【日本株週間展望】こう着、景況感は風見鶏-永田町の台風一過待つ

7月第4週(21-24日)の日 本株は、日経平均株価が9000円台前半でこう着しそう。市場参加者 の景況感は楽観、悲観の間で定まらず、相場を一方向に傾ける決定打 になりにくい。国内政界は麻生太郎首相の衆議院解散、総選挙の実施 方針に与党自民党内が大揺れ、永田町の台風一過を待つ必要もある。

大和証券投資情報部の松下真一郎次長は、「日本株がなぜ出遅れ、 モメンタムが悪化しているかを考えると政局の不透明感、大型公募増 資に伴う需給悪化の2点に尽きる」と指摘。公募増資はみずほフィナ ンシャルグループなど大型案件の新株発行価格が決定、不透明さは今 後薄れていくことになるが、政局は「仮に民主党が勝っても、その後 に首相指名、組閣と丸2カ月政治が動かない状況で、一番海外投資家 が嫌がるパターンになった」という。

7月3週の日経平均は、前の週末比1.2%高の9395円と3週間 ぶりに上げた。12日実施の東京都議会選挙での自民・公明与党の過 半数割れ、民主党躍進を受け、麻生首相は13日に21日の週の衆院 解散、8月30日投開票の日程で自民党執行部、公明党と合意。政治 空白を嫌気し、日経平均は週初に節目の9000円へ迫る下げを見せた が、その後は進行中の米国企業の決算、月初発表の米雇用統計をきっ かけに高まっていた世界景気への悲観ムードが修正された。

足元の日本株持ち直しにひと役買ったのが、半導体世界最大手の 米インテルや米金融大手のゴールドマン・サックスの良好な決算内容、 米ニューヨーク連銀の製造業景況指数や米鉱工業生産の改善だ。また 16日発表の中国の4-6月期の国内総生産(GDP)は前年同期比

7.9%増と、前四半期の6.1%増を上回り、景気対策の効果が着実に 見える中国経済の動向は国内景況感にも好影響を及ぼす。

両面内包の経済統計

しかし一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)が15日公表し た6月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、中期的な 米国消費の行方を左右する今年第4四半期(10-12月)の失業率予 想を9.8%-10.1%と、4月時点の9.2%-9.6%から引き上げた。 中国も、6月のマネーサプライは前年比過去最高の伸び率を記録し、 「中国株の上昇ピッチも早く、今度は金融引き締めが意識される」 (東海東京調査センター・中井裕幸専務)可能性も出てきた。

「景気、相場環境はまだら模様」と中井氏。実際、世界的な景況 判断のベースとなる米国への市場評価は揺れ、7月に入りドル・円相 場は1ドル=90-95円台、米長期金利は3.5%を挟み往来する。

ドイツ銀行米債調査チームの責任者、ムスタファ・チャウドリー 氏は「向こう数週間にどのトレードが優勢になるかで、市場の短期的 動向が決まる」と、米長期金利が極端に振れやすくなっている現状を 指摘。直近1カ月では4%付近から3.3%へ急低下したが、現在の経 済状況から3.5%を上回る展開が見込めるという。ただ、金利の上昇 基調が強まり過ぎると、景気への悲観ムードが再燃しかねない。

民主党に風

「一時的な現象とはいえ、われわれの止めることの出来ない大き な風が、民主党を中心としたところには吹いていた。これは非常に大 きな力で、止めようがない」――。与謝野馨財務・金融相は14日の 定例会見で都議選を振り返り、こう言及した。

バークレイズ・キャピタル証券の森田京平チーフエコノミストは、 都議選の結果により次期衆院選でも民主党が第1党になる可能性が高 まったとした上で、同党主要政策の「子供手当て」などが実現されれ ば、2010年度の実質GDPは0.4%押し上げられるとの見方を示す。 市場も政権交代を現実視し始める中で、対する自民党内では執行部批 判が激化、一時の両院議員総会の開催を通じた「麻生降ろし」の機運 は収束を強いられたが、総選挙に向けて党内はなお波乱含みだ。

17日の取引では、西松屋チェーンやコンビ、ピジョン、スタジ オアリスといった子どもに密接な銘柄が東証1部の上昇率上位に並ん だ。民主党の政策をにらんだ動きで、7月4週の日本株では同党が掲 げる「高速道路原則無料化」「介護従事者の賃金引き上げ」「学校・ 病院の耐震化加速」「住宅用太陽光パネル設置の助成」「農・畜・ 林・水産業への所得保障制度導入」なども話題に上る公算がある。

投票日まで堅調、日電産など決算

大和総研の調べによると、過去12回の衆院解散日から投票日前 日までの日経平均は2003年を除き上昇が11回、選挙期間中の各陣 営のリップサービス期待などから単純平均でプラス3.2%と堅調だ。 ここ3カ月ほどの日本株を盛り上げた個人投資家は、売買代金シェア が3カ月ぶりの水準に落ち込むなど意気消沈気味ながら、全体の方向 性を見出しにくいだけにテーマ株のほか、第1四半期(4-6月)決 算を発表した企業への選別投資が活発化する週になりそうだ。

このほか日本株に影響を与えそうな材料は、国内では21日に6 月の鉄鋼生産やコンビニエンスストア売上高、23日に6月の貿易収 支などが公表予定。企業決算の発表は、23日にKDDIや中外製薬、 カゴメ、24日に日本電産、野村総合研究所、日本電気硝子、花王な どがある。米国では20日に6月のコンファレンス・ボード景気先行 指標総合指数、21日に6月の北米半導体製造装置BBレシオ、23日 に6月の中古住宅販売件数が発表される。

【市場関係者の当面の日本株相場の見方】
●ニッセイアセットマネジメントの久保功株式ストラテジスト
  「基本的に横ばいを想定。国内でも4-6月期業績が本格化して
くるが、日本企業は3月から生産回復に入っている。実績は悪くない
だろう。業績が悪い内容にはならないことや、リスク資産へマネーが
再び戻る流れから、海外市場に比べた出遅れ修正となる可能性がある。
ただし、為替が円高傾向にあり、足元が上振れしても企業の業績見通
しは慎重だろう。先週から反発局面に入ったこともあり、上昇ペース
は鈍るとみられる」

●十字屋証券の岡本征良投資情報室長
  「麻生首相が21日に解散できれば、日本株相場の重しとなって
きた政局要因もようやく外れる。政治のごたごたを見てあらゆる層の
投資家がポジションを外しているため、今週以降、米国の写真相場と
なっていくのではないか。米国製造業の業績が市場コンセンサス以上
に良く、米ナスダック市場は切り返している。日本株も米国の勢いに
乗って買いが入るのではないか。日本電産やTDKなどハイテク関連
株の売買代金が増えていくのかどうかに注目したい」

--取材協力:吉田 尚史、長谷川 敏郎、鷺池 秀樹 Editor:Makiko Asai、Shintaro Inkyo

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 院去 信太郎  Shintaro Inkyo

+81-3-3201-8348 sinkyo@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:

大久保 義人 Yoshito Okubo

+81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net 香港 Darren Boey

+852-2977-6646 dboey@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE