大手銀の債券売り警戒、中期の利回り低下一服か-9月は売り越し傾向

債券市場では大手銀行の売りを警戒 する見方が出始めた。中間期末の接近に伴って決算対策の要請があると みられるためだ。9月はこれまでも銀行勢が売り越しに転じる傾向があ り、最近の相場をけん引した中期ゾーンの金利低下が一服しそうだ。

DIAMアセットマネジメントの山崎信人エグゼクティブファンド マネジャーは、景気が来年以降に息切れする可能性があるなか、投資家 は債券を保有することで金利収入を確保する姿勢を崩していないと指摘 する。ただ、ここ最近は金利水準が切り下がったこともあり、「短中期 ゾーンを中心にいったん利益確保の売りに動く公算は大きい」と読む。

大手銀が主要な取引対象としている新発5年国債利回りは今年度に 入ってから0.8-0.9%で推移したが、6月半ば以降にはじり安に推移 して0.6%台に低下した。7月から0.7%付近でのもみ合い後に再び買 い進まれると、今週には4年ぶりに0.6%台を下回った。ただ、5年債 利回りは量的金融緩和当時の平均が0.5%半ばだったため低下余地は乏 しいとの見方も多い。

三菱UFJ証券の石井純チーフ債券ストラテジストは、そもそも9 月は都市銀行が中間決算に向けた利益確定売りに動きやすいといい、5 月からの3カ月間に約4.3兆円も買い越した反動に注意すべきだと指摘。 そのうえで、「都銀が大きく買い越してきた中期債を売りに出るようだ と、利回り曲線はブル・スティープ(傾斜)化の反動からベア・フラッ ト(平たん)化に転じる」とみている。

都銀は9月に売り越しの傾向

実際、都銀の過去の売買動向を振り返ると9月に債券を売り越す傾 向が強いことがうかがえる。日本証券業協会が公表する公社債投資家別 売買高(短期証券を除く)によると、1998年以降に都銀が買い越した のは98年、99年、2008年の3回のみで、一方、00年から07年までは 8年連続で売り越した。

三菱UFJ証の石井氏は、年度末の3月は売り越し4回に対して買 い越しが7回とほぼ逆の結果が出ており、「中間期末に売り越せば年度 決算期末に買い戻すという組み合わせが多い」と説明。さらに、過去の 買い越し期間は3カ月連続が2回、4カ月連続も2回にとどまるなど、 買いの持続性が乏しいことも9月の売りへの警戒感を強めている。

益出し要請は最小限との指摘も

一方、株式相場が前年度末の水準を大きく上回っているうえ、ファ ンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)に先行き不透明感を抱えるなか では、銀行の益出し売りは最小限にとどまるといった指摘もある。

中央三井信託銀行総合資金部の関一也次長は、物価は下落基調、雇 用情勢は改善の兆しなしといった状況を勘案すれば、日銀の低金利政策 がかなり長期に及ぶとの観測は強いと指摘。そのうえで、「ただでさえ 預金増加、貸し出し難で資金余剰にある金融機関は債券残高を落としづ らく、益出しがあってもかなり限定されるのではないか」とみる。

DIAMアセットマネジメントの山崎氏も、ファンダメンタルズの 見極めには相当の時間がかかるため、大半の市場参加者が今後も金利は レンジ推移を想定しているといい、「仮に益出しの売りが出ても利回り が上がればすぐに押し目買いが入る」と指摘。5年債など中期ゾーンの 金利が上昇すれば買いの好機になるとの見方を示した。

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