9月3日の海外株式・債券・為替・商品市場

◎外国為替市場

ニューヨーク外国為替市場ではユーロが対ドルで小幅安。一時 は上昇する場面もあったが、欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁 が、景気回復は起伏のあるものになると述べたことを受け、下げに転 じた。ECB定例政策委員会は政策金利を過去最低の1%に据え置い た。

ユーロに対しては南アフリカ・ランドとブラジル・レアルの上昇 が目立った。南アとブラジルの高利回り資産に投資資金が流れたとの 観測が背景。円は対ドルで値下がり。米ISM非製造業景況指数が8 月に縮小ペースの鈍化を示したことが材料視された。ECBは今年と 来年の成長率予想を上方修正した一方、トリシェ総裁は回復の道が 「平坦ではない」と警告した。

ウエストパック銀行のシニア通貨ストラテジスト、リチャード・ フラヌロビッチ氏(ニューヨーク在勤)は、「ECBが景気予想をも っと大幅に引き上げなかったとして、一部失望もあるようだ」と指摘。 「明らかに市場はもう少しタカ派的な姿勢を期待していた」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時6分現在、ユーロは対ドルで前日比

0.1%安の1ユーロ=1.4255ドル(前日は同1.4264ドル)。一時 は0.6%高の同1.4348ドルまで値上がりする場面もあった。円は 対ユーロで0.4%安の1ユーロ=132円10銭(前日は同131円54 銭)。ドルは対円で0.5%高の1ドル=92円67銭(前日は同92円 22銭)。

トリシェ総裁は政策決定後の記者会見で、ECB当局が景気刺激 の緊急措置を早急に解除する考えがないことを示唆した。ECBはユ ーロ圏の来年の成長率予想として、来年はプラス0.2%程度とし、 従来の0.3%前後のマイナス成長から上方修正した。

「控えめな」見通し

バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(ロンドン)のチーフ為替 ストラテジスト、サイモン・デリック氏は「トリシェ総裁の記者会見 中に、ユーロが対ドルでじりじりと下げ始めた」と指摘。「トリシェ 総裁の発言は、市場の大半が望んでいたよりもずっと控えめだったと いえよう」と述べた。

トリシェ総裁は、市中銀行への1年物資金供給で金利を引き上げ る考えはないと付け加えた。一方、米連邦準備制度理事会(FRB) は前日に公表した議事録で、住宅ローン担保証券(MBS)購入プロ グラム終了時の混乱を最小限に抑えるため、MBSの購入規模を縮小 することを示唆した。

7月のユーロ圏小売売上高指数は、1年2カ月連続での前年割れ となった。欧州連合(EU)統計局によると、同指数は前年同月比

1.8%低下。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミストの予 想中央値では、2.2%低下と見込まれていた。前月は2.0%低下だっ た。

UBSの為替ストラテジスト、ブライアン・キム氏は「バーナン キFRB議長をはじめ米当局は透明性において非常に優れている」と 指摘。「FRBはECBよりも今後の見通しについてより明確だ」と 述べた。

リスク志向

南アフリカ・ランドは対ユーロで2.2%高と、主要16通貨中で は対ユーロでの値上がり率トップ。南アフリカでは、3カ月物の銀行 間金利が7.1%と、ユーロ圏での同金利水準の0.8%を上回る。ブ ラジル・レアルは対ユーロで1.3%値上がりした。

BNPパリバ・セキュリティーズの通貨ストラテジスト、セバス チャン・ゲーリー氏(ニューヨーク在勤)は、「リスク資産に資金が 戻っている」と指摘。「リスク資産通貨を売り持っていた投資家は打 撃を受けている」と述べた。

 円は対南アフリカ・ランドで2.6%安。キャリートレード(低 金利通貨で資金を調達し、高金利通貨などに投資する取引)が拡大す るとの観測が背景。3カ月物の東京銀行間金利は0.55%。

