6月の消費者物価は過去最大の下落率更新-前年比1.7%低下

(第5段落のコメントを差し替えます)

【記者:日高 正裕】

7月31日(ブルームバーグ):6月の全国の消費者物価指数(除く 生鮮食品、コアCPI)は、昨年の石油製品価格急騰の反動から、前 年比の下落率が2カ月連続で過去最大を更新した。エネルギー・原材 料価格の下落に加え、1-3月までの景気の大幅な悪化を受けて、マ イナス幅は当面、一段と拡大するとみられている。

総務省が31日発表した6月の全国コアCPIは前年同月比1.7% 低下と、下落率は前月(同1.1%低下)を上回り、統計を開始した1971 年以来の最大を更新した。7月の東京都区部コアCPIは同1.7%低 下。ブルームバーグ・ニュースがまとめた予想中央値は全国、東京と もに同1.7%低下だった。前月の東京は同1.3%低下。

ニューヨークの原油先物相場は足元で1バレル=60ドル台後半 と、昨年7月に付けた最高値(同147ドル)に比べるとなお大幅に低 い水準にとどまっている。景気の落ち込みによる製商品需給の緩和も 加わり、足元では物価下落圧力が強まっている。コアCPIは今後さ らに低下を続け、マイナス幅は2%台に達する見込み。

CPI総合指数は6月の全国が同1.8%低下、7月の東京都区部 は同1.8%低下だった。前月はそれぞれ同1.1%低下、同1.5%低下だ った。食料(酒類除く)とエネルギーを除く「米国型コアCPI」は 6月の全国が同0.7%低下、7月の東京都区部は同1.1%低下だった。 前月はそれぞれ同0.5%低下、同1.0%低下だった。

需給ギャップは大幅なマイナス

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「内訳を 見ると、物価下落に寄与している品目ばかり目につく」と指摘。「都区 部7月分などを基に予想すると、7月の全国コアCPIは電気、都市 ガス代、生鮮食品を除く食料、ガソリン等が押し下げ方向に寄与し、 マイナス幅をさらに拡大する可能性が高い」としている。

今年1-3月期の国内総生産(GDP)は前期比年率マイナス

14.2%と戦後最悪の落ち込みとなり、総需要と供給力の乖離(かいり) を示す需給ギャップはGDPのマイナス8.2%、額にして45兆円程度 の需要不足となった。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミ ストは「今後も需給ギャップ悪化を背景とした財・サービスの値下げ の動きは強まっていく公算が大きい」と指摘する。

日銀の山口広秀副総裁は22日、函館市内で講演し、「物価のマイ ナス幅はいったん拡大するものの、本年度後半以降は景気の持ち直し に伴い、物価のマイナス幅も縮小していく」と述べた。しかし、河野 氏は「デフレ予想は企業や消費者の間で徐々に定着し、秋以降、石油 製品のベース効果がはく落した後も、1%を超えるマイナスのインフ レ率が定着することになる」と予想する。

11年度の物価もマイナスか

日銀のコアCPI見通しは2009年度がマイナス1.3%、10年度が マイナス1.0%。10月30日には新たな経済・物価情勢の展望(展望リ ポート)を公表し、11年度の見通しを明らかにする。

山口副総裁は22日に行った会見で、消費者物価が日銀の考える物 価安定の範囲であるゼロ-2%に戻るには「それなりに時間がかかる 可能性が結構高い」と述べ、11年度以降もマイナスが続く可能性を示 唆した。その上で、金融政策運営について、「大きな流れ」として物価 の安定と考えられる範囲に向かっている限り、「追加緩和が必要だとは 認識していない」と述べた。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE