モルモン教徒らが46億円被害-米国で増える宗教や民族狙った詐欺

ヘンリー・ジョーンズ氏は電話会議 でトライ・エナジーの投資家らに朗報を届けた。数年間にわたって同 社が取り組んできた金関連取引が利益につながりそうだと。

米カリフォルニア州在住の音楽プロデューサーだったジョーンズ 氏(55)とパートナー2人は、投資家735人から5000万ドル(約46 億6000万円)以上を調達。イスラエルの団体が保有する金2万トンを アラブのバイヤーらに販売するのを仲介するため、この資金を利用す ると投資家らに伝えていた。ジョーンズ氏らは投資資金を3倍に増や すと約束。ただ、トライ・エナジーが最終段階での問題点を解決でき た場合に限ると主張した。

ジョーンズ氏は2004年12月20日、参加者の1人が録音していた 電話会議で、取引を成立させるためには書類が必要で、それを入手す るために45万ドルかかると述べている。数日後、別の電話会議では、 手数料の振替口座を開設するためにトライ・エナジーは10万ドルを支 払う必要があると語った。05年1月15日には新たな要請をする。取 引を担当している銀行が監査費用として12万5000ドルを要求してい ると。

当初資産家のユダヤ人から資金を集めたバーナード・マドフ受刑 囚による650億ドル規模の巨額詐欺事件や、聴覚障害者を狙った440 万ドル規模の詐欺事件などと同様に、トライ・エナジーの投資家にも 共通点がある。

多くは、モルモン教やキリスト教再生派の信者で、夢を共有し夜 間に実施される電話会議で祈りを捧げる人々だった。投資による利益 を慈善事業に活用しようと、住宅に2度目の抵当権を設定、年金口座 から資金を引き出し、親類を勧誘しながら、資金集めを続けた。

ナイジェリア出身のジョーンズ氏とパートナーのロバート・ジェ ニングス氏(59)はその後、郵便詐欺や有線通信不正行為、証券詐欺 の容疑でロサンゼルスの連邦裁判所で有罪判決を受けた。ジェニング ス氏は昨年11月に懲役12年、ジョーンズ氏は今年4月に同20年を言 い渡された。

親近感を利用した詐欺

これらの詐欺事件は、懲役150年の判決を言い渡されたマドフ受 刑囚による巨額詐欺事件に比べれば取るに足らないように見えるが、 これらのケースや他の親近感を利用した詐欺には共通点がある。詐欺 師たちは、同じ考えを持ち文化的な結び付きによる信頼感から冷静な 判断ができなくなって信じ難いもうけ話に乗ってしまう投資家たちを 餌食にする。

調査会社NERAエコノミック・コンサルティング(ニューヨー ク)が集計したデータによると、米証券取引委員会(SEC)は06 年の初め以降、ねずみ講関連で86件の強制措置を実施。この件数は 09年1-6月に36件と、06年全体の11件から3倍以上に増加してい る。

新規の投資家からの資金が他の投資家への支払いに充てられたり 発起人らによって吸い上げられたりするこれらの詐欺事件の多くは、 宗教や民族グループをターゲットとしていた。

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