6月鉱工業生産は4カ月連続上昇-四半期は56年ぶり上昇率

6月の日本の鉱工業生産指数は、 電子部品・デバイスや鉄鋼などがプラスに寄与し、前月比で4カ月連 続上昇した。輸出の持ち直しや内外での在庫調整の進展を背景に、4 -6月期は前期比で5四半期ぶりのプラスに転じ、56年ぶりの上昇率 を記録した。

経済産業省が発表した6月の鉱工業指数速報(季節調整済み、2005 年=100)によると、生産指数は前月比2.4%上昇の81.0。前年同月比 では23.4%低下し、水準自体は依然として低い。4-6月期では前期 比8.3%上昇と、朝鮮戦争の特需景気当時の1953年4-6月期に記録 した過去最高の8.9%上昇に次ぐ2番目の上昇率となった。

昨年秋のリーマン・ショック後の世界的な金融・経済危機を受け、 各企業は急速かつ大幅に在庫調整を進めてきた。各国による大規模な 景気刺激策の効果もあり、輸出の持ち直しとともに生産指数は今年2 月を底に3月以降上昇に転じている。経産省は生産の基調について「持 ち直しの動きで推移している」とし、前月の「持ち直しの動きが見ら れる」から判断は据え置いた上で、表現を一部変更した。

ブルーム バーグ・ニュースのエコノミスト調査では、生産指数の 予想中央値は前月比2.5%上昇、前年同月比は23.6%低下だった。

7-9月も生産拡大へ

マネックス証券の村上尚己チーフエコノミストは発表後、「4-6 月の『V字回復』からはさすがにペースダウンするが、7-9月も堅 調な生産拡大が続いていることを示唆している」と指摘。「7-9月の 堅調な生産拡大の背景には、中国・米国を中心に世界経済が順調に回 復し、輸出需要が増えていることが背景にある」との見方を示した。

統計発表後の東京外国為替市場の円の対ドル相場は午前11時5 分現在、1ドル=94円96銭。発表直前は同95円08銭近辺で推移し ていた。東京株式市場の日経平均株価の午前終値は前日比3円25銭高 の1万0116円49銭。債券相場は東京先物市場の中心限月9月物が同 1銭高の138円47銭。

同省が同時に公表した製造工業生産予測指数によると、7月は前 月比1.6%上昇、8月は同3.3%上昇となった。同省調査統計部の志村 勝也経済解析室長は記者説明で、7、8月の予測指数がそのまま実現 し、9月が前月比横ばいと仮定すると、7-9月期は前期比7.4%上 昇となるとの試算を示した。

経済対策の効果見込む

志村氏は7月、8月の予測指数を見る限り、メーカー各社は先月 の段階から、生産計画を上方に修正してきていると説明し、背景には 政府によるエコカー減税や家電製品に対するエコポイント制度など経 済対策の効果を見込む向きがあるとしている。7月の生産の上昇に寄 与する見込みの業種は、輸送機械、鉄鋼、一般機械、8月は一般機械、 鉄鋼、電子部品・デバイスとなっている。

6月の生産で上昇した業種は16業種中、12業種。電子部品・デ バイスは国内外向けに携帯電話や携帯音楽プレーヤー、ゲーム機器な どに使われる電子部品の生産が増加したほか、鉄鋼では中国や東南ア ジア諸国連合(ASEAN)向けに自動車用鋼材などが伸びた。

6月の出荷は前月比3.5%上昇と4カ月連続で上昇する一方、在 庫は同1.0%低下し、6カ月連続で低下した。四半期で見ると、出荷 は4-6月期に前期比6.4%上昇し、在庫は同4.4%低下した。生産・ 出荷の上昇を受け、在庫調整が一段と進んだ格好となった。

大和総研の熊谷亮丸シニアエコノミストは発表後、「GDP(国内 総生産)に占める製造業のウエートは2割強であり、単純に計算すれ ば、鉱工業生産の動きはGDP成長率を4-6月期で2ポイント弱、 7-9月期で1.5 ポイント程度押し上げることになる」と指摘。「生 産の増加に合わせて輸入も増加すれば、GDP成長率はある程度伸び が抑えられるが、いずれにしても高い成長率が続く見込みだ」として いる。

4-6月の中国のGDP伸び率は前年同期比7.9%と1-3月期 の同6.1%から拡大し、ほぼ10年ぶりの低成長から回復を示した。財 務省が発表した6月の貿易統計速報を基に、内閣府が試算した輸出数 量(季節調整済み)は前月比6.1%増、4-6月期は前期比10.8%増 となっている。

--取材協力:村岸静 Editor:Masaru Aoki,Norihiko Kosaka

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 伊藤辰雄 Tatsuo Ito +81-3-3201-3655 tito2@bloomberg.net

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