【日本株週間展望】1万円割れも、円高傾向を警戒-新内閣発足見極め

9月第2週(7-11日)の日本株 相場は軟調な展開になりそうだ。米国景気の早期回復期待が後退してお り、為替相場のドル安・円高傾向が重しになる可能性が高い。9月中旬 に発足予定の鳩山由紀夫内閣の政策実行能力を見極めようと様子見姿勢 も強まりそうで、日経平均株価は1万円を下回る可能性もある。

岡三アセットマネジメントの伊藤嘉洋上席ストラテジストは、「各 国政府が大型景気対策を打ち、景気の底入れが見えてきたが、本格的な 回復にはまだ時間がかかる。米景気不安はドル安という形で為替相場に 表れている」という。

上げと下げを日々繰り返す「鯨幕相場」。日経平均は8月14日か ら今月2日まで14営業日にわたり上昇と下落を繰り返した。強気派と 弱気派がきっ抗して方向感のない展開が続いたが、2日以降は3日続落 となり、弱気派に軍配が上がっている。第1週の日経平均は前週末比

3.3%安の1万187円で終了した。

明和証券の矢野正義シニアマーケットアナリストは、「日経平均は 投資家の中期的な平均売買コストである25日移動平均線(4日現在1 万409円)を3日連続で下回っており、先安観が台頭している。目先 は75日線(9941円)まで下落してもおかしくはない」と予想する。

日経平均は取引時間中の年初来安値を付けた3月10日(7021 円)から、高値を更新した8月31日(1万767円)まで約5カ月半で 5割上昇した。仮に日経平均が1万円を下回れば、7月24日以来、約 1カ月半ぶりとなる。

一時1ドル=92円割る

弱気派が警戒し始めているのが、為替相場の円高傾向だ。3日の外 国為替相場は一時1ドル=91円95銭と、7月13日以来となる約1カ 月半ぶりの円高水準を付けた。2日に米国で発表されたADP民間雇用 統計が悪化するなど、米景気回復の足取りの重さが警戒され、2日の米 10年債利回りは3.28%と約1カ月半ぶりの低水準を記録、ドル売り圧 力につながった。

4日公表の8月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数の純減幅は ブルームバーグが事前にまとめたエコノミスト予想より少ない21万 6000人減、円高・ドル安の動きはやや一服しているが、先行き不透明 感はぬぐい切れていない。ユナイテッド投信投資顧問の井上淳CIOは、 「一番のリスク要因が為替相場の円高。デフレリスクにつながるため、 非常に危険だが、米景気不安からドルが売られ、1ドル=85円まで進 んでもおかしくはない」と警戒する。

日銀が7月に発表した6月調査の企業短期経済観測調査(短観)で は、大企業製造業の今年度の想定為替レートは1ドル=94円85銭。ブ ルームバーク・データによると、4月から8月末までのドル・円相場の 平均値は1ドル=96円29銭だった。9月下旬から始まる第2四半期決 算の発表を控え、円の先高観を背景に業績懸念から輸出関連株が軟調と なる可能性がある。

第2週の米国では、9日に地区連銀経済報告(ベージュブック)、 11日に9月のロイター・ミシガン大学消費者マインド指数が発表され る。経済指標の発表は多くないが、米景気の悪化が示された場合はドル 安につながる可能性があり、注意が必要だ。

鳩山新政権を見極め

株式市場では、8月30日の衆議院選挙で圧勝した民主党新政権の 政策実行能力を見極めようとする動きも強まりそう。明和証券の矢野氏 は「そろそろ夢から現実に戻るタイミング。組閣を控え、財政問題など 現実論が出てくる」と予想する。

現時点では政策実行の先行きが読めず、相場は政策効果をすぐには 織り込みにくいとの意見は多い。MU投資顧問の野田清史シニアファン ドマネジャーは、「民主党は政策として所得の再分配を掲げており、実 現すれば、中長期的に人口動態の改善につながりポジティブ。しかし、 財源などの疑問点があり、政策実行のスピードが求められる」と話す。

中国景気の動向も気になるところ。中国上海総合指数は8月5日の 年初来高値から9月1日の直近安値まで約2割下落した。足元は落ち着 きを取り戻しているものの、金融引き締めなどによる景気鈍化懸念はく すぶっている。中国株の動向は引き続き注視されそうだ。

国内機械受注が発表

このほか日本株相場に影響を与えそうな材料は、国内では9日に7 月の景気動向指数、10日に7月の機械受注が発表される予定だ。また 11日は株価指数先物・オプションの特別清算値(SQ)算出日となる。 週明け7日の米国市場はレーバーデーの祝日のため休場。

【市場関係者の当面の日本株相場の見方】
●野村証券の佐藤雅彦エクイティ・マーケットアナリスト
  「短期的な調整局面を迎え、日経平均で25日移動平均線(1万
410円)から5%下方かい離水準である9900円前後を下値めどと見る。
衆院選から一夜明けた8月31日、日経平均は急伸して始まったが、す
ぐに下落転換、日足チャートで弱気相場入りを示唆する長い『上ひげ』
を付け、テクニカル的に目先の利益を確定する売りが出やすい。需給面
でも一部で期待されていた民主党圧勝に伴う外国人投資家による買いが
目立たず、すぐには上昇する環境にない」

●大和証券の多田羅信投資情報部長
  「中国、米国、為替と先週は外部環境に振り回されたが、今週は落
ちつきを取り戻す週と見る。中国株が安定に向かっているほか、米経済
指標も予定が乏しい。為替市場でリスク回避の動きにはなりにくく、円
高は修正されよう。外需関連や中国関連株の押し目買いが有望だ。もっ
とも、株価の戻りが大きくなっただけに、株式市場は上値追いにも慎重。
中国の経済指標が週末に集中するため、方向感も出にくそうだ。日経平
均は1万-1万500円の狭いレンジを予想」

●みずほ証券投資情報部の瀬川剛エクイティストラテジスト
  「9月第3週(14-18日)が日本株にとって一番厳しい週になろ
う。24日からのピッツバーグ・サミットを控え、ヘッジファンドや租
税回避地に対する世界的な規制論議が盛り上がる見通しで、ヘッジファ
ンドらが流れ弾には当たりたくないと、いったんポジションを手じまう
可能性がある。18日に米国で株価指数先物やオプションなどの清算日
が重なる『クアトロ・ウィッチング』を迎え、日本では19日から5連
休。これらを見越し、投資資金の流れが変調を起こしているとみられる。
第2週(7-11日)は若干戻すかもしれないが、先行きは厳しい」

--共同取材:鷺池 秀樹、長谷川 敏郎、河野 敏 Editor:Shintaro Inkyo、Makiko Asai

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