コンテンツにスキップする

8月の長期金利に低下余地、物価が持続的下落-需給支えに1.2%台も

債券相場は8月に入っても安定的 な推移が続き、長期金利は1.2%台に低下するとの見方が出ている。物 価が持続的に下落するなかで、日銀が金融政策を転換するとの観測には つながりにくく、国債増発にもかかわらず良好な需給環境が維持されて おり、月末にかけて金利はじり安歩調をたどるとみられている。

みずほ証券の三浦哲也チーフマーケットアナリストは、4-6月期 の国内総生産(GDP)が強めに出るとの見方から、8月半ばまでは市 場の景況感に改善傾向が続くが、秋口以降にはそうした期待の反動が出 ると指摘。「長期金利はしばらくもみ合いながらも、上限は1.5%台前 半で、一方で1.2%台への低下余地は十分にある」と読む。

長期金利の指標である新発10年国債利回りは6月11日に1.56%ま で上昇して、昨年10月以来の高い水準を記録したが、その後の1カ月 間はほぼ一貫して金利水準を切り下げて一時は1.27%をつけた。

1カ月後に控える衆院選への不透明感に加えて、増発された国債入 札が2巡目に入ったことに伴う需給悪化懸念もあって、足元の10年国 債利回りは1.4%付近でのもみ合い局面となったが、需給の良さを勘案 すると金利上昇余地は限定的との指摘もある。

損保ジャパン・アセットマネジメントの平松伸仁シニアインベスト メントマネジャーは、金利が上昇したら債券を購入したい、いわゆる買 いたい弱気派が非常に多いといい、「量的金融緩和当時の中心レンジ

1.2%-1.6%をベースに、当面は1.4%より下での滞空時間が長くなり、 景況感の悪化に伴っていずれは低下基調をたどる」と予想する。

物価下落で金融緩和は継続

日銀は景気の情勢判断を改善させているとはいえ、物価のマイナス 傾向が続くなかでは金融緩和が継続される見通しだ。総務省が31日に 発表した6月の全国消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)は前 年同月比1.7%低下して、下落率は統計を開始した1971年以来の最大 を更新。コアCPIは今後さらに低下を続け、マイナス幅は2%台に達 するとの見方が多い。

このため、金融政策に関しては0.1%前後の政策金利に下げ余地は 乏しいとの見方が市場で有力だが、デフレ懸念が高まれば追加緩和が実 施されるとも指摘される。モルガン・スタンレー証券の伊藤篤債券スト ラテジストは、日銀がゼロ金利にする可能性は低いとしながらも、「コ アCPIがゼロ%に戻るまで緩和を続ける時間軸を導入するなどして、 短い年限で金利を低位安定させる効果を狙うのではないか」という。

みずほ証の三浦氏は、足元で発表されている指標はまだら模様だが 先行き一筋縄では景気回復が加速するとは考えにくいといい、「金融緩 和からの出口政策が当面は見渡せないのであれば、できるだけ債券を保 有してキャリー(金利収入)を稼ぐべきだ」と指摘する。

8月の長期金利は低下方向

8月の長期金利の推移(終値ベース)を2000年以降で振り返ると、 月末の水準が月初を下回ったのが6回で、逆に上回ったのは景気回復期 待が高まった00、03年など3回にとどまった。06年以降は3年連続で 月間を通してじり安に推移するなど、総じて金利低下圧力がかかりやす いことがうかがえる。

夏枯れ相場で動意の乏しい展開をイメージしやすいが、市場の取引 が薄くなるなかで値動きが荒くなる傾向もあり、過去3年間は平均する と18ベーシスポイント(bp)強の低下となった。

大和住銀投信投資顧問の横山英士ファンドマネジャーは、景気回復 期待や株高に反応して月央にかけて金利上昇があっても、株価上昇が息 切れするタイミングでは買い需要が膨らむとみており、「今年も夏場か ら秋口に金利が低下する展開が見込める」と予想している。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE