9月1日の海外株式・債券・為替・商品市場

◎外国為替市場

ニューヨーク外国為替市場では円が対ユーロで続伸。これで6 営業日連続高と、1月以来の最長となった。ドルも対ユーロで上昇し た。米株式市場で金融株が値下がりしたことから、安全逃避先として 円やドルが買われた。

オーストラリア・ドルは米ドルと円に対して下落。オーストラリ ア準備銀行(RBA、中央銀行)が、「金融政策はなお適切」と表明 したことから、利上げへの期待が損なわれた。英国ポンドは対ユーロ で6月以来の安値水準。同国の製造業景気指数が予想に反し低下した 上、消費者信用残高が過去最大の減少幅を記録した。

TDセキュリティーズのチーフ為替ストラテジスト、ショーン・ オズボーン氏(トロント在勤)は「株式相場がかなり軟調のようだ」 と指摘。「ドルと円はそれに支えられている」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時14分現在、円は対ユーロで1.1%高 の1ユーロ=132円7銭(前日は同133円48銭)。一時は7月17 日以来の高値、同131円86銭を付けた。ドルは対ユーロで0.8% 高の1ユーロ=1.4215ドル(前日は同1.4334ドル)。ドルは対円 で0.2%安の1ドル=92円92銭(前日は同93円12銭)。

ドルは対ユーロで、1ユーロ=1.4277ドルの節目を上抜けたこ とから上げ幅を拡大した。オズボーン氏によれば、この水準は8月 17日以降のユーロ上昇局面の値動きを表すトレンドライン上にある。

円は対スウェーデン・クローナで2.5%高。ドルは対メキシ コ・ペソで2.2%値上がり。S&P500種株価指数が2.2%下落し たことが背景。

AIG株が大幅下落

米保険のアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG) は21%急落。米生命保険メットライフは7.4%、米銀シティグルー プは9.2%それぞれ値下がりした。

オーストラリア・ドルは対米ドルで2.2%安。豪中銀は景気刺 激を目的に、政策金利を5カ月連続で3%に据え置いた。豪ドルは対 円では2.4%下げた。

英国ポンドは対ユーロで1ユーロ=87.98ペンス。ポンドは対 ドルで1%値下がりした。

英国の信用

イングランド銀行(英中央銀行)が発表した7月の英消費者信用 残高は2億1700万ポンド減少と、マイナス幅は少なくとも1993年 以来で最大となった。消費者が支出よりもローン返済を優先させてい ることが示された。また、同国の8月の製造業景気指数は49.7と、 前月の50.2から低下。

HSBCホールディングスによると、ポンドの対ドルでの下落は 続かないもようだ。イングランド銀行は米連邦準備制度理事会(FR B)よりも早く利上げに踏み切るとの観測から、ポンドは上昇すると している。

ポンドの見通し

HSBCの通貨戦略ディレクター、ポール・マケル氏(ロンドン 在勤)はインタビューで、ポンドは年末には1ポンド=1.62ドルと なり、来年には同1.75ドルに値上がりすると予想した。

ドルは7月15日以降、世界的な景気回復は持続可能かどうか議 論が続くなか、1ユーロ=1.40ドルから同1.45ドルのレンジで取 引されている。ドルは過去6カ月で11%下落。世界的な景気回復の 兆しを受け、米国債を売って高利回り資産を買う動きが活発になった。

◎米国株式市場

米株式相場は3日続落。製造業景況指数や中古住宅成約指数が エコノミスト予想を上回ったものの、銀行の損失が続くとの懸念から 売りが膨らんだ。

ウェルズ・ファーゴは公的資金を近く返済することを表明したも のの、株価は2週間ぶりの大幅安。バンク・オブ・アメリカ(BO A)は6.4%安となり、構成するダウ平均を押し下げた。株価上昇 の幅とペースが行き過ぎだったとアナリストから指摘されたアメリカ ン・インターナショナル・グループ(AIG)とメットライフも急落 した。

S&P500種株価指数は前日比2.2%安の998.04。下落率は8 月17日以来で最大。節目の1000を下回って終えるのは8月19日 以来で初めて。ダウ工業株30種平均は185.68ドル(2%)下落の

