【米経済コラム】銀行の依存症続けば第2の危機が来る-J・ワシック

銀行が救済のうたげを楽しみ続け る一方で、消費者は煮え湯を飲まされている。昨年の金融危機の結果、 信用力の高い借り手でも融資を得るのが難しくなった上に、借り入れ 資金が割高になったことには最も腹が立つ。

ウォール街には再び幸福な日々が戻ったようだ。驚くことではな いが、23兆7000億ドル(約2233兆円)という史上最大の金融救済劇 の真っただ中においても、米最大級の銀行は彼らの危機以前の古いビ ジネスに戻りつつある。

トレーディングと大きなレバレッジに頼るビジネスモデルを採用 している銀行は、引き続き金融システムに対し大きなリスクをもたら し得る。米政府が「大き過ぎてつぶせない」という信条を掲げている ほどなのに、われわれはこの1年間から何も学んでいないというのだ ろうか。

ゴールドマン・サックス・グループとJPモルガン・チェースの トレーディングと投資銀行業務の利益は2009年4-6月(第2四半期) に急増したが、金融サービス分野の商慣行規制に向けた米政府の対応 は依然として弱く、未熟だ。

ゴールドマンの元マネジングディレクター、ノニ・プリンス氏は 「見境のない銀行のビジネス」が07年9月以降に世界で65兆ドルの 富の喪失につながったとの認識とともに、第2の銀行危機が広がると 話す。

かつて債務担保証券(CDO)の販売に携わっていた同氏は、今 回の危機が実は大手行の規模を大きくしていることに着目している。 バンク・オブ・アメリカはメリルリンチを買収し、JPモルガンはベ アー・スターンズを引き取った。ウェルズ・ファーゴはワコビアを獲 得した。

巨大化

消費者にとって、銀行の巨大化は良いことではない。プリンス氏 は、こうして市場シェアを高めることで銀行の「預金金利引き上げや 個人向け与信の拡大、住宅ローン組み替え方針の公開、さらには口座 手数料の引き下げといった意欲を減退させている」と語る。その上で 「単に銀行がそうする必要はないからだ。そうしたことは救済資金を 受ける条件とはなっていない」と説明する。

米連邦預金保険公社(FDIC)によれば、政府保証を受けた全 銀行の3分の2が09年1-3月(第1四半期)に資産を増やしている が、融資総額は2.1%、約1600億ドル減った。政府の金融安定化資金 を受け取ったこうした銀行のうち、調査に応じた103行で「住宅ロー ン」向けに資金を貸し出したと答えたのはわずか29行だったという。

住宅差し押さえの最前線でも、銀行の努力は見えない。変動金利 の上昇や失業でデフォルト(債務不履行)に直面している住宅ローン について、その条件が緩和されたのはほんの一握りだ。最近のボスト ン連銀の調査では、「返済に深刻な遅れがある融資」のうち銀行が条件 を緩和したのはわずか3%ということが明らかになった。

カルチャー

銀行の資金調達コストが昨年末以降、歴史的低水準付近にとどま っているにもかかわらず、議会の監査機関によれば、クレジットカー ドの年利は昨年11月から今年2月の間に12.02%から13.08%に上昇 した。

銀行が損失の穴埋めを図るなかで、クレジットカードや銀行口座 の手数料の上昇は続いている。巨大銀行の強欲で混乱したカルチャー に対する最善の対処法は、銀行がそうした依存症の状態を続けられな くなるようにすることだ。

クレジットカードの利用を控え、地元の貯蓄機関や地方銀行に預 金保険の範囲内で預金しよう。お金が必要なら、信用組合や家族から 借り、銀行や保険会社、証券会社の手数料のかかるサービスを利用す るのは避けることだ。ブランド力のある大銀行は恐らく古いビジネス の象徴で、そのやり方は確実に利用者の富を壊す。 (ジョン・ワシック)

(ジョン・ワシック氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニ ストです。このコラムの内容は同氏の見解です)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE