7月28日の海外株式・債券・為替・商品市場

◎外国為替市場

ニューヨーク外国為替市場では円がユーロに対して4日ぶりに上 昇。午前に発表された7月の米消費者信頼感指数が予想以上に低下し、 高利回りを求めて日本から海外資産に向かっていた資金の流れが反転 した。

ドルは前日、主要6通貨バスケットに対して下落したがこの日は 反発した。主要準備通貨としてのドルの安全性に需要が戻った。オー ストラリア(豪)ドルは米ドルに対して一時、昨年9月以来の高値に 上昇。オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)が豪州経済は半 年前のRBAの予想よりも早期に回復する可能性があるとの認識を示 した。

コメルツ銀行の外国為替調査責任者(フランクフルト在勤)、ウ ルリヒ・ロイヒトマン氏は「今回の危機では円は極めて安全性の高い 通貨だ。日本の投資家が通貨リスクを抑えるために資金を本国に送還 する理由を考えると、経済的にもさらに納得がいく」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時1分現在、ユーロは円に対して1.1% 下げて1ユーロ=134円4銭(前日は同135円48銭)。ドルは円に 対して0.5%下げて1ドル=94円67銭、月初からの下げは1.9%に 拡大した。ユーロはドルに対して0.4%下げて1ユーロ=1.4171ドル、 前日は1.4232ドルだった。

円が高い

円は主要16通貨の大半に対して上昇。対南アフリカ・ランドは

1.8%高の1ランド=12円2銭。スウェーデン・クローナに対しては

1.7%上げて1クローナ=12円66銭だった。

日本の政策金利は0.1%、これに対し南アフリカは7.5%。スウ ェーデンは0.25%に設定されている。

米民間調査機関のコンファレンス・ボードが発表した7月の消費 者信頼感指数は46.6と、前月の49.3から低下。ブルームバーグがま とめたエコノミスト予想(中央値49.0)を大幅に下回る水準に落ち 込んだ。

この日の米国株式市場ではS&P500種株価指数、ダウ欧州600 指数ともに下落した。

月末を控えた日本の輸出産業は、過去5日間でのドルに対する円 下落(1%安)を好機ととらえ、海外での利益を本国に送還している。

ドル指数

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)の ドル指数は0.3%上昇の78.877。この日は一時、昨年12月18日以降 での最低となる78.315をつける場面もあった。

米商品先物取引委員会(CFTC)の週間建て玉報告で、ドルの ショート(売り持ち)ポジションがかなり積み上がっていることが明 らかになった。

三菱東京UFJ銀行のグローバル為替調査部門欧州責任者デレ ク・ハルペニー氏(ロンドン在勤)は27日のリポートで、ドルのロ ング(買い持ち)からショートを差し引いたネットショートが大量に 積み上がっていることについて、「今後のドル売りペースは減速し、 思い通りには行かない可能性がある」と指摘した。同行はドルの対ユ ーロ相場は1ユーロ=1.45-1.5ドルのレンジ内で下げ止まり、2010 年には1.3ドルに反発するとみている。

豪ドル

RBAのスティーブンス総裁は、シドニーでの講演で、「他の多 くの国とは対照的に、豪州の現在の景気下降は戦後の深刻な下降期の 一つではないと判明する公算がある」と指摘。これが好感され、豪ド ルは対米ドルで年初来の高値まで上げた。

RBAは7日の政策決定会合で政策金利を3カ月連続で3%に据 え置いた。50年ぶり低水準の政策金利と政府支出が奏功し、豪州経 済はリセッションを回避した兆しがある。

豪ドルは対米ドルで0.7%上昇して、1豪ドル=82.82米セント。 一時は昨年9月29日以来の高値となる83.38米セントまで上げた。

◎米国株式市場

米株式市場ではS&P500種株価指数が反落。消費者信頼感指数 が予想を下回ったことに加え、オフィス・デポやコーチの決算が予想 よりも悪かったことを嫌気し、売りが優勢になった。