9310.60ドルで終了した。

リッジワース・キャピタル・マネジメントのファンドマネジャー、 ドン・ワーデル氏は「銀行の先行きは2四半期前ほど暗くはないが、 まだ晴れてはいない。市場はこれまでの大きな上昇を維持できない」 と指摘した。

S&P500種は3月9日以降48%戻しており、金融株指数は同 123%高と、けん引役になっている。ブルームバーグのデータによる と、S&P500種の9月の騰落率は1928年以降の平均で1.3%安 と、月別では最も成績が悪い。

米供給管理協会(ISM)が発表した8月の製造業景況指数は1 年7カ月ぶりに製造業活動の拡大と縮小の境目を示す50を上回った。 7月の中古住宅販売成約指数は予想以上に上昇したものの、ともに買 いは誘わず、相場は一段安になった。

割高感

クレディ・スイスのストラテジスト、アンドルー・ガースウエー ト氏はリポートで、米国株のバリュエーション(投資尺度からみた適 正株価)について、ほかの先進国市場と比べ、「わずかに行き過ぎて いる」ようだと指摘。米国株の配分比率の引き下げを提唱した。

前週末現在でS&P500種の株価収益率(PER)は約19倍と、 04年6月以来の高水準だった。

米国株オプションの代表的な指標であるシカゴ・オプション取引 所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX)は12%上昇の

29.15。7月9日以来の高水準で終えた。VIXはS&P500種の 下落に備えた保険としてのオプション費用を示す。過去最高は昨年 11月につけた80.86。同指数の歴史19年の平均である20はなお 上回っている。

金融株が急落

S&P500種の金融株指数は5.3%下落し、約2カ月ぶりの大 幅安。BOAのほか、シティグループの下げも目立った。

RBCキャピタル・マーケッツのアナリスト、ジョー・モーフォ ード、デービッド・キングの両氏は調査リポートで、西海岸の米銀は 信用状況の悪化と貸し倒れの増加になお苦しんでいると指摘。不動産 市場の悪化に伴う評価損に向け、「これらの多くの銀行は資本や引当 金が十分でない可能性が残っている」との見方を示している。

250億ドルの公的資金を受けているウェルズ・ファーゴは

4.8%安。ジョン・スタンプ社長兼最高経営責任者(CEO)はブル ームバーグテレビジョンとのインタビューで、「公的資金は返済する が、株主にとって良い方法で返済する」と話した。さらに「現在は独 力で資本が急速に高まっているため、既存の株主利益を希薄化するこ とは望まない」と述べた。

AIGは21%安と、S&P500種の構成銘柄で下落率トップ。 サンフォード・C・バーンスティーンが投資判断を「マーケットパフ ォーム」から「アンダーパフォーム」へ引き下げたことが売りを誘っ た。AIGがもはやシステミックリスクではないと判断されたなら、 政府が支援を減らす可能性があることを理由に挙げた。AIG株は8 月に245%上げた。

◎米国債市場

米国債相場は短期債を中心に上昇。最近の株価上昇は企業の業 績見通しに比べてペースが速過ぎるとの見方から株価が下落、投資家 は比較的安全とされる国債に買いを入れた。

この日発表された8月のISM製造業景況指数で、1年7カ月 ぶりに製造業の拡大が示され、7月の米中古住宅成約指数も予想を上 回る伸びだったにもかかわらず、2年債利回りは約6週間ぶりの低水 準を記録した。

米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMC O)で世界最大の債券ファンドを運用するビル・グロス氏は、9月投 資見通しリポートで、米経済をリセッション(景気後退)脱却へと導 くのは住宅市場ではないと述べ、政策金利は長期間にわたって低水準 で据え置かれるとの見方を示した。

BNPパリバ証券の金利戦略責任者、ブレント・ベイガン氏は、 「この日の流れは明らかな質への逃避だった。株価に対する疑問から 多くの不安要素が持ち上がった。国債市場は強気な流れに逆らえな い」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時15分現在、2年債利回りは前日比6ベーシスポイント (bp、1bp=0.01ポイント)低下し0.91%。一時は7月22日以 来の低水準の0.90%まで下げた。2年債価格(表面利率1%、 2011年8月償還)は4/32高の100 6/32。10年債利回りは3b p下げて3.37%だった。

