【今週の債券】長期債軟調か、1カ月ぶり1.4%も-中期には余資流入

今週の債券市場では長期債相場が 軟調(利回りは上昇)な推移が見込まれる。景気回復期待を反映した米 国の株高、債券安の動きや、需給懸念を背景とした買い控えが予想され 新発10年国債利回りは1カ月ぶりに1.4%台に上昇しそうだ。

みずほ証券の三浦哲也チーフマーケットアナリストは、銀行などの 余裕資金が流入する中期ゾーンまでの相場はしっかりする一方、需給不 安を抱える長期や超長期債は上下に振れやすいといい、「米金利の上昇 があれば1.4%台前半までの利回り上昇もある」と予想する。

今週の新発10年債利回りの推移について、24日夕までに市場参加 者4人に聞いたところ、全体の予想レンジは1.30%から1.42%となっ た。おおむね前週末の終値1.38%を中心にレンジを形成するとみられ 6月26日以来の1.4%乗せが意識されている。

10年債利回りは前週に内外株高などを手がかりにじり高の展開と なり、一時は6月29日以来の高い水準となる1.395%をつけた。日興 シティグループ証券の佐野一彦チーフストラテジストは、10年債の

1.4%台では買いが入るため、外部環境がさらに悪化しても持続的な利 回り上昇は考えにくいとしながらも、「8月4日の次回の入札を控えて 週後半にかけて調整が入る可能性がある」とみている。

米国では市場予想を上回る指標や企業決算の発表を手がかりに、株 式市場でダウ工業株30種平均は年初以来となる9000ドル台を回復。一 方、米債市場では今週に過去最大規模となる国債入札を控えており、需 給悪化に伴う金利上昇への警戒感がくすぶっている。

もっとも、現物市場の需給は引き続き良好とみられる。大和住銀投 信投資顧問の横山英士ファンドマネジャーは、「金利低下を追いかけて 買いに動く投資家はいないが、先週末のように押し目があれば短い年限 を中心に需要がある」といい、10年債の1.4%台でいったんは買いが入 ると読む。20年債の入札後に売り込まれた超長期ゾーンにしても、月 末にあたって保有債券の年限長期化の入れ替えが見込まれる。

2年債入札や経済統計に注目

今週は30日に実施される2年国債入札が注目される。2年債の表 面利率(クーポン)は前回債と同じ0.3%が有力で、発行額は2兆4000 億円程度に据え置かれる。2年債利回りは10日の取引で2005年11月 以来の低水準となる0.225%をつけたが、その後はおおむね0.27%付近 でのもみ合いが続いており、貸し出し難によって余裕資金を抱える金融 機関からの需要で無難になる公算が大きい。

また、月末にあたって6月分の経済指標が発表される。ブルームバ ーグ調査によると、30日に発表される鉱工業生産指数は前月比2.5%上 昇と4カ月連続のプラスが見込まれる。4-6月期は5期ぶりに前期比 上昇に転じるとみられており、1-3月期に過去最大の落ち込みとなっ た反動が出そうだ。このほか、31日の全国消費者物価指数(除く生鮮 食品、CPI)は前年同月比1.7%に下落ピッチが加速し、完全失業率 は5.3%に悪化するとの見方が有力だ。

市場参加者の予想レンジとコメント

24日夕までに集計した市場参加者の予想レンジは以下の通り。先 物は中心限月9月物、新発10年国債利回りは302回債。

◎三井住友海上火災保険投資部・高野徳義グループ長

先物9月物137円90銭-138円80銭

新発10年債利回り=1.32%-1.41%

「上値が重い。4-6月決算の改善を先取りした株高を警戒。海外 勢は景気に強気の見方が復活してきている。長期・超長期は正常化に賭 けた金利上昇圧力がかかりやすい。失業率やCPI悪化も反応は鈍い。 ただ、月末で年金基金などによる長期化の買いなどが入るため、金利上 昇を緩やかにするとみる。月末の先物オプション清算には要注意」

◎みずほ証券・三浦哲也チーフマーケットアナリスト

先物9月物137円70銭-138円80銭

新発10年債利回り=1.32%-1.42%

「金利は短中期ゾーンが安定、長期や超長期は上下に振れる展開。 ただ、短い年限には貸出難の金融機関からの需要が強いが、長期ゾーン は米金利上昇などの影響を受けやすい。ただ、市場は足元の景気回復を かなり織り込んだので、景況感の上振れまでを見込んだ金利上昇は見込 んでおらず、10年債でみて1.4%台半ばまでは届かないだろう」

◎大和住銀投信投資顧問・横山英士ファンドマネジャー

先物9月物137円80銭-138円70銭

新発10年債利回り=1.34%-1.40%

「10年債は1.3%台後半でもみ合いか。米債市場の地合いが今ひと つであることには警戒しつつも、現時点では内外株高の持続性に確信を 持てないため、債券を積極的に売る必要はないだろう。鉱工業生産が強 めに発表されても市場の反応は鈍いとみており、先週までと同様に金利 水準が切り上がれば中期債中心に押し目買いが入る展開となる」

◎損保ジャパン・砺波政明債券運用第1グループリーダー

先物9月物138円00銭-139円00銭

新発10年債利回り=1.30%-1.40%

「月末の経済指標に注目。CPIは低下幅が広がることを織り込ん でいる。鉱工業生産も重要視される。4-6月期の米国内総生産(GD P)は底打ち感が出ているものの、予想外の数字にならないかぎり大き な動きにならないとみている。今週の2年債入札は無難に通過すると思 うが、来週8月4日の10年債入札については警戒感が残る」

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