製薬3社決算:通期見通しを据え置き-米市場と為替動向にリスクも

武田薬品工業など製薬大手3社が 発表した第1四半期(4-6月期)決算では、純利益が各社の再編動 向により明暗が分かれたものの、通期予想はそろって据え置いた。今 後は米市場と為替動向が焦点となりそうだ。

国内製薬最大手、武田薬の第1四半期連結純利益は、前年同期比 45倍の1126億円となった。前年同期に米製薬会社ミレニアム・ファ ーマシューティカルズ買収に伴い発生した巨額の研究開発費やのれん 代の償却などがなくなったため。通期純利益見通しは2800億円で据え 置いている。

ドイツ証券の舛添憲司アナリストは、ブルームバーグニュースの 電話取材で武田薬の決算について、「見かけはいいが中身は厳しい。 (主力商品の糖尿病治療薬)アクトスの売り上げは落ちているし、1 つ1つの製品が心配。為替もあるし、アメリカのビジネスが伸びてい ない」と指摘する。

一方、第1四半期にインドの連結子会社ランバクシー・ラボラト リーズのデリバティブ評価損などが響き64億円の最終赤字に転落した 国内製薬3位第一三共も「おおむね期初に予想された通り」(松田等 専務)と述べ、通期見通しを変更しなかった。その上で、「この後、 為替がどう変動するか分からない」と、下期の不透明要因を挙げた。

また、買収したMGIファーマも貢献し、減収減益ながら163億 円の最終黒字を確保した国内製薬4位エーザイも、「前期の為替水準 であれば増収増益で計画通り。新興国やアジア市場の伸びは順調」 (内藤晴夫社長)とし、通期目標を据え置いた。

大和総研新規産業調査部長で医学博士の浅野信久氏は、3社の注 目点について、「大市場である米国のオバマ政権が医療費を上げずに 国民皆保険を進めようとする中、アクトスに代表される生活習慣病関 連の薬品はジェネリック(後発医薬品)の脅威にさらされている。各 社が、がんなど専門性の高い薬品を開発できるかどうかが課題」と述 べた。

今期は3社とも研究開発費用を高止まりさせて、付加価値の高い 新薬の開発を急ぐ。今後の製薬各社の業績は為替動向をにらみつつ、 米など大市場での成否がカギを握りそうだ。

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