RBSセキュリティーズの米国債ストラテジスト、ウィリア ム・オドネル氏は顧客向けのリポートで、国債市場では「押し目で買 いを入れるよう」推奨した。同氏は10年債利回りが年末までに3% に低下すると予想している。「毎日のように景気の良さや、依然より 悪くない統計が発表されているが、それにもかかわらず国債相場は抵 抗線を一歩ずつ確実に破っている」と述べる。

製造業が拡大

米供給管理協会(ISM)が発表した8月の製造業景況指数は

52.9と、1年7カ月ぶりに製造業活動の拡大と縮小の境目を示す 50を上回った。前月は48.9だった。

全米不動産業者協会(NAR)が発表した7月の中古住宅販売 成約指数は前月比3.2%上昇。6月は3.6%上昇だった。

PIMCOのグロス氏は米国では持ち家比率が低下しており、 今は65%が「新たな標準になった」と指摘する。従来は69%だった。

米国債リターン

メリルリンチのデータによると、8月の米国債リターンは

0.9%。7月は0.4%だった。前回米国債リターンが2カ月連続でプ ラスを記録したのは昨年11月と12月だった。年初来ベースでは

3.2%のマイナスとなっている。一方、社債のリターンは20%のプ ラス。

米連邦準備制度理事会(FRB)は2012年5月から2013年 8月に償還期限を迎える米国債56億ドルを買い取った。今年3月 25日に始まった3000億ドルの米国債買い取りプログラムでは、こ れまでに2763億7100万ドル相当の米国債が買い取られた。同プロ グラムは10月末で終了する予定だ。

10年債と同年限のインフレ連動債(TIPS)の利回り格差は

1.66ポイントに縮小。前月は2.05ポイントまで上昇していた。過 去5年間の平均値は2.20ポイントとなっている。

米国債相場のボラティリティ(予想変動率)の指標であるメリ ルリンチのMOVE指数は131に低下。今年6月には年初来最高の 190を記録した。

◎金先物市場

ニューヨーク金先物相場は反発。8月の製造業景況指数が上昇 し、戦後最悪のリセッション(景気後退)からの脱却に貢献している ことが示されたほか、7月の米中古住宅販売成約指数も改善し、金へ の買いを誘った。

米供給管理協会(ISM)が発表した8月の製造業景況指数は

52.9と、前月の48.9から上昇。製造業活動の拡大と縮小の境目を 示す50を1年7カ月ぶりに上回った。全米不動産業者協会(NA R)が発表した7月の中古住宅販売成約指数は前月比3.2%上昇し、 市場予想を上回る伸びを示した。

ヘリテージ・ウエスト・フューチャーズのアナリスト、ラルフ・ プレストン氏(サンディエゴ在勤)は「今朝方の米製造業の好調な指 標が金価格を押し上げている」と指摘。その上で、金相場が1オンス =960ドル超で終了すれば、同975ドルに向けた「トレンド形成が 誘発されるだろう」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 相場12月限は前日比3ドル(0.3%)高の1オンス=956.50ドル で取引を終了した。

◎原油先物市場

ニューヨーク原油相場は下落。2週間ぶり安値に下げた。金融 機関の損失拡大懸念を材料に米国株が下落したのが売り材料だった。

これまでの株価上昇は景気回復見通しを正当化できるペースで はないとの見方が広がり、この日の米株式相場は下落した。またドル が対ユーロで上昇し、商品投資の妙味が薄れたことも原油売りを誘っ た。

コンフランス・インベストメント・マネジメント(セントルイ ス)のチーフ市場ストラテジスト、ビル・オグレイディ氏は、「短期 的には株価が下げれば、商品もそれに追随するだろう。景気回復を示 す兆候はみられるが、実際の回復には時間がかかるだろう。それに回 復の兆しは、企業利益のさらなる改善に反映される必要がある」と述 べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物10月限は 前日比1.91ドル(2.73%)安の1バレル=68.05ドルで終えた。 一時は68ドルと、8月18日以来の安値をつける場面もあった。

◎欧州株式市場

欧州株式相場は続落。前日に続き、ダウ欧州600指数の株価収 益率(PER)を6年ぶり高水準に押し上げた株価の上昇は、企業の 見通しに比べてペースが速過ぎたとの観測が売りを誘った。

欧州最大の家電メーカー、ロイヤル・フィリップス・エレクト ロニクスは下落。仏証券会社が同社の株を売り銘柄に指定したほか、 ダウ・ユーロ50種株価指数の構成銘柄から除外されることが明らか になったのが嫌気された。