ダウ工業株30種平均の構成銘柄の中ではアメリカン・エキスプ レス(アメックス)やエクソンモービルの下げが目立った。米民間調 査機関のコンファレンス・ボードが発表した7月の消費者信頼感指数 は雇用市場の悪化が消費者マインドに打撃を与えているとの懸念をあ らためて示した。オフィス・デポは18%下げ、コーチは 1.3%安。 一方、ハイテク株やヘルスケア株が上昇したため、相場全体の下げは 限定的だった。

S&P500種株価指数は前日比0.3%安の979.62。過去2週間に 及ぶ上昇局面を受け、過去1年間の業績を基にした株価収益率(PE R)は16.23倍と、昨年9月以来の最高に達していた。ダウ工業株 30種平均は同11.79ドル(0.1%)下落の9096.72ドルで終了した。

ノット・キャピタル・マネジメントの最高投資責任者(CIO)、 チャールズ・ノット氏は「バリュエーション(株価評価)からは株価 水準が正当化されないことを懸念している。先月はかなり上昇した。 企業収益は全般的に予想を上回ったものの、恐らく期待が低過ぎた」 と述べた。

予想上回るも減益

今月10日以降、ゴールドマン・サックス・グループやマテルな ど予想を上回る決算が相次ぎ、S&P500種は11%上昇した。ただ、 ブルームバーグのデータによると、6月17日以降、1株当たり利益 は平均で27%減少している。企業は人員削減や事業縮小などでコス トを節約し、1株当たり利益はアナリスト予想を平均で9.9%上回っ ている。一方、売上高は予想を0.2%上回る程度にとどまっている。

消費者信頼感指数は46.6と、前月の49.3から低下した。低下は 2カ月連続。2月には過去最低となる25.3%を付けていた。

オフィス・デポは18%安と、1月以来の大幅安。S&P500種構 成銘柄で下落率トップとなった。特別項目を除くベースで損失は1株 当たり22セント。アナリストの予想平均は12セントの赤字だった。

コーチは1.3%安。一時は7.3%下げる場面もあった。4―6月 (第4四半期)決算で売上高は0.5%減の7億7770万ドルと、アナ リスト予想に至らなかった。

オフィ・パトリモアン(パリ)のファンドマネジャー、ジャッ ク・ポルタ氏は決算シーズンについて「足りないのは景気回復の確認 だ。それが楽観的な見方を限定的にしている」と述べた。

エネルギー株

S&P500種のエネルギー株指数は1.5%安。S&P500全体へ のマイナス寄与度が最も大きかった。原油相場が4日ぶりに下げたこ とに加え、欧州2位の石油会社、英BPのトニー・ヘイワード最高経 営責任者(CEO)が消費回復を示す「兆候はほとんどみられない」 と述べたことが売りを誘った。

バレロ・エナジーは2.4%下落。4―6月(第2四半期)決算は 損益が10年ぶりに赤字に転落した。

ドイツ銀行は10%下落。4月以来で最大の下げとなった。2009 年4-6月(第2四半期)に、貸倒引当金を10億ユーロ(約1350億 円)に積み増したことを明らかにした。アナリストは平均で6億 3400万ドルの積み増しを予想していた。同行はまた、個人と企業の 支払い不能が一段と増加するとの見通しを示した。

買収

米携帯電話サービス3位のスプリント・ネクステルとIBMはこ の日、それぞれ買収を発表した。スプリントはヴァージン・モバイル USAの株式のうち未保有分の約4億2000万ドル(約400億円)相 当を株式交換で取得すると発表した。IBMはデータ分析ソフトウエ ア開発の米SPSSを現金12億ドル(約1140億円)で買収すること で合意したと発表した。

スプリント株は0.9%高。一方、IBMは0.3%下げた。

◎米国債市場

米国債市場では2年債相場が続落。米財務省が実施した2年債 420億ドルの入札で最高落札利回りが市場予想を上回ったことから、 週間の規模としては過去最大となる今週の総額1150億ドルの入札が 不調に終わるとの懸念が強まった。

2年債入札の最高落札利回りは1.08%。ブルームバーグ・ニュ ースがまとめた事前予想では1.058%だった。米財務省は29日に5 年債(発行額390億ドル)、30日には7年債(同280億ドル)の入 札を実施する。

