ピカソの素描盗難事件、仏当局の捜査続く-美術館の警備問題浮き彫り

今年6月にパリのピカソ美術館か ら盗まれた美術界の巨匠、パブロ・ピカソの素描33点を含むスケッチ ブックの行方は依然、分かっていない。ピカソ美術館は、改修工事の ため来月から2年間の休館に入る予定だ。

パリ検察当局のイザベル・モンターニュ報道官は、今もパリ警視 庁の特別窃盗チームが捜査を継続しているこの盗難事件について、「あ らゆるシナリオが考慮されている」と述べた。

1917-24年に鉛筆で描かれた素描33点が収められたこのスケッ チブックは、6月8日に鍵のかかった展示用ガラスケースから盗まれ た。盗難直後、事件の詳細と画像が国際刑事警察機構(インターポー ル)の187カ国から成る警察ネットワークに届けられた。

8月23日に休館するピカソ美術館は、入館者の増加に備えるほか、 セキュリティーの改善などを図り2000万ユーロ(約26億円)を投じ 全面改修を始める。仏国内ではこのところ、美術館からの盗難や所蔵 品の破壊が数件起きていた。世界的にも美術館人気が高まるにつれ、 所蔵品の警備が一段と難しくなっている。

仏国内の事件

フランスでは、2007年8月に南部ニースの美術館に武装した男ら が押し入り、クロード・モネやアルフレッド・シスレーなどの作品を 強奪する事件が起こった。その10カ月後、絵画を転売しようとしてい たグループはマルセイユで逮捕され、作品は車内から無事発見された。

また、07年10月にはパリのオルセー美術館に5人のグループが 夜間侵入し、モネの風景画「アルジャントゥイユの橋」を傷つけ、10 センチの裂け目を作った。

仏文化省で美術館のセキュリティー問題を担当するセルジュ・ル ルー氏は、「盗難のリスクがほとんどない美術館を設計することも可能 だが、入館者にとって面白みのないものになるだろう」と指摘。「すべ てをガラスケースの中に収めることになるだろうが、悪評を呼ぶに違 いない」と説明した。

インターポールによると、フランスは昨年、29件の美術館盗難事 件を報告。イタリアからは21件の報告があった。ただ、インターポー ルは、各国によって基準が異なる上に、英国など報告しない国もある ため、各国の数を比較するのは難しいという。

美術品犯罪

ピカソのスケッチブックが盗まれたことを仏警察が確認した翌日 には、インターポールがスケッチブックの画像と情報をデータベース に入力した。データベースには3万4000点の行方不明の美術品の情報 が収められており、加盟国の当局は自国から利用することができる。 このデータベースだけが長く行方が分からなくなっている美術品を特 定できることから、美術品犯罪と戦う重要な武器となっている。

インターポールの芸術作品コーディネーター(リヨン在勤)のカ ールハインツ・キント氏は「盗品はある時点で必ず、売りに出される。 盗んだ者や仲介者は金を得たいからだ」と指摘する。

インターポールは現在、文化施設や美術品専門家、それに収集家 もパスワードでデータベースにアクセスできるようにすることを計画 している。

キント氏は、「美術品市場が自覚し、いくらかの責任を引き受ける」 べきだと述べた上で、「責任とは、出所に疑いのある品を売買する前に 用心することを意味する」と強調した。

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