月例報告:判断は2カ月連続維持、過去最悪の失業率に言及

林芳正経済財政担当相は8日夕、9 月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出した。報告では、景気の基調 判断を2カ月連続で据え置く一方、7月に過去最悪の5.7%に上昇し た完全失業率を盛り込む形で表現を一部変更した。基調判断で失業率 に直接言及するのは、比較可能な1998年1月以降では初めて。

月例では基調判断について「景気は失業率が過去最高水準となる など厳しい状況にあるものの、このところ持ち直しの動きが見られる」 とし、前月の「景気は厳しい状況にあるものの、このところ持ち直し の動きが見られる」から変更した。個別項目では、雇用情勢について 判断を下方修正する一方、設備投資、住宅建設、企業収益の3項目で 上方修正した。

今回、基調判断に失業率を明記した背景には、在庫調整の一巡な どで輸出や生産が持ち直し、個人消費は政策効果で支えられているも のの、経済活動の水準自体は低く、それが歴史的な失業率の上昇とい う形で表れている点を重視したことがある。内閣府は国民生活に直接 関係が深い雇用の悪化が今後、消費者マインドなどにどのような影響 を及ぼすかを注視していく姿勢だ。

林経財相は会議後の記者会見で、「雇用の情勢は厳しい。それが経 済全体に与える影響についてはリスク要因として引き続きみていく必 要がある」と述べ、「雇用の状況が厳しいと所得環境が悪くなり、それ が消費に影響する経路が当然考えられる」と警戒感を示した。

同相はまた、経済は「まさに今正念場という認識は変わっていな い」と述べ、エコカー減税などの経済対策で生じた「種火から、民需 の自律的な回復につながりきっていない」との認識を示した。

雇用は一段と厳しさ増す

月例報告では雇用について「一段と厳しさを増している」とし、 4カ月ぶりに判断を引き下げた。内閣府政策統括官付参事官の西崎文 平氏は、雇用者数が7月に5437万人と前月から0.4%増えたものの、 自営業者数は減っているので「就業者数が戻っていると判断すること は適当でない」との見方を示した。

一方、企業の設備投資については「減少している」とし、前月の 「大幅に減少している」から判断を2007年12月以来1年9カ月ぶり に上方修正。財務省が4日発表した4-6月期の法人企業統計を基に、 内閣府が試算した全産業の4-6月期の設備投資は前期比4.5%減と 1-3月期の同7.4%減からマイナス幅が縮小した。

企業収益の減少テンポは緩やかに

また、同統計では企業の経常利益も4-6月期にマイナス幅が縮 小したことから、企業収益について「大幅な減少が続いているが、そ のテンポは緩やかになっている」とし、前月の「極めて大幅に減少し ている」から04年6月以来5年3カ月ぶりに判断を引き上げた。また 住宅建設は、景気対策の効果で持ち家などが増加していることから、 前月の「減少している」に「緩やかに」を加え、判断を引き上げた。

個人消費については、「このところ持ち直しの動きが見られる」と し、前月から判断を据え置いた。内閣府が需要側と供給側の統計を総 合して指数化した消費総合指数は、7月に前月比0.5%上昇したが、 エコカー減税に伴う自動車販売の増加の寄与が大きい。

他方、天候不順で夏物衣料や飲料、エアコンなどは買い控えられ る中で、西崎氏は消費について「まだ広がりが少ない。自動車頼みの 色彩が強くなっている」と指摘。さらに、リスク要因としては8月に 厚生労働省が流行宣言を出した「新型インフルエンザ」の消費への影 響を注視していく考えも示した。

また輸出については、7月の輸出数量が前月比0.5%増と伸びが 鈍化しているものの、海外経済が失速するリスクが薄らいでいるため、 「持ち直している」との判断を踏襲した。海外経済 については「アジ アを中心に持ち直しの動きが広がっており、底入れしつつある」とし、 3カ月連続で判断を引き上げた。ただ先行きについては、金融危機と 実体経済の悪循環により、下振れするリスクがあるとの認識を維持し た。

--取材協力:下土井京子 Editor:Masaru Aoki,Hitoshi Ozawa

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