キャンター・フィッツジェラルドのチーフ債券ストラテジスト、 ジョージ・ゴンキャルベス氏は「非常に低調な入札だった」と指摘。 「最近の入札での水準に比べて、この日の利回りは投資資金を呼び込 むには魅力的ではなかった」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時30分現在、2年債利回りは前日比5ベーシスポイント (bp、1bp=0.01ポイント)上昇の1.08%。2年債(表面利率

1.125%、2011年6月償還)価格は3/32下げて100 2/32。

一方、10年債相場は5日ぶり上昇した。2年債と10年債の利回 り格差は3bp縮小し、2.60ポイント。前日は6月5日以来の最大 となる2.71ポイントまで拡大した。

「影響は比較的受けず」

クレディ・スイス・セキュリティーズUSAの金利ストラテジス ト、アレックス・リー氏は「長期債は供給圧力の影響を比較的受けて いない」と指摘する。

次回の一連の入札は、8月11日以降3日連続で実施される10年 債と30年債の入札となる。

この日の2年債入札は、米財務省が1970年代に2年債の定期入 札を開始して以来で最大規模だった。

投資家の需要を測る指標の応札倍率は2.75倍。過去10回の入札 の平均は2.58倍だった。6月23日に実施された前回の2年債入札で の最高落札利回りは1.151%。応札倍率は3.19倍と2007年9月以来 の高水準だった。

この日の入札で、海外の中央銀行など間接入札の落札全体に占め る割合は33%。6月の前回は68.7%を占め、過去6年間で最も割合 が大きかった。過去10回の入札の平均は40.3%。

「より大きな懸念」

バークレイズ・キャピタルの金利ストラテジスト、マイケル・ポ ンド氏は「応札倍率はまずまず高かったが、入札参加者が減少した」 と指摘。「今回の不調な入札を受け、今後2週間内に実施される10 年債や30年債の大型入札を市場がどうこなすかが、より大きな懸念 事項だ」と述べた。

米政府のデータによると、財務省が今年の国債発行で新規に調達 した資金は1兆ドルを超えた。バークレイズによると、今年下期の新 規発行額は1兆1000億ドルとなる見通しだ。

国債相場は朝方の取引で上昇。ガイトナー米財務長官が米中戦 略・経済対話で、保有米国債の価値下落を懸念する中国に対して、米 財政赤字の削減を約束したことが好感された。

◎金先物市場

ニューヨーク金先物相場は下落。ほぼ3週間ぶりの大幅安だった。 ドルが対ユーロで上昇し、代替投資としての需要が減退した。

今年4月以降、金とドルは月間ベースで毎月反対方向に動いてい る。この傾向は過去7年間のうち5年間で見られたものだ。この日の ドルはユーロに対して最大0.7%上昇。主要準備通貨としての安全性 に需要が戻ったのが背景だ。

UBSの金属ストラテジスト、ジョン・リード氏(ロンドン在 勤)「金相場の動きをユーロ・ドル相場だけで説明するのはかなり苦 しいが、今のところ相場を動かしている材料はこれしかない。宝飾品 など実需の投資、上場投資信託(ETF)による取引は非常に薄い」 と語った。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 12月限は前営業日比14.60ドル(1.5%)安の1オンス=941.70ドル で取引を終了した。7月8日以来の大幅な下げだった。

◎原油先物市場

ニューヨーク原油相場は反落。米消費者信頼感指数の低下を受け、 エネルギー需要の回復には時間がかかるとの懸念が深まった。

原油相場はまた、この日発表された企業決算が相次いで市場予想 を下回ったことでも売られた。欧州2位の石油会社、英BPのトニ ー・ヘイワード最高経営責任者(CEO)は、消費回復を示す「兆候 はほとんどみられない」と述べた。リセッション(景気後退)で需要 が抑えられていることを背景に、米燃料在庫は6週連続で増加してい る。

