7月20日の海外株式・債券・為替・商品市場

◎外国為替市場

ニューヨーク外国為替市場ではドルが下落、ユーロに対して6週 間ぶりの安値。円も下げた。米商業金融CITグループがつなぎ融資 を受け入れることが関係者の話から明らかになった。破たんを回避で きるとの見方から株価が上昇し、高金利通貨への需要が強まった。

ニュージーランド(NZ)ドルは米ドルに対して6月2日以来の 高値を付けた。カナダ・ドルも商品高を背景に上昇した。英住宅売却 希望価格が上昇したことを受け、ポンドも高い。

UBSの為替ストラテジスト、ブライアン・キム氏は「リスク資 産が求められている。強い確信があるわけではないようだが、株式に は購入意欲がみられる。安全な逃避先の需要は薄れ、ドルと円が売り 圧力を受けている」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時12分現在、ドルはユーロに対して前 週末比0.9%安の1ユーロ=1.4232ドル。一時は1.4249ドルと、6 月5日以来のドル安・ユーロ高水準を付けた。前週末は1.4102ドル。 円はこの日、対ユーロで0.9%安の1ユーロ=134円10銭(前週末は 132円85銭)。一時は3日以来の安値となる134円76銭を付けた。 円はドルに対し1ドル=94円26銭(同94円19銭)だった。

レンジ取引

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)の ドル指数は一時、78.799と6月3日以来の安値を付けた。同指数は 3月4日にほぼ3年ぶりの高値を付け、6月2日には年初来安値を付 けた。6月初旬以降、80の上下およそ1.5%のレンジ内で推移してい る。

BMOキャピタル・マーケッツの為替セールス担当ディレクター、 ジョナサン・ジェンチャー氏(トロント在勤)は「相場はレンジから 抜け出していない。市場ではリスクをとる意欲はあるが、ある程度の 慎重さも残っている」と語った。

シティバンクの通貨ストラテジスト、トッド・エルマー氏(ニュ ーヨーク在勤)は20日付の調査リポートで、リスク通貨の上昇見通 しは不透明だと指摘。その理由として、経済指標に「シフトダウン」 が見え始めていることを挙げた。

主要国の経済指標の市場予想とのかい離を示すシティの指数は 17日現在で31。1カ月前の51から低下傾向にある。同指数はプラス なら、エコノミスト予想を上回っていることを示す。

米民間調査機関コンファレンス・ボードが20日に発表した6月 の米景気先行指標総合指数(LEI)は前月比0.7%上昇。エコノミ スト予想中央値0.5%を上回った。5月は1.3%上昇。

円安

円は主要16通貨すべてに対して下落。対NZドルでは1.9%安、 豪ドルに対しては1.6%下げた。低金利通貨で資金を調達し、高金利 通貨で運用するキャリー取引が加速するとの思惑が背景。

ニュージーランドの政策金利は2.5%、オーストラリアは3%。 一方、日本は0.1%、米国は事実上のゼロ金利政策をとっている。

米商業金融CITグループは、債券保有者が示した30億ドル (約2837億円)のつなぎ融資の受け入れで合意した。融資期間は2 年半。事情に詳しい複数の関係者が20日明らかにした。

ステート・ストリートなどの決算発表を今週、控えていることも 円やドルの売り材料となった。ブルームバーグがまとめたデータによ ると、8日以降に4―6月(第2四半期)決算を発表したS&P500 種株価指数構成企業の利益は、平均で予想を15%上回っている。

◎米国株式市場

米株式相場は上昇。S&P500種株価指数は昨年11月以来の高 値で引けた。経済指標が予想を上回る結果だったほか、米商業金融C ITグループが破たんを回避できるとの観測が買いにつながった。

建機最大手のキャタピラーやアルミ生産のアルコアが上昇。午前 に米民間調査機関コンファレンス・ボードが発表した6月の米景気先 行指標総合指数(LEI)は3カ月連続で前月比プラスを記録した。

CITは79%急伸。関係者が明らかにした債券保有者からのつ なぎ融資合意が好感された。おもちゃメーカーのハスブロや配電機器 メーカー、イートンも上昇。四半期決算がアナリスト予想を上回った のが強材料となった。

