新日石:新日鉱統合で人員削減は原則せず-渡会長(Update1)

国内石油最大手の新日本石油は、 新日鉱ホールディングスとの経営統合後も、一部管理職を除いて人員 削減はせず、製油所の閉鎖も行わない形で統合効果を生み出す方針だ。 渡文明会長が29日のインタビューで明らかにした。

新日石と新日鉱HDは、2010年4月に統合持ち株会社を設立し、 7月に中核事業会社を設立、統合効果として600億円を見込んでいる。 主力の石油製品需要の減少は歯止めがかかる見通しはなく、両社は統 合後2年以内に製油所の過剰な能力を削減する計画だ。

渡氏は「どこかの製油所を丸ごと閉める考えはない」と述べ、余 剰解消は各製油所の装置の能力削減で対応する考えを示した。人員も 「合併後の人切りはまったく考えていない」と述べ、部長級以上の管 理職を除き削減は考えていないことを強調。「人材をうまく使ってどう 新しい分野に柱を立てていくか」が課題で、販売社員の石油製品から 家庭用燃料への配転などで効果が上げられると述べた。

同社は、液化石油ガス(LPG)から水素を取り出し、空気中の 酸素と反応させて発電し、発電時に発生する熱を給湯に利用する「エ ネファーム」と呼ばれる家庭用燃料電池コージェネレーションシステ ムの販売を今月開始している。

水島製油所を一本化

国内の石油製品販売量は06年度以降、減少傾向が続いている。経 済産業省によると、13年度の石油製品需要は人口減や代替エネルギー の導入により、08年度比で16%減少することが見込まれている。

こういった状況を踏まえ、渡氏は、新日石と新日鉱HDの統合後 の製油所処理能力が「日量40万バレルから50万バレルの余剰になる ことは間違いない」と指摘した。これを解消するため、新日石は大阪 製油所(大阪府高石市、日量11万5000バレル)を輸出型製油所とし て中国石油天然ガス集団(ペトロチャイナ)と共同で運営する計画や、 新日石傘下日本海石油の富山製油所(富山市、日量6万バレル)の原 油処理停止に取り組んでいる。

このほか渡氏は、両社がそれぞれ個別に保有している水島製油所 (岡山県倉敷市)を一本化し、合わせて同45万5200バレルある原油 処理能力を「半分にする」ことを検討していると話した。こういった 製油所能力の削減で「相当の統合効果が出る」とし、人員削減を行わ なくても600億円の効果は達成可能との見解を示した。

みずほインベスターズ証券のアナリスト河内宏文氏は「統合後に 人員削減を行わないというのは、市場の側からするとやや理解しにく い。家庭用燃料電池や太陽光発電システムのほかに、石油化学分野で 高機能・高付加価値の商品を充実させると、配置転換でも十分しのげ るようになるだろう」と指摘した。

さらに、河内氏は水島製油所の能力半減について、常圧蒸留装置 を一部廃棄し、二次装置をすべて残すのであれば、「1つの製油所に2 製油所分の二次装置が存在することになり、コスト競争力の高い製油 所になる可能性を秘めている」と話した。

新日石水島製油所の処理能力は日量25万バレル。これに隣接する 新日鉱HD傘下ジャパンエナジーの水島製油所は同20万5200バレル の能力を持つ。

新日石の従業員数は1万4144人、新日鉱HDは1万729人(いず れも3月末日現在)。

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