エナジー・セキュリティー・アナリシス(マサチューセッツ州ウ ェイクフィールド)の石油市場ディレクター、リック・ミュラー氏は 「米消費者信頼感の数値は、これまでの相場上昇が行き過ぎだったこ とを示している」と指摘。「需要は引き続き弱い上、石油製品の在庫 も失業者も増加傾向にある」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物9月限は前日 比1.15ドル(1.68%)安の1バレル=67.23ドルで終了した。年初 来では51%の値上がり。

◎欧州株式市場

欧州株式市場では、ダウ欧州600指数が前日付けた約8カ月ぶり 高値から反落。企業利益が予想を上回っているものの、英石油会社B Pのトニー・ヘイワード最高経営責任者(CEO)が、戦後初の世界 的なリセッション(景気後退)からの回復は「延々と続く」との見通 しを示したことが材料視された。

BPは3.1%下落した。同社はアナリスト予想を上回る黒字だっ た。ドイツ最大の銀行、ドイツ銀行は、貸倒引当金の大幅積み増しが 嫌気され、11%の大幅安となった。

一方、スペインの銀行、バンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘン タリア(BBVA)は4.5%上げた。4-6月期が大幅増益となった ことが買いを促した。

ダウ欧州600指数は前日比0.9%安の218.54で引けた。前日は 昨年11月10日以来の高値を付けた。今月10日以降では11%上げて いる。

LGT銀行(リヒテンシュタイン)のハンス・ゴッティ最高投資 責任者(CIO、シンガポール在勤)はブルームバーグテレビジョン とのインタビューで、「持続的な景気回復について言及し始めるのは やや時期尚早だ。これまでの決算はかなり低い期待に基づくものだっ たため、当然のことながら予想を上回った」と語った。

28日の西欧市場では、18カ国中16カ国で主要株価指数が下落し た。ダウ・ユーロ50種株価指数は前日比1.1%安、ダウ・欧州50種 株価指数は1%下げた。

ダウ・ユーロ50種株価指数が下落した場合の保険として使われ るオプションの費用に連動するVstoxx指数は続伸し、2.2%上 昇の28.12となった。

英ソフトウエア開発のセージ・グループは3.4%上昇。昨年9月 以降9カ月間の業績が「経営陣の予測に一致している」との見方を示 したことが好感された。

◎欧州債券市場

欧州債市場ではドイツ国債相場が5営業日ぶりに上昇。欧州と米 国の株式相場が下落したことを背景に、国債市場に安全を求める動き が広がった。

独10年債利回りは約5週間ぶり高水準から低下。この日のダウ 欧州600指数は下落。イタリアとオランダが合わせて46億ユーロの 国債を入札したことを受け、ドイツ国債は一時、下げる場面もあった。

カリヨンの債券ストラテジスト、オーランド・グリーン氏(ロン ドン在勤)は「株式相場は若干軟調で、そのために国債相場が上昇し た。リスク意欲が引き続き相場の主動力となっている」と語った。

10年債利回りは一時、3.515%まで上げた。ロンドン時間午後4 時現在は前日比6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の

3.43%。前日は6月19日以来の高水準となる3.521%を付けた。同 国債(表面利率3.5%、2019年7月償還)はこの日、前日比0.50ポ イント上げ100.60。2年債利回りは1.33%と、前日を4bp下回っ た。

◎英国債市場

英国債相場は上昇。世界的に株価が下げたほか、7月の米消費者 信頼感指数が予想を大きく下回ったことで、安全投資先としての国債 が買われた。

ロンドン時間午後5時52分現在、10年債利回りは前日比4ベー シスポイント(bp、1bp=0.01%)下げ3.93%。同国債(表面 利率4.5%、2019年3月償還)価格は前日比0.29ポイント上げ

104.52。

メリルリンチ指数によると、7月に入り英国債は1.8%下げてい るのに対し、同期間の米国債の下げ幅は0.5%となっている。

イングランド銀行(英中央銀行)の金融政策委員会(MPC)メ ンバー、アンドルー・センタンス氏は23日、景気浮揚のために十分 な措置を講じたと判断した場合、英中銀は1250億ポンドの資産購入 計画を休止する可能性があるとの考えを明らかにした。

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