米供給管理協会(ISM)がこの日発表した8月の非製造業総合 景況指数は48.4と、前月の46.4から上昇した。ブルームバーグが まとめたエコノミスト予想の中央値は48.0だった。同指数は50が サービス業活動の拡大と縮小の境目を示す。

◎米国株式市場

米株式相場は5日ぶりに上昇。コストコ・ホールセールやギャ ップなど小売り大手の売上高が予想を上回ったため、買いが優勢にな った。中国株が6カ月ぶりの大幅高になったことも支援材料。

コストコは海外の売上高を伸ばしたことが好感され、株価は

8.6%高。ギャップは既存店売上高の減少率がアナリスト予想の半分 にとどまった。上海総合指数が4.8%上昇したことを背景に、アル コアやキャタピラーがダウ工業株30種平均の上昇をけん引した。

S&P500種株価指数は前日比0.9%高の1003.24。過去3日 間では3.3%下げていた。ダウ工業株30種平均は63.94ドル (0.7%)上昇の9344.61ドルで終了した。ニューヨーク証券取引 所(NYSE)の騰落比率は4対1。先進23カ国の株式で構成する MSCI世界指数は0.5%上昇した。

ヘイバーフォード・トラストの最高投資責任者(CIO)、ハン ク・スミス氏は「企業利益は引き続き投資家の予想を上回るだろう。 ファンダメンタルの観点からは相場が行き過ぎているとは思わない」 と述べた。

8月の既存店売上高

コストコの既存店売上高は前年同月比2%減少したものの、アナ リスト予想の5.6%減ほどは悪化しなかった。ギャップもアナリス ト予想ほど落ち込まず、株価は上昇した。

フォード・モーターは急伸。米格付け会社のムーディーズ・イン ベスターズ・サービスが格付けを引き上げたことが買いを誘った。コ スト削減や手元資金、「力強い」品揃えが格上げの理由。

アルコアは3.6%上昇。中国の景気刺激策を理由に世界のアル ミ需要見通しを引き上げたことが買いを誘った。キャタピラーも高い。

S&P500種の金融株指数は2.3%高と全10セクター中で最も 上げた。フレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)によると、30年 物固定式の住宅ローン金利は今週、平均5.08%と前週の5.14%か ら低下。住宅市場が安定化しつつある中、借り入れコストの低下を示 した。

原材料価格の上昇を背景にS&P500種の素材株は1.6%高。 金は6カ月ぶりの高値となる1オンス=999.50ドルを付け、銅は続 伸した。

一方、バイオ大手のアムジェンや薬品のメルクは下げた。オバマ 大統領が医療改革をめぐる議会での攻防で直接的な役割を一段と担う 姿勢を表明したことが売りを誘った。

中国

中国証券監督管理委員会(証監会)の劉新華副主席が「安定的で 健全な」市場を促進する方針を示し、政府が株式市場の投機的な動き を抑制するとの懸念が後退。中国株急伸のきっかけとなった。

4日からロンドンで開催される20カ国地域(G20)財務相・中 央銀行総裁会議では世界経済が回復しつつあるとの認識が示される可 能性が高い。欧州中央銀行(ECB)は3日、政策金利を過去最低水 準で据え置いた。

コメルツ銀行の新興市場調査責任者(ロンドン在勤)、ミヒャエ ル・ガンスケ氏は「中国の世界経済回復への寄与度は絶大だ」と述べ た。

パラダイム・キャピタル・マネジメントのシニア・バイスプレジ デント、ジョナサン・ボルスト氏は「中国が成長を続ければ、世界経 済のエンジンとなるだろう。中国は非常に大型の景気対策を打ち出し た。それは明らかに建設企業や機械会社の業績に寄与するだろう」と 述べた。

◎米国債市場

米国債相場は下落。前日までの4日続伸から反落した。4日に は米雇用統計の発表が控えているほか、米財務省の発表した来週の3 年、10年および30年債入札(合計700億ドル)が売り材料となっ た。

