米国債:上昇、FOMC議事録が景気回復の強度を懸念

米国債相場は上昇。10年債利 回りは約7週間ぶりの低水準に押し下げられた。米連邦準備制度理 事会(FRB)が公表した連邦公開市場委員会(FOMC、8月 11-12日開催)の議事録で、景気回復の強さに対する懸念が示さ れたのが背景。

議事録によると、過去最大規模の金融緩和策を解除し始める時 期をめぐり会合参加者の間で見解が分かれている。債券ファンド最 大手の米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIM CO)の共同最高投資責任者(CIO)、ビル・グロス氏は、経済 ニュース専門局CNBCとのインタビューで、政策金利とインフレ が低水準にある限り、中長期債のパフォーマンスは今後も堅調に推 移するだろうと述べた。

この日はまた、7月の米製造業受注額が予想よりも低い伸びに とどまったほか、8月の米民間部門の雇用者数が予想以上に減少し たことが米国債の買い材料となった。

キャンター・フィッツジェラルドのチーフ債券ストラテジスト、 ジョージ・ゴンキャルベス氏は、「市場参加者は、どのような経済 成長になるのかを見極めるまで時間を稼ごうとしている。これが米 国債の強材料となっている。雇用市場の実態が明らかになるまで、 米国債は資金を保管しておくには魅力的な市場だ」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク 時間午後4時57分現在、10年債利回りは前日比6ベーシスポイン ト(bp、1bp=0.01ポイント)低下し3.30%。一時は7月13日以 来の低水準となる3.28%をつけた。10年債(表面利率3.625%、 2019年8月償還)価格は15/32高の102 22/32。

FOMC議事録

FOMC議事録によると、住宅ローン担保証券(MBS)購入 プログラム終了時の混乱を最小限に抑えるため、メンバーはMBS の購入規模を縮小、期限を延長する問題について意見交換した。

議事録は、「会合参加者の大半は、今年下期に米景気は緩やか に回復するだろうと予想しており、全員が経済は依然としてショッ クに対してぜい弱だとみている」と記述した。また労働市場につい ては「なお厳しい」とした一方で、「基本的なコアインフレのペー スはFRBスタッフの予想を上回っているようだ」とした。

FRBはMBSを1兆2500億ドル、機関債を2000億ドル購入 するプログラムを進めている。議事録によると、先月のFOMC会 合では購入対象に変動金利型住宅ローン(ARM)を担保とする証 券を含めるかが協議された。

FOMCは前月の会合後に発表した声明で、「米国債を最大 3000億ドル買い取る過程にある。米国債の購入が完了するのに伴 う市場の変化を円滑にするため、委員会はこうした買い取りのペー スを徐々に緩め、10月末までに全額を買い取るものと想定してい る」と述べた。

10年債利回りは、FRBが3月25日に米国債買い取りプログラ ムを開始して以来、51bp上昇した。これまでに買い取った米国 債規模は2763億7100万ドルに達した。

ガイトナー米財務長官はこの日、ワシントンでの記者会見で、世 界的なリセッションを終結させるための主要20カ国・地域(G20) の取り組みは「大きな成功だった」と評価した上で、成長押し上げの ための政策を解消するのは時期尚早だと警告した。

ガイトナー長官は「ここにきて、米国をはじめとする世界各国で プラス経済成長の最初の兆しが出てきた。ここまでの道のりは長かっ た。しかし現実的に考えると、この先の道のりもまだ長い」と続けた。

ロックハート総裁

アトランタ連銀のロックハート総裁はエモリー大学での講演で、 「しばらくの間は強弱のシグナルが混在した期間が続くだろう。米経 済にはまだリスクが残る」と述べた。

UBSの金利ストラテジー責任者、クリス・アーレンズ氏と同行 アナリストのジーナ・キューロ氏は、顧客向けリポートで、米10年債 利回りはカナダやドイツ、日本、英国の同年限債利回りに比べて低い と指摘、今後も数週間は低水準が続くだろうとの見方を示した。

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