【コラム】復興すべき時期を迎えた米労組の泣きどころ-A・ハント

米国の労働運動は、本来なら復興 期にあるはずだ。

労働組合は昨年の米大統領選挙でのオバマ民主党候補の勝利に大 きな役割を果たした。連邦議会選挙では労組の支持を受けて当選した 議員が、かつてない数に達した。

労組はまた、企業の強欲さや違法行為に対する対抗手段を提供す べきでもある。サマーズ国家経済会議(NEC)委員長は、健全な景 気拡大は「恩恵がより幅広く共有される」ことが必要であり、それに は「健全でうまく機能する組合運動」が求められると述べている。

とはいえ、わずか数カ月前にみられた楽観ムードは、このレーバ ーデーの週末には既にしぼみつつある。重要な法案は暗礁に乗り上げ ているもようであり、主要労組の間では勢力争いが続いている。コー ネル大学の労働・教育研究ディレクターを務めるケート・ブロンフェ ンブレナー教授は「労組を見限るべきではない。しかし労組は、景気 やうまく組織化された企業側の対抗措置、労組自身の誤りによって打 撃を受けている」と指摘する。

長い間減少が続いていた組合員の数は昨年、やや増加した。それ でも米労働者の組合加入率はわずか12.4%(民間企業従業員の7.6% を含む)と、25年前の半分程度にとどまっている。

タウンホールミーティングでの混乱

医療保険改革は、労組が過去数十年間にわたって掲げてきた優先 課題の一つだが、議会では危機的な状況にある。一部の労組幹部にと って特に気になるのは、8月の議会休会の間に反対の声が高まったこ とだ。一方、全米各地で開かれたタウンホールミーティングに参加し た組合員は多いとはいえず、少なくとも医療保険改革を支持している 組合員の不在が顕著だった。

労組幹部らは、医療保険改革に反対し抗議活動をしている人たち は組合員ではないとし、反対は主に政治的なものだと主張する。全米 運輸労組(チームスターズ)のジェームズ・ホッファ議長は、抗議は 「この国の右派分子によるものだ」と述べた。

だがこうした抗議活動は、医療保険改革の支持者よりも反対派の 方が熱心であることを示唆していると言う民主党議員も少なくない。

公的医療保険めぐる意見の隔たり

労組の幹部らは同じ目標を掲げているものの、そこに至る方法に ついては考え方が異なる。チームスターズのホッファ議長は、民間の 医療保険会社と競合する公的医療保険制度の創設は、良い法案に不可 欠ではないとしている。これに対し、米労働総同盟産別会議(AFL ・CIO)の次期議長に就任する見通しであるリチャード・トラムカ 氏は、公的医療保険の選択肢が盛り込まれていない法案は「無益だ」 との考えだ。

また、労働者の組織化をより容易にする法案など労組が掲げる他 の優先課題も、一部の民主党議員を含む上院で抵抗に遭っている。

一部のアナリストは、意見の割れている労組が、法案や政治的課 題で力を発揮できるか疑問視している。4年前、サービス業国際労組 (SEIU)やチームスターズを含む7つの労組がAFL・CIOを 脱退した。組合が共同戦線を張れるよう再結束に向けた動きもあり、 その仲介役にミシガン州の元下院議員であるデービッド・ボニア氏が 指名された。しかし、これは容易ではない。

当初は、AFL・CIOのジョン・スウィーニー現議長が退任す れば再統合は実現するとみられていた。同議長とSEIUのアンディ ・スターン議長が敵対関係にあるためだ。ところがAFL・CIOは、 鉱山労働者の組合の元責任者であるトラムカ氏をスウィーニー氏の後 任に指名。トラムカ氏とホッファ氏の関係も良好ではない。

オバマ政権への不満

労組とオバマ政権との関係にも緊張はある。労組は、組合の結成 をより容易にする法案をオバマ政権がより強く推進することを期待し ているが、大統領の側近らは医療保険改革が先だとしている。

ボニア氏やエマニュエル大統領首席補佐官など、意見の隔たりを 埋める橋渡し役を果たせそうな民主党政治家もいる。だが長年にわた って労組と盟友関係にあり、労組に対して最もまとまった影響力を有 していたエドワード・ケネディ上院議員は先ごろ死去した。 (アルバート・ハント)

(ハント氏はブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。コ ラムの内容は同氏自身の見解です)

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