朝方発表された週間失業保険申請件数は57万件と、事前予想 の56万4000件を上回ったものの、米国債は下落した。

BNPパリバ・セキュリティーズの金利ストラテジスト、サブ ラト・プラカシュ氏は、「ポジションを手じまう動きが広がった。雇 用統計が相場の流れを左右するだろうが、その後は国債の供給が材料 視されるだろう」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時15分現在、10年債利回りは前日比4ベーシスポイント (bp、1bp=0.01ポイント)上昇し3.34%。10年債(表面利 率3.625%、2019年8月償還)価格は10/32安の102 14/32。

米雇用統計

ブルームバーグがまとめたエコノミスト79人の調査によると、 8月は23万人の雇用減が見込まれている。前月は24万7000人の 減少だった。米労働省は米東部夏時間4日の午前8時30分(日本時 間午後9時30分)、8月の雇用統計を発表する。

8月7日に発表された7月の米雇用統計は、雇用の減少幅が予 想より小幅だったことから米国債が売られ、10年債利回りは約2カ 月ぶり高水準の3.88%をつけた。その週の利回りは2003年3月以 来で最大の上げを記録した。

8月7日以来、10年債利回りは最大で60bp低下した。過去 6カ月間続く株価上昇が経済成長見通しに比べて速過ぎるとの見方が 背景だ。

国債入札

財務省によると、来週の入札規模は3年債が380億ドル、10 年債が200億ドル、30年債が120億ドル。前回の同年限の国債入 札時(合計750億ドル)を下回る規模だ。

オバマ政権は景気刺激策に必要な資金を調達するため国債の発 行を増やしている。発行額は過去最大の6兆7800億ドルに膨れ上が った。

米供給管理協会(ISM)が発表した8月の非製造業総合景況 指数は48.4と、前月の46.4から上昇した。ブルームバーグがまと めたエコノミスト予想の中央値は48.0だった。同指数は50がサー ビス業活動の拡大と縮小の境目を示す。

欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は3日、政策決定後の 記者会見で、ユーロ圏経済がリセッション(景気後退)から回復する 道は平坦ではないとの見通しを示し、景気刺激の緊急措置を早急に引 き揚げる考えがないことを示唆した。

トリシェ総裁は会見で、「今は出口戦略の時ではない」と言明し た。ECBはこの日、主政策金利の短期買いオペ(売り戻し条件付き 債券買いオペ=レポ)の最低応札金利を過去最低の1%で据え置いた。

◎金先物市場

ニューヨーク金先物相場は大幅続伸。一時は約6カ月ぶり高値 となる1オンス=999.50ドルを付けた。ドルの下落で代替投資先と しての金の需要が高まるとの観測が広がり、買いが膨らんだ。

金は9月に入り4.6%上げている。3日間の上昇率としては3 月以来の最大。ユーロは対ドルで過去6カ月間に13.5%値上がり。 金は通常、ドルと逆相関の関係にある。

英スタンダード・チャータード銀行の金属アナリスト、デービッ ド・バークレー氏(ロンドン在勤)は「ドルが中心となって年末にか けての金相場を押し上げるだろう」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 相場12月限は前日比19.20ドル(2%)高の1オンス=997.70 ドルで取引を終了した。一時は2.1%値上がりし、2月23日以来の 高値となった。

◎原油先物市場

ニューヨーク原油相場はほぼ変わらず。アナリストらは来週の 石油輸出国機構(OPEC)会合では生産枠が据え置かれると予想し ている。

この日のレンジはバレル当たり67.66-69.40ドル。来週月曜 の原油先物取引市場は、米祝日レーバーデーのため休場となる。

GFIグループ傘下のスターサプライ・ペトロリアムのブロー カー、ジャスティン・フォーツ氏は、「来週のOPEC会合や祝日を 控えて、何か大きな動きに出る動機に欠けた。OPECは原油相場の 水準に満足しており、ボラティリティーもあまりみられないことから、 来週の会合で何か新しい決断を下すとは考えられない」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物10月限は 前日比9セント(0.13%)安の1バレル=67.96ドルで終えた。

