米信用市場に回復継続の兆し-米国債手放すプライマリーディーラー

米ウォール街のプライマリーディー ラー(米政府証券公認ディーラー)がかつてないペースで米国債を手 放している。信用市場の回復継続を示唆する動きだ。

米連邦準備制度理事会(FRB)の集計データによると、プライ マリーディーラー18社の8月の米国債保有高は105億ドルの純ショー ト(売り持ち)ポジションと、6月に記録した過去最大の純ロング(買 い持ち)ポジションの936億ドルから一転した。

FRBが1997年にデータを取り始めて以来最も速いペースでの この持ち高転換は、投資家が景気回復に懐疑的ななかでもプライマリ ーディーラーがリスクの高い債券を購入したり投資を後押ししている 様子を示す。同ディーラーは通常、社債やモーゲージ債投資のヘッジ 手段として米国債をショートにする。サブプライム(信用力の低い個 人向け)住宅ローン市場の崩壊で信用市場が2007年に凍結する前の 10年間の純ショートポジションは平均630億ドルだった。

MFグローバルのドナルド・ギャランテ最高投資責任者(CIO) は「資金が再びリスクの高い資産の一部に回帰しているということだ」 と指摘。「パニック状況は後退し、より平常な世界に近づいたため、デ ィーラーはレバレッジを多少かけ始めた。社債を積み増し、米国債で 再びヘッジをかけている」と説明する。

高利回り債投資を後押し

FRBのデータはまた、ゴールドマン・サックス・グループやバ ンク・オブ・アメリカ(BOA)を含むプライマリーディーラーが高 利回りのローン債権やモーゲージ債の購入者に07年以来最も速いペ ースで融資を増やしている様子も示している。これらディーラーが期 間1日を超える貸し出しの担保として保有した証券は8月12日時点 で276億ドルと、5月6日から75%増えた。

同担保には米国債と連邦機関債、米住宅公社保証のモーゲージ債 が含まれないため、この増加はリスクの高い住宅ローンや企業向け債 権、資産担保証券(ABS)向けに資金が使われていることを示唆し ている。

バークレイズ・キャピタルの短期市場アナリスト、ジョゼフ・ア ベート氏は「債券市場におけるディーラーの行動は通常に戻り始めた。 今年早くに見られた米国債中心の担保抱え込みの勢いは収まりつつあ る」と語った。

プライマリーディーラーのショートポジションが過去最高に達し たのは07年7月で、1937億ドルだった。しかし同ポジションは08年 12月までにはロングに転換。同年9月のリーマン・ブラザーズ・ホー ルディングスの破たんや米保険会社アメリカン・インターナショナ ル・グループ(AIG)の救済、メリルリンチの身売りで世界の金融 システムが崩壊するとの懸念が高まり、安全資産としての米国債保有 が加速したためだ。現在は懸念も和らぎ、米政府の管理下にあるAI Gは公的資金返済に向け、一部資産の売却を進めている。

ショートポジションへの再転換は「ディーラーが顧客向けに流動 性を提供できるようになってきている兆候だ」と述べるのはライトソ ンICAPのチーフエコノミスト、ルー・クランドール氏。「これは市 場にはプラスの展開だ。いずれ、状況は一段と落ち着きを見せるだろ う」と語っている。

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