9月2日の海外株式・債券・為替・商品市場

◎外国為替市場

ニューヨーク外国為替市場では円が上昇し、対ユーロと対ドルで 7週間ぶり高値。米民間部門の雇用者数が予想以上に減少したことを 受け、円への逃避が促された。

オーストラリア・ドルはほとんどの主要通貨に対して上昇。同国 の国内総生産(GDP)が4-6月(第2四半期)に予想に反して前 期比で増加し、年内の利上げ観測が高まった。円は韓国ウォンやノル ウェー・クローネに対しても値を上げた。高利回り資産への需要減退 が背景。

BNPパリバ・セキュリティーズの通貨ストラテジスト、セバス チャン・ゲーリー氏(ニューヨーク在勤)は、「リスク回避の局面に ある」と指摘。「強気な投資家は持ち高を縮小させている。経済指標 は改善しつつあるが、市場が望むほどの改善は示していない」と述べ た。

ニューヨーク時間午後4時3分現在、円は対ユーロで0.5%高の 1ユーロ=131円51銭(前日は同132円19銭)。一時は7月15日 以来の高値、同131円4銭を付ける場面もあった。円は対ドルで

0.8%高の1ドル=92円17銭(前日は同92円92銭)。一時は7月 13日以来の高値となる同92円11銭に上昇。ドルは対ユーロで0.3% 安の1ユーロ=1.4271ドル。

ゲイン・キャピタル・グループ傘下のオンライン為替取引会社F OREXドット・コムのチーフ為替ストラテジスト、ブライアン・ド ーラン氏によれば、ドルは1ユーロ=1.4275ドルを割り込むと、同 水準に設定されていた売り注文を発動させ、下げ幅を拡大した。

円・韓国ウォン相場

円は対韓国ウォンで1.6%高。ノルウェー・クローネに対しては

0.7%値上がりした。キャリートレード(低金利通貨で資金を調達し、 高金利通貨などに投資する取引)の縮小観測が背景。日本の政策金利

0.1%に対し、韓国は2%、ノルウェーは1.25%に設定されている。

投資家の不安心理を映すボラティリティ指数(VIX)はこの日、 7月10日以来の高水準となる29.57に上昇した。同指数はS&P500 種株価指数の下落に対する保険の役割を果たすオプションの価格に連 動する。S&P500種は一時0.6%下げた。

米ADPエンプロイヤー・サービシズが発表した集計調査で、米 経済の7割を占める消費の回復が遅れるリスクが浮き彫りになり、円 は対ユーロで値上がりした。

民間部門の雇用者数

ADPの同調査によると、8月の米民間部門の雇用者数は前月比 29万8000人減少した。前月改定値は36万人減。ブルームバーグが まとめたエコノミスト32人の予想中央では8月は25万人の減少が見 込まれていた。

MFグローバルの通貨アナリスト、ジェシカ・ホバーセン氏(シ カゴ在勤)は、「消費部門に対する警戒が急速に高まれば、株式はち ょっとした売り浴びせに遭うだろう。それはリスクに敏感な環境にお いてはドル高・円高を意味する」と述べた。

4日に米労働省が発表する8月の雇用統計を前に、ブルームバー グ・ニュースがまとめたエコノミスト79人の予想中央値では、非農 業部門の雇用者数は23万人減少すると見込まれている。予想通りで あれば過去1年で最も小さいマイナス幅となる。失業率は9.5%に上 昇する見通しだ。

米連邦準備制度理事会(FRB)が2日公表した連邦公開市場委 員会(FOMC、8月11-12日開催)の議事録によると、住宅ロー ン担保証券(MBS)購入プログラム終了時の混乱を最小限に抑える ため、委員会はMBSの購入規模を縮小し、期限を延長する問題につ いて意見交換した。さらに、景気回復の強さに対し懸念を表明した。

◎米国株式市場

米株式相場は4日続落。S&P500種株価指数の4日連続下落は 5月以来で最長。雇用と製造業受注に関する指標を受け、景気回復の 足取りが重いとの懸念が強まり、売りが優勢になった。

給与明細書作成代行会社のオートマティック・データ・プロセッ シング(ADP)エンプロイヤー・サービシズが発表した給与名簿に 基づく集計調査によると、8月の米民間部門の雇用者数は前月比29 万8000人減少。製造業受注額の伸びはエコノミスト予想を下回った。 これらを材料にウォルト・ディズニーやゼネラル・エレクトリック (GE)が下落した。

