米国債トレーダーが花形に復帰、Pディーラー増え人材引き抜きも活発

大手ディーラーが再び、米国債市 場を重視し始めている。発行が記録的な規模へ膨らむなか、ニューヨ ーク連銀と直接取引するプライマリーディーラー(政府証券公認ディ ーラー)となる金融機関が増えている。

過去1カ月にはジェフリーズ・グループとロイヤル・バンク・オ ブ・カナダがプライマリーディーラーに加わった。同じ年に2社が増 えるのは1988年以来。CRTキャピタル・グループ(コネティカッ ト州スタンフォード)はプライマリーディーラーの指定を申請する方 針を今月8日に示した。同社はこれに先立ちセールス・トレーディン グ要員29人を採用している。MFグローバルと野村証券もプライマ リーディーラーとなる方向で交渉していることを明らかにしている。

国債の引き受けを務めニューヨーク連銀と取引するプライマリー ディーラーの増加は、市場を熟知するトレーダーらが米国債需要の高 まりを見込んでいることを示唆する。巨額借り入れの必要な米政府に とってこれは朗報だ。

初代プライマリーディーラーの1社で2002年に閉鎖されたオー ブリー・G・ランストンで副会長まで務めたデービッド・ジョーンズ 氏(71)は、米国債トレーダーは「花形」の地位を回復したと指摘し た。

プライマリーディーラーは1988年には46社あった。それが今 年2月には16社と、1960年の制度開始以来最少となった。米ベアー・ スターンズやリーマン・ブラザーズ・ホールディングス、メリルリン チが破たんや身売りで姿を消したためだ。

プライマリーディーラーが多いほど、取引は容易になり政府の入 札は効率よく行われる。米財務省の諮問委員会は2月の覚書で、ディ ーラー数の増加は札割れの可能性を小さくすると指摘した。

逆にディーラー数が少ないと入札は非効率になる。調査会社スト ーン・アンド・マッカーシー・リサーチ・アソシエーツによれば、昨 年は米10年債の落札利回りが流通市場での直前の利回りを平均で

4.9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上回った。07年よ り前の3年間には落札利回りは入札前の市場での利回りをわずかに下 回る水準だった。

発行増にもかかわらず、米国債需要は堅調だ。米財務省のデータ によれば、海外の中央銀行を含む間接入札の割合は今年30.4%と、 08年の21.6%から増えた。10年債の応札倍率も今年これまでの平均 は2.54倍で、前年同期の2.17倍を上回る。

SEIインベストメンツで運用に携わるショーン・シンコ氏は、 大手金融機関がプライマリーディーラーとして関与しようとするとい うことは、「米国債市場について明るい見通しを抱いているということ だ」と話す。

金融機関は米国債関連の人材も増やしている。カナダのTDセキ ュリティーズは3月に、モルガン・スタンレーの米国債トレーディン グ責任者だったジェームズ・オブライエン氏を起用した。プライマリ ーディーラーになる準備だと、事情に詳しい関係者1人が匿名を条件 に述べた。

また事情に詳しい複数の関係者が先週明らかにしたところによる と、米銀シティグループの米金利トレーディング責任者だったジェフ リー・マイケルズ氏はノムラ・セキュリティーズ・インターナショナ ルに移籍するため、8カ月でシティを退社した。

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