S&P500種株価指数は前営業日比1.1%高の951.13。終値ベー スで昨年11月5日以来の高値となった。ダウ工業株30種平均は同

104.21ドル(1.2%)上昇の8848.15ドルで終了した。ダウ平均は年 初からの下げを消し、6カ月ぶり高値で終えた。

ルーミス・セイレス(ミシガン州ブルームフィールドヒルズ)の ファンドマネジャー、ディーン・グリス氏は、「経済が全般に弱く、 第2四半期の企業決算にも懸念がある中で、これまでの経済統計は予 想外の朗報だ。今週は上昇が続くだろう。市場参加者は景気に対して 前向きになりつつある」と語った。

企業の利益見通し

S&P500種の産業別10指数はいずれも上昇した。特に消費者 サービス株や素材株、資本財株が上げをけん引した。ゴールドマン・ サックスのアナリスト、デービッド・コスティン氏は、企業業績が改 善し、下期のS&P500種の伸びは1982年以来で最大になると予想、 S&P500種の見通しを上方修正した。コスティン氏によると、年末 時点のS&P500種予想は1060、6月30日時点では940だった。

ブルームバーグがまとめたデータによると、7月8日以降に四半 期決算を発表したS&P500種採用企業43社の利益は平均でアナリ スト予想を15%上回った。このうち81%に相当する35社の利益がア ナリスト予想を上回った。

ブルームバーグのまとめた予想では、アナリストは第2四半期の S&P500種採用企業の決算は平均33%の減益、7-9月期は同 20%の減益を見込んでいる。

LEI

コンファレンス・ボードの6月のLEIは前月比0.7%上昇した。 これで3カ月連続プラス。3カ月以上連続で上昇したのは2004年以 来初めて。

アルコアが上昇、銅生産のフリーポート・マクモラン・カッパ ー・アンド・ゴールドも高い。

ニューヨークの銅相場は上昇。世界経済の回復に伴い金属消費も 拡大するとの観測から買いが広がり、9カ月ぶり高値で終了した。

CIT

米商業金融CITグループは急伸。同社は債券保有者が示した 30億ドルのつなぎ融資の受け入れで合意した。融資期間は2年半。 交渉が非公開として匿名を条件に複数の関係者が20日明らかにした。

キャタピラーは7.8%高。バンク・オブ・アメリカ(BOA)は キャタピラーについて建設市場の底打ちがみられるとして、投資判断 を「中立」から「買い」に引き上げた。

ハスブロは4.2%高。イートンは8.9%の値上がりだった。

◎米国債市場

米国債相場は上昇し、利回りはほぼ4週間ぶり高水準から低下し た。米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が21日の議 会証言で、米史上最大規模となった金融緩和策の出口戦略について概 要を示すとの観測が高まったことが背景。

バーナンキ議長による議会への半期経済報告を控え、10年債利 回りは6日ぶりの大幅な下げとなった。議長証言はワシントン時間 21日 の午前10時に予定されている。アトランタ連銀のロックハー ト総裁はこの日、経済成長は「緩やかなペース」になるだろうとの見 通しを示した。また、世界最大の債権ファンド米パシフィック・イン ベストメント・マネジメント(PIMCO)は5年から10年物の国 債を購入すると明らかにしたことも相場の支援材料になった。

BNPパリバ・セキュリティーズの金利ストラテジスト、サブラ ト・プラカシュ氏は「債券相場はFRBが示す出口戦略を心待ちにし ており、これは米国債に多大な影響を及ぼすことになる」と指摘。 「ロックハート総裁は国債相場の支えとなる穏当な発言をし、米連邦 公開市場委員会(FOMC)による政策の現状維持と景気回復の遅れ を示唆した。バーナンキ議長もこれを繰り返すとの観測が浮上した」 と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後2時19分現在、10年債利回りは前週末比4ベーシスポイント (bp、1bp=0.01ポイント)低下の3.61%。一時は3.72%まで 上昇する場面もあった。10年債(表面利率3.125%、2019年5月償 還)価格は10/32上げた96。

ロックハート総裁は、米経済は「深刻な」リセッション(景気後 退)から安定を取り戻しつつあると指摘したが、消費者は引き続き貯 蓄を増やし、経済成長は「緩やかなペース」になるだろうとの見通し を示した。

複数の措置

ロックハート総裁はまたテネシー州での講演で「FOMCはこれ までに講じた政策を巻き戻すため複数の措置の用意ができている。こ れらの措置の活用が妥当になるまでにはまだ時間がかかる」と述べた。

バーナンキ議長は政策金利を過去最低水準に据え置くため、金融 システムへの資金供給と同様に吸い上げる際にも創造的な措置を講じ ることができると、米議会や投資家に示す必要がありそうだ。

ライトソンICAPのチーフエコノミスト、ルー・クランドール 氏によれば、議長の選択肢には、ターム物預金をFRBに設定する措 置などが含まれる可能性がある。これによりFRBは加盟銀行に準備 資金を貸し出すよりも連銀口座にとどめることを促すという。

一部投資家の間では既に、バーナンキ議長はインフレへの懸念か ら利上げを強いられるとの見方が強まっている。米フェデラルファン ド(FF)金利先物の動きによると、連邦公開市場委員会(FOM C)による来年1月までの政策金利引き上げ確立が50%を超えてい ることを示している。

バランスを取る

2015年から2019年にまでの市場のインフレ期待は先週2.79%と、 年初時点の2.1%から上昇した。インフレ連動国債(TIPS)の取 引に基づいて算出される同数値は2005年以降平均2.66%で推移して いる。

BNPパリバ証券の金利戦略責任者、ブレント・ベイガン氏は 「バーナンキ議長は市場を動揺させることなくFOMCの政策を明確 にするという、非常に微妙なバランスを取る必要がある」と指摘。 「結局は、まだ景気後退を脱していない。議長はこれについても周知 させることが必要だ」と述べた。

PIMCOは期間5年から10年物の米国債を購入すると表明。 米国債の保有を減らすとしていたこれまでの方針を転換した。PIM COはウェブサイトで「米国債利回りが当社の予想レンジの上限付近 に達するなか、5年から10年物の国債保有を高める」と述べた。

◎金先物市場

ニューヨーク金先物相場は続伸。5週間ぶりの高値を付けた。ド ル安と原油高を受け、代替投資とインフレヘッジを目的とした需要が 強まった。

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)の ドル指数は6週間ぶりの安値。今週発表の欧米経済指標がリセッショ ン(景気後退)が緩和していることを示し、リスク回避のドル需要が 弱まるとの思惑が背景にある。原油相場はほぼ2週間ぶりの高値。

キャピトル・コモディティ・サービシズのラニー・コーエン社長 は「この日の金相場はドル安を材料に上昇した」と指摘した。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 8月限は前週末比11.30ドル(1.2%)高の1オンス=948.80ドルで 取引を終了した。

◎原油先物市場

ニューヨーク原油相場は4営業日続伸。米国株式相場の上昇に加 え、ドルが対ユーロで下落したことで商品の買いを促した。

原油相場は株式相場の上昇に伴って値上がりした。6月の米景気 先行指標総合指数(LEI)が前月比で上昇し、リセッション(景気 後退)の最悪期を脱した可能性が示唆されたことを好感した。中国の 商品調査会社CBIチャイナによれば、同国の製油業者は稼働率を8 週連続で引き上げ、16日時点で85.12%とした。

BNPパリバ・コモディティー・フューチャーズ(ニューヨー ク)の上席エネルギーアナリスト、トム・ベンツ氏は、「原油相場は ドル安と株高を背景に新たな高値に達した」と指摘。「楽観的な見方 が増えており、一部決算も予想を上回った」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物8月限は前週 末比0.42ドル(0.66%)高の1バレル=63.98ドルで終了した。年 初来では44%の値上がり。

◎欧州株式市場

欧州株式相場は上昇。ダウ欧州600指数は3月以降で最長となる 6営業日連騰を記録した。戦後初の世界的なリセッション(景気後 退)が和らぎつつあるとの観測が広がった。