米連邦準備制度理事会(FRB)が2日公表した連邦公開市場委 員会(FOMC、8月11-12日開催)の議事録で、金融当局は景気 回復の強さについて「かなりの不透明感」があると見ていることが明 らかになった。銀行株が軟化する一方、米国債が上昇し、10年債利 回りは約7週間ぶりの水準に低下した。

S&P500種株価指数は前日比0.3%安の994.75。ダウ工業株30 種平均は29.93ドル(0.3%)下落の9280.67ドルで終了した。

ファースト・ソース・インベストメント・アドバイザーズで運用 に携わるジェーソン・クーパー氏は「現在はすべてがばら色というわ けではない。過去数カ月の上昇を考慮し、市場は上昇が続くかどうか について慎重になっている」と述べた。

弱気度が増す

インベスターズ・インテリジェンスが実施した投資ニュースレタ ーの分析によると、米国株への弱気度は2007年7月以来の高水準と なった。悲観的な著者の割合は8月26日―9月1日に24.1%となり、 前週の19.8%から増えた。一方、強気な著者は51.6%から50.6%に 減少した。

S&P500種は3月9日につけた12年ぶりの安値から47%戻し ている。ブルームバーグの週間データによると、前週末現在で株価収 益率(PER)は約19倍と、04年6月以来の高水準だった。

クラリデン・ロイ(チューリヒ)の株式ストラテジスト、サンド ロ・ローザ氏は「強い上昇局面の後の一服だ。バリュエーション(投 資尺度からみた適正株価)はもはや買いの好機を示しているとは言え ず、業績は株価を正当化するために増加する必要がある」と指摘した。

金先物相場が大幅高となり、ニューモント・マイニングが9.3% 上昇。S&P500種の素材株指数の構成銘柄で上昇率首位となった。

銀行株

FOMC議事録は「大部分のメンバーは今年下半期の景気回復の ペースは緩やかになる可能性が高いとみており、すべてのメンバーが ショックに対して依然としてぜい弱だとみている」と記述している。

S&P500種の銀行株指数は1カ月ぶりの低水準に沈んだ。議事 録では当局が信用損失が続く「リスクがかなり高い」とみていること が明らかになった。バンク・オブ・アメリカ(BOA)が下げ、サン トラスト・バンクスなどが急落した。

ジョンソン・イリントン(ニューヨーク州アルバニー)のヒュ ー・ジョンソン会長はブルームバーグラジオとのインタビューで、 「株価はやや過大評価されているとの懸念が非常に強い。常識はまさ に調整の時期と告げている」と指摘した。

◎米国債市場

米国債相場は上昇。10年債利回りは約7週間ぶりの低水準に押 し下げられた。米連邦準備制度理事会(FRB)が公表した連邦公開 市場委員会(FOMC、8月11-12日開催)の議事録で、景気回復 の強さに対する懸念が示されたのが背景。

議事録によると、過去最大規模の金融緩和策を解除し始める時期 をめぐり会合参加者の間で見解が分かれている。債券ファンド最大手 の米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO) の共同最高投資責任者(CIO)、ビル・グロス氏は、経済ニュース 専門局CNBCとのインタビューで、政策金利とインフレが低水準に ある限り、中長期債のパフォーマンスは今後も堅調に推移するだろう と述べた。

この日はまた、7月の米製造業受注額が予想よりも低い伸びにと どまったほか、8月の米民間部門の雇用者数が予想以上に減少したこ とが米国債の買い材料となった。

キャンター・フィッツジェラルドのチーフ債券ストラテジスト、 ジョージ・ゴンキャルベス氏は、「市場参加者は、どのような経済成 長になるのかを見極めるまで時間を稼ごうとしている。これが米国債 の強材料となっている。雇用市場の実態が明らかになるまで、米国債 は資金を保管しておくには魅力的な市場だ」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時57分現在、10年債利回りは前日比6ベーシスポイント (bp、1bp=0.01ポイント)低下し3.30%。一時は7月13日以来の 低水準となる3.28%をつけた。10年債(表面利率3.625%、2019年 8月償還)価格は15/32高の102 22/32。

FOMC議事録

FOMC議事録によると、住宅ローン担保証券(MBS)購入プ ログラム終了時の混乱を最小限に抑えるため、メンバーはMBSの購 入規模を縮小、期限を延長する問題について意見交換した。

