニューヨーク)のエネルギー担当上席バイスプ レジデント、ジョン・キルダフ氏は、「この日の原油の値動きはドル とインフレ懸念にすべて左右されている」と指摘。「こうした懸念は 金相場にも反映されており、重要な節目である1000ドルの抵抗線を 突破した」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物10月限は前 週末比3.08ドル(4.53%)高の1バレル=71.10ドルで終了した。 一時は一日の上げ幅としては7月30日以来最大となる3.77ドル値 上がりする場面もあった。

◎欧州株式市場

欧州株式相場は4営業日連続で上昇。ダウ欧州600指数は11 カ月ぶり高値を付けた。金属相場の上昇を背景に資源株が上げたほか、 企業買収が増加するとの観測を背景に買いが続いた。

オーストラリアの鉱山会社BHPビリトンと、英産金会社ランド ゴールド・リソーシズが高い。この日の銅・金相場はともに上げた。 通信株ではドイツテレコムとフランステレコムが高い。両社が英携帯 電話部門の合併で合意したことが買い材料となった。欧州最大の半導 体メーカー、STマイクロエレクトロニクスは、コンピュータ向けメ モリー価格の上昇が好感され、2.5%上げた。

ダウ欧州600指数は前日比0.3%高の237.89と、昨年10月 7日以来の高値で終了。同指数は3月9日以降では51%上げている。

ロイヤル・ロンドン・アセット・マネジメントで120億ドル相 当の資産運用に携わるジェーン・コフィー氏は、ブルームバーグテレ ビジョンとのインタビューで「かなり楽観している。経済データが引 き続き好調なほか、企業業績もかなり良好なようにみえる」と述べた。 さらに「大規模な株式発行が相場の重しとなることが懸念材料だ。M &A(企業の合併・買収)が株式発行による影響を取り除いたならば、 状況を均衡化するだろう」と語った。

8日の西欧市場では、18カ国中13カ国で主要株価指数が上昇。 ダウ・ユーロ50種指数は前日比0.1%高、ダウ・欧州50種指数は

0.2%上げた。

鉱山株

BHPビリトンは2.6%高、英豪系鉱山会社、リオ・ティント は3.6%上昇した。ダウ欧州600指数を構成する19産業グループ の中で資源銘柄は2.4%高と、2番目に大きな伸びとなった。

ゴールドマン・サックス・グループは「世界景気回復の兆候と自 信の高まり」を理由に挙げ、工業金属価格の見通しを引き上げた。

ランドゴールドは3.2%上げた。金先物相場は、ドル安とイン フレ加速への懸念で妙味が高まったことを受け、約半年ぶりにオンス 当たり1000ドルを突破した。

ドイツテレコムは1.9%、フランステレコムは1.8%それぞれ 上げた。両社の英携帯電話部門統合により、英最大の携帯電話会社が 誕生する。

◎欧州債券市場

欧州債市場ではドイツ国債相場が下落。株式相場の上昇を受け、 安全資産として国債の需要が後退した。ドイツ鉱工業生産指数の6月 の数値が前月比で上昇と、速報値から上方修正されたことも国債売り につながった。

独10年債利回りは約4カ月ぶりの低水準から上昇。欧州の主要 株式相場は軒並み値上がりした。ドイツ経済技術省が発表した7月の 鉱工業生産指数は前月比0.9%低下したものの、前月は0.8%上昇 (速報0.1%低下)に修正された。一方、オランダは2019年償還債 20億ユーロの入札を実施。ダウ欧州600指数は一時0.7%値上がり し、前日の1.4%高から続伸した。

ウニクレディト・マーケッツ・アンド・インベストメント・バン キングの債券ストラテジスト、コーネリアス・パープス氏(ミュンヘ ン在勤)は、「欧州株が続伸し、これが債券市場の前日の上昇からの 反転には十分な材料となった」と述べた。

ロンドン時間午後4時55分現在、10年債利回りは前日比4ベ ーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し3.27%。ほぼ2 週間ぶりの大幅上昇となった。2年債利回りは前日比1bp未満上げ て1.05%。12営業日ぶりの上昇となったものの、少なくとも1990 年以来の最低水準付近にとどまった。

◎英国債市場

英国債相場は下落。10年債利回りは前日比4ベーシスポイント (bp、1bp=0.01ポイント)上昇の3.67%となった。

2年債利回りは0.89%と、前日から1bp上昇した。両国債の 利回り格差(スプレッド)は277bpに拡大し、少なくとも1992年 1月以降で最大の幅まで3bpに近づいた。

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査によれば、 60人全員がイングランド銀行(英中央銀行)が10日に政策金利を 過去最低の0.5%に据え置くと見込んでいる。また、アナリスト35 人を対象にした別の調査によれば、同中銀は資産買い取りプログラム の規模を1750億ポンドで維持すると予想されている。

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