スティグリッツ教授:米国、再びマイナス成長の「可能性大」

ノーベル経済学賞受賞者のジョゼ フ・スティグリッツ教授(米コロンビア大学)は3日、米経済は1930 年代以降で最悪のリセッション(景気後退)から抜け出した後、再び マイナス成長に陥る「高い可能性がある」と指摘した。

スティグリッツ教授はニューヨークで記者団に対し、「米経済が 持続的な形で回復するかはっきりしない」と述べた。

今後数カ月に関して2つのシナリオがあると指摘。1つは消費が 低迷し民間投資の拡大の勢いが弱い「停滞」期を予想する筋書き。も う1つは、政府の刺激策に支えられて景気はいったん回復するが、そ の後、突然下降する流れをたどる内容で、エコノミストらは「W」字 型回復と呼んでいる。

スティグリッツ教授は「W字型になる高い可能性があるが、必然 ではないと思う」と述べ、「米経済はただ低迷した状態を進む可能性 もある」と説明した。

また、「われわれは全く別世界にいる」として、景気の軌道を予 想することは難しいと警告した。この1年の危機は緩い規制によって 悪化したとし、それにより銀行など金融機関が大きくなり過ぎ、金融 システムがそのうちの1社の破たんにすら対処できないような状況 をもたらしたとの見方を示した。

大き過ぎて運営できない

スティグリッツ教授は「これら金融機関は大き過ぎてつぶせない (ツー・ビッグ・トゥ・フェイル)だけでなく、大き過ぎて運営でき ない(ツー・ビッグ・トゥ・ビー・マネージド)状態だ」と語った。

7870億ドルの米政府の景気刺激策については、7-9月(第3 四半期)の成長を促しているものの、米経済がその勢いを持続できる か保証はないと言明。追加刺激策の必要性に関しては「様子見」する のが最善だとの認識を示した。

また、米政府が証券会社リーマン・ブラザーズ・ホールディング スを救済していたとしても、世界経済がリセッション(景気後退)に 突入するのを防げなかっただろうとの見解を示した。「リーマンが救 済されようがされまいが、世界経済は困難な状況に向かった」と述べ た。

過剰供給能力が高水準にあるなかで、米経済は短期的にはディス インフレーションの脅威とデフレの可能性に直面していると、教授は 指摘する。最近の高い生産性に加え、高失業率が長期間続く公算が大 きいことを考慮すると、賃金はさらに低下する恐れがあるとも述べた。

一方、長期的には米連邦準備制度理事会(FRB)の積極的な金 融政策によってインフレの脅威が増すと予測。「財政赤字やFRBの バランスシートの規模が膨らんでいることをみれば、インフレ懸念が ある理由は理解できる」と語った。

また教授は、FRBの経済予測は投資家を安心させるには不十分 で、その結果、ドルは軟調に推移する可能性があると予想。「現在の 不透明感はドル安につながり得る」とし、「それはドルに代わる通貨 システムを議論することへの関心が世界的に高まっている要因の1 つだ」と強調した。

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