法人統計:設備投資は9期連続減少-製造業の落ち込み最大

4-6月期の国内企業の設備投資額 は前年同期比で9四半期連続して減少した。輸出や生産は1-3月を 底に持ち直しに転じたが、昨年度後半の急激な収益悪化や設備過剰感 を背景に、企業が設備投資の抑制を続けたことがあらためて示された。

財務省が4日発表した4-6月期の法人企業統計によると、設備 投資額(金融・保険業除く)は前年同期比21.7%減の8兆5116億円 となった。ソフトウエアを除いた額は同22.2%減。製造業の設備投資 は同32.0%減で、減少率は過去最大だった。ブルームバーグ・ニュー スのエコノミスト調査では、全産業の設備投資額の予想中央値は同

23.0%減だった。

ソフトウエアを除く設備投資額は、内閣府が11日に発表する4- 6月期の国内総生産(GDP)2次速報値に反映される。1次速報値 では、輸出や個人消費の持ち直しなどでGDPは前期比年率3.7%増 と5期ぶりのプラス成長に復帰したが、設備投資は前期比4.3%減と 不振が続いた。

日本政策投資銀行の鈴木英介調査役は、収益が落ちている中、企 業が設備投資を減らすのはやむを得ないと指摘。先行きも「少なくと も年内は減少基調が続く」との見通しを示した。

6期連続の減収減益

一方、企業の売上高は前年同期比17.0%減の297兆5154億円、 経常利益は同53.0%減の7兆2366億円と、いずれも前期に比べ減少 率が縮小。新光総合研究所の宮川憲央シニアエコノミストは「収益面 では最悪期を脱出したことが確認された」としている。ただ、国内企 業は昨年1-3月期から6期連続の減収減益となり、特に今年1-3 月期に統計開始後初の赤字となった製造業の経常損益は、4-6月期 に黒字に転じたものの、同89.2%の大幅減だった。

林芳正経済財政相は4日の閣議後会見で、「売り上げも持ち直して いることもあり、企業収益は最悪期を脱したと思うが、水準自体が非 常に低いので、設備投資の抑制が続いている」との認識を示した。一 方、与謝野馨財務相は、製造業の経常損益の黒字転換について「楽観 的にも、悲観的にも見てはいけない。日本経済全体が底抜けしないと いう意味での消極的な評価をいただけるものではないかと解釈してい る」と述べた。

統計発表後の東京外国為替市場の円の対ドル相場は午後1時1分 現在、1ドル=92円61銭。発表直前は同92円70銭近辺で推移して いた。同時刻現在、東京株式市場の日経平均株価は前日比55円73銭 安の1万0158円91銭、債券相場では東京先物市場の中心限月9月物 が同22銭安の139円14銭。

GDP2次速報の試算値

今回の法人企業統計の数値を加味したGDP2次速報値について、 農林中金総合研究所の南武志主任研究員は同日付リポートで、小幅上 方修正を予想。実質GDP成長率は前期比1.0%増(1次速報0.9%増)、 同年率4.2%増(同3.7%増)へ修正されると試算した。一方、大和総 研の熊谷亮丸シニアエコノミストは同0.7%増、年率3.0%増と下方修 正を見込んでいる。

内閣府によると、国内経済の総需要と供給力との乖離(かいり) を示す需給ギャップは、今年4-6月期にマイナス7.4%(実額40兆 円程度)。1-3月期のマイナス8.0%から縮小したものの、需要不足 の状況が続いており、雇用・設備の過剰感は依然強い。

雇用面については、企業の利益のうち人件費に回った割合を示す 労働分配率をみると、4-6月期は70.7%(季節調整値、新光総合研 究所試算)と、過去最高だった前期の72.5%からは低下。ただ、同研 究所の宮川氏によると、依然として1990年代の景気後退局面の水準で 推移している。

設備投資の先行指標となる機械受注統計(船舶・電力を除く民需) は、4-6月期に前期比4.9%減と、減少率が1-3月期の同9.9%減 から縮小したものの、7-9月期の見通しでは同8.6%減と再び減少 率が拡大する。

東芝は今後3年の設備投資を3割圧縮

設備投資に慎重な企業の姿勢はほかの調査でも示されている。日 本政策投資銀行が8月4日発表した大企業の2009年度設備投資計画 (6月調査)は、全産業で前年度実績比9.2%減となり、2年連続の マイナスだった。特に製造業は20.7%減と、1993年度以来の2割減。

半導体国内最大手の東芝は8月5日発表した新中期経営計画で、 今後3年間(09-11年度)の設備投資額を、前期までの3年間(06- 08年度)の合計額より約5400億円少ない1兆1000億円に圧縮するこ とを明らかにした。同社は09年3月期決算で純損失3436億円を計上、 4-6月期も578億円の赤字だった。

政投銀の鈴木調査役は、企業が年度内は収益面に慎重な見方をし ていると指摘、「コスト削減などを通じた収益回復の動きが続く」と予 想する。ただ、鉱工業生産の持ち直しを受け「設備の維持・更新や新 製品向けの投資が見込まれる」として、来年1-3月期以降には底入 れの可能性もあると述べた。

同時に発表された08年度の統計では、売上高と経常利益、設備投 資の主要3項目がいずれもマイナス。設備投資の減少率が前年度比

38.3%減と過去最大だったほか、経常利益も同33.7%減と、75年以来、 過去2番目の減少率となった。売上高は同4.6%減少した。

法人企業統計は資本金1000万円以上の企業を対象に3カ月ごと に調査、集計。主要企業の設備投資や売上高、経常利益の足元の動向 などをとらえている。

--取材協力:小笹俊一、伊藤辰雄、望月千晶、下土井京子 Editor: Masaru Aoki,Hitoshi Ozawa, Joji Mochida

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