◎欧州株式市場

欧州株式相場は小動き。ダウ欧州600指数の株価収益率(PE R)を6年ぶり高水準に押し上げた株価の上昇を正当化するには、景 気回復が十分力強くないとの観測が広がった。

スイスの資源会社エクストラータは4.9%高。金属相場が上昇 したほか、米アルコアが世界のアルミ消費見通しを引き上げたことが 買いを誘った。英鉄道会社ナショナル・エクスプレス・グループは、 12億5000万ドル相当の買収提案を受けたことをきっかけに、13% の大幅高となった。

一方、仏酒造会社ペルノ・リカールは4.5%下げた。軟調なア ルコール需要が2010年末まで継続するとの見通しを示したことが嫌 気された。

ダウ欧州600指数は前日比0.09ポイント高の230.68で終了。 上げ幅は0.1%未満だった。一時は0.2%安となる場面もあった。 同指数は3月9日以降で46%上昇。

クラインオート・ベンソンのジェレミー・ベックウィズ最高投資 責任者(CIO)は、「調整局面が終わり、緩やかな景気回復が継続 する限り、人々は株式市場に投資し続けるだろう」と語った。

バリュエーション(株価評価)

業績・景気見通しに比べて上昇ペースが速過ぎたとの観測から、 ダウ欧州600指数は今週、2.9%下げている。ブルームバーグのま とめた週間データによると、同指数の株価収益率(PER)は48.6 倍と、2003年6月以来の高水準となった。

3日の西欧市場では、18カ国中11カ国で主要株価指数が下落。 ダウ・ユーロ50種指数はとダウ・欧州50種指数はいずれも前日比

0.2%下げた。

◎欧州債券市場

欧州債市場ではドイツ10年債相場が3日ぶりに下落。欧州中 央銀行(ECB)がユーロ圏の景気見通しを上方修正したことを受け、 売りが優勢となった。

ECBの定例政策委員会はこの日、政策金利を過去最低の1%に 据え置くことを決めた。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノ ミスト調査では58人全員が据え置きを見込んでいた。ECBはユー ロ圏の2010年の経済成長率がプラス0.2%前後との見通しを示し、 6月時点の0.3%のマイナス成長から引き上げた。

一方、独2年債相場は上昇した。トリシェ総裁がユーロ圏のイン フレ圧力は今後も弱いと発言したことが材料となった。

コメルツ銀行の債券戦略部門の共同責任者、クリストフ・リーガ ー氏(フランクフルト在勤)は「国債にとっての直近のリスクは、一 連の良好なデータが出てくることだ。これは今後数カ月は続く可能性 があり、当局者もこれを認識している」と語った。

ロンドン時間午後4時25分現在、10年債利回りは前日比1ベ ーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し3.24%。同国債 表面利率3.5%、2019年7月償還)価格は0.09ポイント下げ

102.14。2年債利回りは前日比3bp低下し1.14%となった。

◎英国債市場

英国債相場は下落。英サービス業景気指数が約2年ぶりの大幅 な伸びとなり、リセッション(景気後退)終息の観測が広がったこと が背景。

英2年債利回りは今週の最高水準。欧州中央銀行(ECB)のト リシェ総裁はこの日、「経済活動の収縮が終わった」ことを示す兆候 がみられると表明した。

カリヨンの債券ストラテジスト、オーランド・グリーン氏(ロン ドン在勤)は「リスク回避の動きが鈍り、国債相場圧迫している」と 指摘。「経済指標は景気の改善を示唆している」と述べた。

ロンドン時間午後5時5分現在、2年債利回りは前日比4ベーシ スポイント(bp、1bp=0.01ポイント)上昇し0.91%。2年 債価格(表面利率4.5%、償還期限2011年3月)は0.06ポイント 下げ104.99。10年債利回りは5bp上昇し3.59%。

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