債券相場は上昇、5年入札の順調な結果を好感-金融機関の需要おう盛

債券相場は上昇(利回りは低下)。 午後に発表された5年国債入札が好調な結果となり、銀行などの金融機 関の資金余剰を背景とする債券需要の強さがあらためて示された。先物 9月物は2営業日ぶりに139円台を回復して引けた。

損保ジャパン・グローバル運用部の砺波政明債券運用第1グループ リーダーは、5年債入札は前週末以降の相場急落もあって好調だったと 指摘。「銀行は貸し出し伸び悩みや預金積み上がりを背景に買い余力が あり、利回りが下がっても買わざるを得ない需要がある」ともいう。

東京先物市場で中心限月9月物は前日比12銭高い138円81銭で始 まり、午前には小幅プラス圏での推移となった。午後に入っても買い優 勢の流れが続き、5年債の入札結果発表後には139円台を回復。その後 も139円00銭から139円10銭程度で高止まり、結局は39銭高の139 円8銭で引けた。日中売買高は2兆8625億円だった。

米国の債券安、株高などをきっかけに国内債券相場も前週後半以降 に下げ地合いとなっていたが、5年債入札を通過するタイミングで上昇 に転じた。トヨタアセットマネジメントの深代潤チーフファンドマネジ ャーは、もともと入札をこなせば相場が切り返すとの見方が有力だった が、投資家の買い意欲が予想以上に強いことが示されたといい、「短期 的には好需給を手がかりに上値余地を探る」との見方を示した。

先物9月物は前日まで3営業日続落した反動が広がったほか、10 日の取引最終日を前に限月交代を踏まえた動きも出ていたもよう。みず ほ証券の海老原慎司クオンツアナリストは、前週後半には9月物の買い 方が12月物にシフトしたもようだが、足元で限月間スプレッド(格 差)が拡大方向にあることからは、9月物の売り方がこれを買い戻して 12月物を売るショートロールが入ったのではないかとみていた。

10年債利回り1.325%まで低下

現物市場で新発10年物の303回債利回りは、前日比0.5ベーシス ポイント(bp)低い1.35%で始まった。開始後しばらく1.35-1.355% で推移したが、10時30分過ぎからは1.345%でもみ合っていたが、5 年債入札が順調となると3bp低い1.325%まで低下した。午後4時6分 現在では1.33%で取引されている。

新発10年債利回りは前日に3週間ぶりの高い水準をつけたが、投 資家の買い需要を支えにこの日は低下に転じた。トヨタアセットの深代 氏は5年債入札では銀行勢の資金余剰ぶりを見せつけられたといい、来 週前半にかけてもう少し買い余力がありそうだと指摘。「10年債でみ て1.3%割れ、5年債だと0.6%割れがひとつの目線になるのではない か」と予想していた。

また、午後2時に発表された8月の景気ウォッチャー調査によると、 景気の現状判断DIが41.7と7月の42.7から悪化し、先行き判断DI は2カ月連続の悪化となったことも買い材料視された。

5年債入札は順調な結果

この日の5年債入札では順調な結果が示された。前週後半以降に相 場が軟調に推移したことで、5年債利回りが0.6%半ばに上昇したこと が好感された。みずほ証の海老原氏は、入札結果が市場の事前予想以上 に強かったことの背景として、銀行はじめ金融機関への資金余剰が意識 されているとも指摘した。

財務省が午後零時45分に発表した5年国債(85回債、9月債)の 入札結果は、最低落札価格100円24銭、平均落札価格は100円25銭だ った。最低価格は事前予想の100円21銭を上回り、最低と平均価格の 格差(テール)は前回債と同じ1銭。応札倍率は前回の3.50倍から

4.04倍に上昇し、2007年4月債以来の4倍台乗せとなった。

好需給が金利低下をけん引か

銀行など金融機関の買い需要がなお根強いとみられるなか、現物市 場においては好需給にけん引される格好での金利低下余地があると指摘 された。日本銀行が公表した貸出・資金吸収動向等によると、全国銀行 の貸出残高は8月に前年同月比1.9%増まで縮小、一方で都銀と地銀、 第二地銀の実質預金と譲渡性預金(CD)の残高は7月の同3.2%増か ら8月は同3.3%増に拡大した。

ただ、16日以降は現物債の受け渡しが9月後半の大型連休である シルバーウィーク明けになるため、投資家の買いは今週末から来週始め にかけて一段落する公算も大きい。トヨタアセットの深代氏は投資家が キャリー(金利収入)確保を狙って連休前に買い急ぐ可能性はあるが、 逆にこうした買い一巡後は中間決算期末を前に利益確定売りが出てもお かしくないといい、「9月中旬以降には金利が一時的に上昇する場面が ありそう」と予想した。

--取材協力:池田祐美 Editor:Hidenori Yamanaka, Joji Mochida

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