財務官:介入は急激な変動が経済に与える悪影響を基に判断(Update2

財務省の玉木林太郎財務官は17 日午後、ブルームバーグ・ニュースなどのインタビューで、為替政策 について「為替相場の過度な変動は経済の安定にとって好ましくない という考え方はG7(先進7カ国)各国が共有している」と指摘。そ の上で「急激な変動があることが経済にとってマイナスになるという ことを基本線に判断していくことになる」との考えを示した。

政府は2003年1月から04年3月までに計約35兆円の大量介入を 実施した後、約5年にわたり為替介入を封印。渡辺博史元財務官(現・ 国際協力銀行経営責任者)、篠原尚之前財務官と「介入ゼロ」の財務官 が2代続いている。玉木財務官は「介入は絶対しないのかと言われれ ば、そんなことはない」と言明した。

その上で「円安になれば、交易状況が悪化することが重要な要素 になることがあれば、為替がインフレやデフレとの関係で重要になる 局面もある。1つの図式では結論は出ない。その時々の経済状況に合 わせて考えていくことになる」と語った。

 ドルを基軸通貨とした国際通貨体制については「ドルに代わる通 貨があるかと言われれば、少なくとも現時点ではない。ドルが基軸通 貨である体制は当面続くし、その体制がきちんと機能するように日本 も努力しなければならない」と強調した。

米国債中心の運用維持

世界第2位の規模を持つ日本の外貨準備の運用を多様化すべきだ との議論がくすぶっている。これに対しては「日本の外貨準備の保有 目的は為替市場の安定のためとなっている。そのために必要な流動性、 安全性を運用の際に最も重要な要素として考えている」とする一方で、 「できる限り収益性を追求し、公会計としての効率性を上げていくと いうことは当然考えているが、一定の限度はある」と指摘。

その上で、「為替市場の安定の観点から見れば、米ドル中心、米ド ルの運用資産としては巨大な市場である米国債中心の運用の仕方は基 本的に維持していくべきだ」と述べた。

昨年9月のリーマン・ショック以降、政府は外貨準備から国際通 貨基金(IMF)や国際協力銀行(JBIC)への外貨資金の貸し付 けなどの活用策を講じてきた。玉木財務官は「外貨準備は有効に使う。 直接市場介入でなくても、IMFやJBICの活動原資になることが 経済、市場の安定につながる形で使われるのであれば、それは外貨準 備も目的に沿っている」との認識を示した。

ロシアやブラジル、中国などの新興国はIMFの「特別引き出し 権(SDR)」建て債券の購入によって外貨準備の多様化を図ろうとし ている。これについて、玉木財務官は「SDRは通貨ではなく、一種 の通貨引換券。通貨構成が多様化されても、それ自体が第3者との取 引に使われるわけではない。特別の意味はない」と述べ、外貨準備の 運用多様化の議論と直接関係はないと指摘した。

世界経済、深刻な状況変わらず

一方で、玉木財務官は足元の世界経済について「深刻な状況は変わ りない。一部、下げ止まりの兆候があるとのムードがあるが、必ずし も一貫してそうした指標がそろっているわけではない。全体として状 況は非常に厳しい。この先、経済がどう動いていくか見通しは難しい」 との見方を示した。その上で、各国が講じてきた景気刺激策の「出口 戦略」を「直ちに実行できる状況にはない」と語った。

高い成長率を維持している中国やインドなど新興国の世界経済に おける役割については「G7と規模で比べても、インドと中国の2国 で世界経済を支える状況にはない。新興市場国が好調な状況が続いた としても、先進国が早く安定的な経済成長路線に戻ることなくして世 界経済の安定はない」と語った。

新興国の台頭を受けて世界経済の表舞台がG7から20カ国・地域 (G20)へと移行しつつあるとの見方もある。これに対し、玉木財務 官は「G7は進んだ経済・金融市場を持つ大きな経済グループで、引 き続き重要な役割を果たしていく。G7かG20かという二者択一では ない」と強調した。

その上で、「国際的に議論すべきテーマによって、どういうメン バーが一番最適かは変わってくる。幾つかの枠組みが重層的にさまざ まなテーマを議論する場として確立してくる状態への過渡期的な状態 にあるのではないか」との見方を示した。

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