仏建設3位のエファージュは昨年10月以来の大幅安。同社の 上半期利益は前年同期比64%減となった。フィンランドの通信機器 メーカー、ノキアも安い。クレディ・スイス・グループが同社の株式 投資判断を引き下げたのが背景。

ダウ欧州600指数は前日比1.8%安の231.66で終了。ユーロ 圏の製造業が縮小を示したほか、英国でも同様の指数が予想外に低下 したのが売りを誘った。

ブルームバーグのまとめたデータによると、ダウ欧州600指数 のPERは48倍と、2003年6月以来の高水準付近となった。

フォルティス・プライベート・バンキングの株式ストラテジス ト、ギローム・デュシェスネ氏(ジュネーブ在勤)は、製造業統計か らは「思ったほど状況が堅調ではないことが示された。ぜい弱性がみ られる。問題はスムーズな回復を確信するのか、それともそれほど良 くない回復を見込むのかだ」と述べた。

ダウ欧州600指数は3月9日以降で47%上昇。仏化粧品ロレ アルから米金融ゴールドマン・サックス・グループに至るまで、数多 くの企業が予想以上に好調な決算を発表したほか、フランスとドイツ の国内総生産(GDP)がプラス成長を記録したのが株価の上昇を支 えた。

マークイット・エコノミクスが発表した8月のユーロ圏製造業 景気指数の改定値は48.2と、前月の46.3から上昇したが、活動の 拡大・縮小の分かれ目とされる50を下回った。英国購買部協会(C IPS)によれば、8月のサービス業界の購買担当者指数(PMI) は49.7と、前月の50.2から低下した。

フィリップス

フィリップスは4.5%安と、3月以来の大幅下落。エファージ ュは9.3%値下がりした。同社上半期の純利益は5000万ユーロと、 前年同期の1億4000万ユーロから大幅に落ち込んだ。

ノキアは2.9%下落。クレディ・スイスは「スマートフォン (多機能携帯電話)のリスクが強まった」として、ノキアの株式投資 判断を「アウトパフォーム」から「アンダーパフォーム」に引き下げ た。

◎欧州債券市場

欧州債相場は上昇。ユーロ圏の失業率が7月に過去10年余り で最悪となったことが背景。

独2年債利回りは約6週間ぶりの低水準。欧州連合(EU)統計 局が発表した7月のユーロ圏失業率(季節調整済み)は9.5%に上 昇し、1999年6月以来の高水準に達した。これを受け、株式相場は 下落。安全資産への需要が高まった。一方、ドイツ小売売上高は7月 に3カ月ぶりに増加、8月のユーロ圏製造業指数は予想以上に活動の 縮小緩和を示したものの、国債相場は値上がりした。

ウニクレディト・マーケッツ・アンド・インベストメント・バン キングの債券調査担当責任者マイケル・ロットマン氏は「経済見通し に対する最近の楽観的な見方はもろいようだ」と指摘。「この先数週 間は回復の持続が見込まれているが、問題はそれ以降に持続可能かど うかだ」と述べた。

ロンドン時間午後4時12分現在、2年債利回りは前日比4ベー シスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し1.20%。同国債 (表面利率1.5%、2011年6月償還)価格は0.07ポイント上げ

100.51。10年債利回りは前日比ほぼ変わらずの3.26%。

◎英国債市場

英国債市場では2年債相場が小幅下落。8月の同国の製造業景 気指数が前月から低下した一方、イングランド銀行(英中央銀行)が 発表した7月の英住宅ローン承認件数は1年3カ月ぶりの高水準に増 加した。

ロンドン時間午後4時55分現在、2年債利回りは前日比1ベー シスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)上昇し0.86%。一時は ブルームバーグが1992年にデータ集計を開始して以来の最低水準と なる0.81%を付けた。2年債価格(表面利率4.25%、2011年3月 償還)は0.03ポイント下げ105.08。10年債利回りは1bp 低下 し3.54%。

英国は2日に2012年に償還期限を迎える国債50億ポンド相当 の入札を予定。3日には、発行額22億5000万ポンドの30年債を 入札する。英政府は来年3月までの今会計年度に過去最大規模となる 総額2200億ポンドの入札を計画している

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