【今週の債券】堅調か、大量償還控え需給良好-入札後に金利低下探る

今週の債券相場は堅調(利回り低 下)な展開が予想されている。今月下旬に国債大量償還を控えて、良好 な需給関係が継続するとの見方が多い。8日の5年国債入札を無事に通 過すれば買い安心感が広がって、中長期債利回りには低下圧力がかかり そうだ。

大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥国内債券運用第2グループリーダ ーは、「国債償還を踏まえ、債券残高の積み増し需要は強い。景気楽観 見通しの修正で株価の上値が重くなっていることも下支え要因」と述べ て、5年債利回りは入札通過後に0.6%割れをうかがう流れとなり、10 年債利回りは徐々に1.2%台で安定すると予想する。

今週の新発10年債利回りについて、4日夕までに市場参加者4人 に聞いたところ、全体の予想レンジは1.27%から1.36%となった。前 週末の新発10年物303回債の終値1.33%を挟んだ推移となり、7月9 日につけた今年度の最低水準(1.27%)を試す展開も見込まれている。

良好な需給関係が相場を支える構図となっており、前週には新発 10年債利回りが節目の1.3%を再び下回り、新発5年債利回りは4年ぶ りに0.6%台を割り込んだ。銀行預金が貸出残高の伸び悩みと裏腹に増 加基調となっている状況で、大量償還を控えて需給はひっ迫しやすい。 RBS証券ストラテジストの徐瑞雪氏は、「9月は約10.6兆円の多額 の国債償還があるため、需給は大幅に改善する」と説明していた。

株安観測も支援材料

加えて、最近の外国為替市場での円高傾向のほか、企業業績や景況 感に対する懸念が強まっており、株価が前週後半からの軟調推移が継続 すれば、債券相場の支えとなりそうだ。みずほ証券チーフマーケットア ナリストの三浦哲也氏は、「最近の円高傾向が企業業績や日銀短観(企 業短期経済観測調査)9月調査の業況判断に影響を与える可能性があ る」とみている。

10日に機械受注統計、11日には実質GDP(国内総生産)の改定 値が発表されるが、相場への影響は限定されそうだ。ブルームバーグ調 査では、7月の機械受注は前月比3.1%減少となり、4-6月期の実質 GDPは前期比0.9%増と1次速報から変わらない見通しだ。日興シテ ィグループ証券の佐野一彦チーフストラテジストは、重要統計について 「予想から大きく外れない限り、注目度は低い」という。

5年債入札に注目、クーポン0.6%か

材料面では、8日の5年利付国債入札(9月債)が要注目。前週末 の入札前取引では0.64%付近で取引されており、表面利率(クーポ ン)は前回の84回債より0.1ポイント低い0.6%が予想される。週明け の相場が軟調となれば0.7%の可能性も出てくる。発行予定額は前回債 と同額の2兆3000億円程度。

新発5年債利回りは前週に4年ぶり低水準となる0.58%まで下げ た。5年など中期債の主要な購入層である銀行は資金余剰となっている ため潜在需要は強いものの、クーポンが0.6%に引き下げられると、 2005年9月以来の低水準となるだけに投資妙味は薄れる。

日興シティグループ証の佐野氏は、余剰資金つぶしとしての需要が ある一方、利回り面では0.5%台での低下には抵抗されており、入札は 微妙かもしれないと指摘した上で、「投資家の押し目買い意欲は強く、 入札結果が低調でも流通市場ではしっかり買いが入る」と予想する。

市場参加者の予想レンジとコメント

4日夕までに集計した市場参加者の予想レンジは以下の通り。先物 は期先限月の12月物、新発10年国債利回りは303回債。

◎三井住友海上火災保険投資部の高野徳義グループ長

先物12月物138円40銭-139円40銭

新発10年債利回り=1.28%-1.36%

「5年入札に向けて中期ゾーンに調整が入りやすい一方、10年は

1.3%前後のもみ合いが続きそう。利回り曲線はベアフラット(平た ん)化か。ただ、中間期末に向けて金融機関は買い余力があり、一方的 な金利上昇は見込みづらい。入札後に相場は底堅くなるだろう。株や為 替も相場水準に達成感があり、債券はレンジ相場の色合いが濃くなる」

◎みずほ証券チーフマーケットアナリストの三浦哲也氏

先物12月物138円75銭-139円60銭

新発10年債利回り=1.29%-1.36%

「上値を試す意識が残るだろう。下期運用にめどをつけるため、連 休前に国債大量償還を控えた押し目買いが入ると思う。円高傾向を受け て、株式市場が企業業績の上方修正に不安になるかもしれない。円高は 9月日銀短観の業況判断にも影響するだろう。限月交代後の先物も売れ ないと思う。方向転換は10月ぐらいか」

◎トヨタアセットマネジメントの浜崎優シニアストラテジスト

先物12月物139円00銭-139円75銭

新発10年債利回り=1.27%-1.34%

「10年債利回りは1.3%前後で底堅い展開とみている。20カ国・ 地域(G20)会議でも、拙速な緩和政策の出口論は取らず、景気対策で 少し良くなったからすぐ止めるような感じではない状況。9月中間期末 を前に、株価が調整しやすく、債券相場は下支えされると思う。5年債 入札は銀行勢の資金が潤沢なので波乱はないだろう」

◎大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥国内債券運用第2グループリーダー

先物12月物138円60銭-139円40銭

新発10年債利回り=1.27%-1.35%

「金利の低下余地を探る展開。前週後半には幅広い年限で利益確定 売りが出たが、国債償還を踏まえた債券残高の積み増し需要は強い。景 気楽観見通しの修正で株式相場の上値が重くなっていることも下支え要 因だ。5年債利回りは8日の入札通過後に0.6%割れをうかがう流れで 10年債についても徐々に1.2%台で安定するとみている」

--共同取材:赤間信行、船曳三郎 Editor:Hidenori Yamanaka,Nobuyuki Akama

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