銅相場の上昇を背景に、オーストラリアの鉱山会社、BHPビリ トンは3.4%高。亜鉛生産で欧州2位、スウェーデンのボリデンは 14%の大幅高。英銀ロイズ・バンキング・グループは、同行の1-6 月(上期)決算が黒字となるとの新聞報道をきっかけに買われた。

ダウ欧州600指数は前週末比1.2%高の213.22で終了。先週の 同指数は6.8%上昇し、週間ベースとしては昨年11月以降で最大の 上げを記録した。ゴールドマン・サックス・グループやジョンソン・ エンド・ジョンソンなどの米企業がアナリスト予想を上回る利益を計 上したことが背景にある。

スイスカント・アセット・マネジメント(チューリヒ)のファン ドマネジャー、ペーター・ブランデル氏は、「リスク意欲は再び高ま っている。米国の経済安定、あるいは回復を見込める明るい兆しがい くつかあった。企業利益が予想を上回ることが今後も続くだろう」と 語った。

米民間調査機関コンファレンス・ボードが20日に発表した6月 の米景気先行指標総合指数(LEI)は前月比0.7%上昇した。同指 数はエコノミスト予想を上回り、3カ月連続のプラスとなった。

20日の西欧市場では、18カ国中17カ国で主要株価指数が上昇。 ダウ・ユーロ50種株価指数は前週末比1.3%高、ダウ・欧州50種株 価指数は前日比1.2%上げた。

ロイズ上昇

ロイズは6.7%高。英紙サンデー・タイムズは19日、ロイズの 上半期決算はサブプライム(信用力の低い個人向け)投資に関連し数 十億ポンドに上る会計処理が黒字に寄与する可能性があると報じた。 情報源は明らかにしていない。

ドイツの自動車メーカー、フォルクスワーゲン(VW)は5.4% 下げた。ドイツのDPA通信が、ポルシェが統合案の決断を今月末ま で先送りする可能性があると報じたことが売りを誘った。

◎欧州債券市場

欧州債市場では、ドイツ国債相場が続落。米商業金融のCITグ ループが破たん回避へ30億ドル規模の融資合意を発表するとの観測 を背景に、株式などの高利回り資産への投資が膨らみ、国債に対する 需要が減退した。

独10年債利回りは先月25日以来の高水準となった。MSCI世 界指数は6営業日連続で上昇した。CITの交渉について内容説明を 受けた関係者は、交渉が非公開であることを理由に匿名を条件とし、 CITがつなぎ融資についての合意を早ければ20日中にも発表する ことを明らかにした。

ドイツ銀行の金利ストラテジスト、ラルフ・プロイサー氏(ロン ドン在勤)は「CITがどうにか主要債券保有者から救済を取り付け たらしいとの見方が株式相場を支え、国債相場に対しては重しとなっ ている」と語った。

ロンドン時間午後4時24分現在、10年債利回りは前週末比1ベ ーシスポイント(bp、1bp=0.01)上げ3.41%。一時は7bp 上昇する場面もあった。同国債(表面利率3.5%、2019年7月償還) は0.10ポイント下げ100.71。2年債利回りは2bp上昇し1.27%と なった。

◎英国債市場

英国債市場では、10年債相場が下落。英住宅市場の需要拡大を 示す統計結果を受けて株価が上昇。経済の下降ペースは緩和されつつ あるとの見方から、安全投資先としての国債需要が後退した。

ロンドン時間午後4時32分現在、10年債利回りは前週末比2ベ ーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上げ3.83%。同国債(表 面利率4.5%、2019年3月償還)価格は0.14ポイント下げ105.39。 2年債利回りは5bp上昇し1.21%。

ハイ・フリークエンシー・エコノミクス(HFE)のチーフエコ ノミスト、カール・ワインバーグ氏は20日付リポートで、イングラ ンド銀行(英中央銀行)が量的緩和として資産購入を継続しているこ とが今後、英国債にとりプラスになるとの見方を示した。

ワインバーグ氏は「英中銀はインフレを懸念する必要はないが、 景気がまだ底入れしていない可能性が残っていることも念頭に入れる べきだ」と指摘。「当社は中銀が債券購入を継続することで国債相場 が下支えされ、イールドカーブ(利回り曲線)はフラット化していく とみている」と述べた。

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