議事録は、「会合参加者の大半は、今年下期に米景気は緩やかに 回復するだろうと予想しており、全員が経済は依然としてショックに 対してぜい弱だとみている」と記述した。また労働市場については 「なお厳しい」とした一方で、「基本的なコアインフレのペースはF RBスタッフの予想を上回っているようだ」とした。

FRBはMBSを1兆2500億ドル、機関債を2000億ドル購入す るプログラムを進めている。議事録によると、先月のFOMC会合で は購入対象に変動金利型住宅ローン(ARM)を担保とする証券を含 めるかが協議された。

FOMCは前月の会合後に発表した声明で、「米国債を最大 3000億ドル買い取る過程にある。米国債の購入が完了するのに伴う 市場の変化を円滑にするため、委員会はこうした買い取りのペースを 徐々に緩め、10月末までに全額を買い取るものと想定している」と 述べた。

10年債利回りは、FRBが3月25日に米国債買い取りプログラ ムを開始して以来、51bp上昇した。これまでに買い取った米国債規 模は2763億7100万ドルに達した。

ガイトナー米財務長官はこの日、ワシントンでの記者会見で、世 界的なリセッションを終結させるための主要20カ国・地域(G20) の取り組みは「大きな成功だった」と評価した上で、成長押し上げの ための政策を解消するのは時期尚早だと警告した。

ガイトナー長官は「ここにきて、米国をはじめとする世界各国で プラス経済成長の最初の兆しが出てきた。ここまでの道のりは長かっ た。しかし現実的に考えると、この先の道のりもまだ長い」と続けた。

ロックハート総裁

アトランタ連銀のロックハート総裁はエモリー大学での講演で、 「しばらくの間は強弱のシグナルが混在した期間が続くだろう。米経 済にはまだリスクが残る」と述べた。

UBSの金利ストラテジー責任者、クリス・アーレンズ氏と同行 アナリストのジーナ・キューロ氏は、顧客向けリポートで、米10年 債利回りはカナダやドイツ、日本、英国の同年限債利回りに比べて低 いと指摘、今後も数週間は低水準が続くだろうとの見方を示した。

◎金先物市場

ニューヨーク金先物相場は続伸し、約5カ月ぶりの大幅高。世界 的な株式相場の低迷やドルの値下がりで、代替投資先としての金の需 要が膨らんだ。

MSCI世界指数は3日続落。ほぼ2週間ぶりの安値をつけた。 主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)のド ル・インデックスは一時0.6%低下。金は年初来で11%値上がりした 一方、ドル・インデックスは同期間に3.6%下げている。

オプションズプロ・コーポレーション(フロリダ州プランテーシ ョン)のシニア商品ストラテジスト、アル・アバロア氏は、「世界的 に市場のムードはリスク敬遠にシフトし、安全性を求めた金の買いが 加速している」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 相場12月限は前日比22ドル(2.3%)高の1オンス=978.50ドルで 取引を終了した。

◎原油先物市場

ニューヨーク原油相場は変わらず。雇用者数の減少や製造業受注 の伸び悩みを受け、米景気の回復足踏みへの懸念から、一時は2週間 ぶり安値をつけた。

給与明細書作成代行会社のオートマティック・データ・プロセッ シング(ADP)エンプロイヤー・サービシズが発表した8月の米民 間部門の雇用者数は前月比29万8000人減少した。ブルームバーグが まとめたエコノミスト予想の中央値は25万人の減少だった。米商務 省が発表した7月の製造業受注額は前月比1.3%増と、ブルームバー グ・ニュースがまとめたエコノミスト予想中央値(2.2%増)を下回 った。

MFCグローバル・インベストメント・マネジメント(ボスト ン)のマネジングディレクター、チップ・ホッジ氏は、「一貫して明 るい経済ニュースが相次いで発表でもされない限り、原油価格が75 ドルを突破する根拠はない」と述べる。「需要が本格的に持ち直す、 あるいは供給障害でも起きない限り、経済が引き続き方向性を握るこ とになろう」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物10月限は前 日と変わらずの1バレル=68.05ドルで終えた。一時は67.05ドルま で下げ、8月18日以来の安値をつける場面もあった。

◎欧州株式市場

欧州株式相場は3日続落。過去半年にわたる株価上昇は、業績と 景気の見通しに比べてペースが速過ぎたとの警戒感が高まった。今春 からの株価上昇でダウ欧州600指数の株価収益率(PER)は6年ぶ り高水準に押し上げられている。

フランスの固定電話ネットワーク大手、アルカテル・ルーセント は、最大10億ユーロの転換社債の発行計画を発表したことが嫌気さ れ、7.3%下げた。コンテナ船輸送会社を所有するデンマークのAP モラー・マースクは8.1%の大幅安。戦後最大となる株式発行計画を 明らかにしたことが売りを誘った。オールド・ミューチュアルとアビ バを中心に英保険株が安い。

ダウ欧州600指数は前日比0.5%安の230.59で終了。過去3日 間の下げ幅は2.9%となった。ブルームバーグのまとめた週間データ によると、ダウ欧州600指数のPERは48.6倍と、2003年6月以来 の高水準となった。

オクトパス・インベストメンツ(ロンドン)のローザー・メンテ ル最高投資責任者(CIO)はブルームバーグテレビジョンとのイン タビューで、「われわれは依然としてリセッション(景気後退)下に ある」と語った。

2日の西欧市場では、18カ国すべてで主要株価指数が下落。ダ ウ・ユーロ50種指数は前日比0.4%下げた一方で、ダウ・欧州50種 指数は0.08ポイント高とほぼ変わらず。

保険株が大幅安

ダウ欧州600指数を構成する19産業グループの中で、保険銘柄 は1.9%下げ、最大の下げを記録した。英国保険業協会(ABI)は、 欧州連合(EU)の新規則への対応で、英保険業界が最大700億ポン ドの資本増強を余儀なくされるとの見方を示したことが売り材料とな った。

オールド・ミューチュアルは3%安、アビバは3.7%下げた。 プルデンシャルは2.1%、リーガル・アンド・ゼネラル・グループは

7.3%それぞれ下げた。

オランダ最大の金融サービス会社、INGグループは3.9%下落。 再保険最大手のスイス再保険は4.8%安となった。

◎欧州債券市場

欧州債市場ではドイツ国債相場が上昇。株式相場が下落したこと から、安全資産として国債の需要が膨らんだ。

独10年債利回りは約4カ月ぶりの低水準。ダウ欧州600指数は

0.5%値下がりした。欧州連合(EU)統計局が発表したユーロ圏の 4-6月(第2四半期)実質GDP(域内総生産)改定値で、家計支 出が1年余りで初めて増加に転じたことが示された後も、国債相場は 上げ幅を拡大した。

ウニクレディト・マーケッツ・アンド・インベストメント・バン キングの債券ストラテジスト、コーネリアス・パープス氏(ミュンヘ ン在勤)は、「この日の国債の動きは、株式相場を押し下げた悲観的 な市場心理に左右されている」と指摘。「最近の明るい材料を考慮す れば、国債利回りは現在の水準よりも大幅に上昇しているべきだが、 今になって投資家は神経質になっている」と述べた。

ロンドン時間午後3時40分現在、10年債利回りは前日比2ベー シスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し3.22%。同国債(表 面利率3.5%、2019年7月償還)価格は0.15ポイント上げ102.29。 2年債利回りは前日比2bp低下し1.17%。

◎英国債市場

英国債市場では10年債相場が上昇。業績見通しに基づくと、過 去半年にわたる株価上昇は行き過ぎだったとの懸念を背景に株式相場 が下落し、安全資産としての国債需要が高まった。

2年債利回りは一時、過去最低水準に近づいた。英国購買部協会 (CIPS)が2日発表した8月の統計で、英経済の約6%に相当す る製造業が予想以上の落ち込みを示したことが、相場の押し上げ要因 となった。英株式の指標であるFT100種指数は続落。英政府が実施 した50億ポンド規模の3年債入札では、応札倍率が前回から低下し たものの、国債相場の上昇には響かなかった。

RIAキャピタル・マーケッツの債券ストラテジスト、ニック・ スタメンコビッチ氏は、「株式相場の上昇は勢いを失いつつあり、国 債相場は質への逃避から恩恵を受けている」と指摘。国債入札では 「需要の強さが問われ、利回りは現行水準からそれほど下がらないだ ろう」と語った。

10年債利回りはロンドン時間午後4時39分現在、前日比2ベー シスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の3.54%。先月26日に は3.52%まで下げ、5月20日以来の最低水準となった。同国債(表 面利率4.5%、2019年3月償還)価格は前日比0.12ポイント上げ

107.68。一方、2年債利回りは0.88%と、前日を2bp上回った。

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