BNPやソシエテの複雑な仕組み商品不振、関連人材にパリの風冷たく

パリのグランゼコール(エリー ト養成高等教育機関)、エコール・ポリテクニークを3月に卒業した ドロテ・バリー氏(24)は金融数学で2つの学位を取得し、在学中に は仏銀最大手のBNPパリバでインターンとして働いた。しかしデリ バティブ(金融派生商品)トレーダーとして就職することはできなか った。

「危機の前には、インターンの経験が採用につながる確率は 90%だと思っていた」と同氏は話す。同氏は1月までの半年間、BN Pのデリバティブ部門で仕組み保険商品関連の仕事をした。「インタ ーンとしての仕事はうまくいったが、期待した職を得ることはできな かった」という。

BNPと仏銀ソシエテ・ジェネラルは、「エキゾチック」と言わ れるような、株価や指数に連動する複雑な商品を含む株式デリバティ ブ(金融派生商品)で、世界の主導的地位を失った。以来、バリー氏 のようなエリートたちは職を得るのに苦労している。

両行はそのような商品を開発し、2年前に信用市場が凍り付くま では市場のリーダーだったが、BNPは07年8月9日に3ファンド の解約を凍結し信用危機の引き金を引いた。ソシエテは08年1月に トレーダーの未承認取引による巨額損失を明らかにした。

国際決済銀行(BIS)によれば、デリバティブ市場は08年7 -12月(下期)に初めて縮小した。

JPモルガン・チェースの6月10日付のリポートによると、株 式デリバティブのトレーディングと販売は評価損を除いたベースで、 ソシエテの06、07年の投資銀行収入の約40%を占めた。BNPでは 約25%。

JPモルガンのアナリスト、キアン・アボホセイン氏はインタビ ューで、「仏銀は仕組み商品で非常に活発に活動していた。この分野 は縮小が大きかったため、仏銀は打撃を受けた」と解説した。

通常相対で取引される「エキゾチック」な株式デリバティブは、 不透明な金融商品について投資家のリスク回避傾向が高まるに伴い人 気を失った。

ニューヨーク大学の金融修士プログラムで数学の副ディレクター を務めるペーター・コルム氏によると、取引所で取引される商品につ いては引き続きヘッジ目的などの需要がある。しかし、アボホセイン 氏によれば、この分野で強いのは米ゴールドマン・サックス・グルー プで、経験の乏しい米市場では特に、仏銀勢には厳しい。

同氏は、仕組み商品への需要回復は今年は見込みにくく、株式市 場や新規の資金需要に左右されるだろうと指摘。来年は株式デリバテ ィブによる収入が恐らく増えるものの07年の水準には戻らず、複雑 な商品よりも、リテール(小口)投資家向けの単純な商品へと需要が シフトしていくだろうとの見方を示した。

市場動向に歩調を合わせ、BNPは最も複雑な仕組み商品関連事 業を「大幅に縮小する」方針を今年2月に示している。ソシエテの方 は同様の方針を表明してはいないものの、クレディ・アグリコルの証 券部門カリヨンも同分野で縮小する計画だ。

エンジニア養成校のエコール・ポリテクニークの「確率・金融」 コースの昨年の卒業生で投資銀行に職を得たのは約半数で、前年の約 80%に比べ大幅に減少。もう1つのエリート校、エコール・セントラ ール・パリも「クオンツ」金融コースの卒業生の3人に1人しか金融 業界でフルタイムの職を得られなかった。その前の3年はいずれも約 75%。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE