米ウォルマート:サムライ債1000億円完売-不況抵抗力評価

小売業世界最大の米ウォルマート・ス トアーズが29日に募集を行った円建て外債(サムライ債)は、総額1000 億円の大型ながら機関投資家からの買いを集め完売となった。昨秋のリ ーマンショック以降、金融危機の影響で途絶えていた米国企業によるサ ムライ債の発行に市場関係者の間では歓迎ムードが高まっている。

ウォルマートのサムライ債発行は昨年7月以来1年ぶり。当時は3 年物と5年物で総額1000億円を発行し、スプレッド(金利の上乗せ幅) は、円建てスワップレートに対してそれぞれ40bp(1bp=0.01%)と50 bpだった。

共同主幹事のみずほ証券が発表した資料によると、ウォルマートが 今回発行するサムライ債は、固定利付債831億円と変動利付債169億円 の2本で両方とも償還年限が5年。支払い金利は固定債が円スワップレ ートに55bp程度を上乗せした1.49%、変動債が6カ月円LIBOR(ロ ンドン銀行間取引金利)に60bp上乗せする水準で決まった。発行価格は 2本とも100円で発行日は8月6日。

ウォルマートが昨年発行したサムライ債のスプレッドは、金融危機 の影響で180bp程度まで一時拡大した。今年4月以降からは米国の金融 不安の後退などで起債環境が好転したのに伴い大幅に縮小している。同 社が発行している米ドル建て債も、現在、ドル建てLIBORに対して 30bp程度上乗せした水準で取引されている。同社の信用リスクを取引す るCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の5年物の保証料も一 時は130bp程度まで拡大したが、43bp程度まで縮小した。

大和住銀投信投資顧問債券運用部の上雅弘シニア・ファンドマネジ ャーは、今回のウォルマート債について、「すごい人気だったようだ。 流通市場で取引されている前回債の水準からすると挑戦的なスプレッド だったが、それだけ需要もあったのだろう」と指摘した。また、同債が 発行利回りが発行体寄りであるものの、それでも完売に至った理由につ いては「好業績銘柄として評価されたのではないか」と述べ、「市場回復 に向けてまた一つのハードルを超えた。今後のサムライ債の販売にも好 影響を与えるだろう」と語った。

モルガン・スタンレー証券の大橋英敏クレジットストラテジストは 「今年4月から6月の国内外の事業会社による社債の発行総額は昨年よ りも減っており、スプレッドがタイト化(縮小)している」と言い、社債 の発行利回りが投資妙味を減退させていると示唆したうえで、「高利回り のサムライ債には投資妙味はある。ウォルマートについては、目先の業 績も安定している」とコメントした。

今回のウォルマート債の主幹事は、BNPパリバ証券、三菱UFJ 証券、みずほ証券が共同で務める。格付けは、ムーディーズのAa2、 スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)のAAを取得する。フィッ チ・レーティングスもAAの格付けを付与しており、見通しは安定的と している。

共同主幹事証券担当者は、ウォルマートの起債は不況に強い世界一 の小売業として評価されたと指摘。販売先については、固定債は銀行、 生命保険会社、投信・投資顧問、信託銀行の年金勘定など、変動債は、 銀行、年金、投信・投資顧問、その他の法人などに売れたという。

欧米の小売業では仏カルフール(A3:ムーディーズ)、米シアー ズ・ホールディングス(Ba2:同)、米ターゲット(A2:同)など があるが、いずれもシングルA格以下で、ウォルマートの格付けは別格 となっている。日本でも7&iホールディングスがAa3(ムーディー ズ)、イオンがBaa2(A-:S&P)でウォルマートを下回る。

ウォルマートの広報担当のジョン・シムリー氏は、ブルームバー グ・ニュースに対して、調達した資金は一般事業のために使用すると答 えたが、詳細なコメントは控えた。

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