本気なら逆風、民主党の温暖化対策で石油業界は環境税警戒

「鳩山由紀夫さん、どこまでやる の」――。16日にも新政権を発足させる民主党は自民党を超える地球 温暖化対策を打ち出しているが、この達成には環境税の導入が必要と の見方もある。石油業界では鳩山次期政権の本気度がどの程度か、注 目度が高まっている。

麻生太郎首相は6月、20年までに温室効果ガスの排出を05年比 15%(1990年比8%)削減する目標を発表した。これに対し、民主党 は05年比30%(同25%)削減とする目標を掲げた。

石油連盟の天坊昭彦会長(出光興産会長)は8月31日、民主党の 排出削減目標について「今後10年で達成するには非常に高いハード ル」とのコメントを発表。そのうえで「時系列的にどのようなステッ プで進めるのか、国益を踏まえて具体的に考えてもらいたい」と訴え た。

ドイツ証券の直原知弘アナリストは厳しい削減目標を達成するた め、「電力各社が原子力の稼働率を少なくとも80%以上に引き上げる とともに、比較的クリーンな液化天然ガス(LNG)も増やすことが 必要」と指摘。原油や重油を使用する火力発電所の稼働率は下がるた め、石油会社の電力向け燃料販売は落ち込む。

さらに石油業界に追い討ちをかけそうなのは環境税の導入だ。米 ゴールドマン・サックスの酒井田浩之アナリストは8月17日付リポー トで、すでにエネルギー効率の高い日本では「税制によるエネルギー 需要抑制などの手法が必要になる」と指摘。新日本石油の中村雅仁 常務も先月末の定例会見で、「環境面や財政面での課題を解消する ために環境税が導入される可能性もある」とし、「石油会社として は厳しい状況」と警戒感を強めている。

石油業界には追い風も

一方、民主党は石油製品の暫定税率撤廃や高速道路の無料化をマ ニフェスト(政権公約)で示しており、石油元売り各社にとっては追 い風となる。ガソリンには1リットル当たり53.8円の揮発油税が課せ られている。このうち25.1円が暫定税率分で、現在のガソリン小売価 格の約20%に相当する。民主党は1974年以降適用されているこの暫 定税率の撤廃を打ち出している。

石油業界には暫定税率で振り回された苦い過去がある。昨年3月 末、暫定税率が一時的に失効したことを受けて値下がりしたガソリン を給油しようと各地で行列が発生した。経済産業省によると、昨年4 月のガソリン販売量は前年同月比18%増加した。この反動で、暫定税 率が復活した5月には販売量は6%減少した。

民主党政策のもう一つの「アメ玉」が高速道路の無料化。しかし、 こちらもいいことばかりではない、今年8月のお盆期間には、休日だ けだった高速料金1000円化の対象が平日にも広がった結果、渋滞が大 幅に増加した。新日石の中村氏は「高速道路が渋滞して物流に支障が 出ているとの報道もあり、(主としてトラックの燃料として使用され る)軽油に関していうと逆にマイナスに働く可能性もある」との懸念 を示した。

新日石の中村常務は「高速道路無料化と暫定税率は、ガソリンに はプラス効果が出ると思う」と歓迎しているが、環境税導入の可能性 が内需不振にあえぐ石油業界には重くのしかかる。民主党が今後の政 策運営で、どの程度まで排出削減目標に取り組むのか。その環境政策 に国内外から注目度が高まっている。

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