横綱の国に眠る天然資源、モンゴル首相が2兆円の支援期待

来日中のモンゴルのサンジャー・ バヤル首相は、国内鉱物資源開発のため今後5年間で、海外から250 億ドル(2兆3400億円)の投資が必要との見解を明らかにした。朝青 龍、白鵬2人の横綱ら幕内力士10人を輩出する相撲大国が国内に眠る 世界最大規模の天然資源の開発支援を日本に求めた。

バヤル首相は16日、麻生太郎首相との会談に先立ち、ブルームバ ーグ・ニュースの単独インタビューに応じ、「年間で1件以上の大規模 な開発を行う。そのために毎年50億ドルの投資が必要」と述べた。こ れは、2008年のモンゴルの国内総生産(GDP)約30億ドルを上回 る規模。

バヤル首相と麻生首相は16日夜、原子力分野に関する協力文書に 調印した。ウラン鉱山開発や原子力分野などの人材育成などで協力す る。日本企業が参入しやすいようにモンゴルの鉱業法の運用などにつ いても今後協議していく。

日本からモンゴルへの投資案件は少ないが、バヤル首相は、「日本 のような環境に配慮する技術を持つ国の投資が重要だ」と語り、日本 からの投資に期待感を表明した。

外務省によると、日本からモンゴルへ援助は1991年以降、年間 50億円の無償資金を供与しているほか、2007年度には新ウランバート ル国際空港建設で288億円の円借款を供与した。今年6月30日には、 国際協力機構(JICA)が世界的な金融危機で財政難に陥った途上 国の貧困層対策を支援する緊急円借款として、約29億円を低利融資し た。

銅や金など鉱物資源が総輸出額(08年25億ドル)の7割以上を 占めるモンゴルは財政状況が厳しくなっている。07年の経済成長率は

10.2%、08年は8.9%だった。しかし、昨年9月のリーマンショック 後、鉱物資源価格が急落したことから09年は2.7%まで落ち込む見通 し。財政収支も悪化し、国際通貨基金(IMF)は3月、総額で2億 2400万ドル相当の緊急融資を決めた。

世界最大級の金・銅資源

世界3位の鉱山会社、英・オーストラリア系リオ・ティントが未 開発の金・銅鉱床としては世界最大級と評価しているオユトルゴイ鉱 山では、カナダのアイバンホーマインズ社との間で投資契約締結を目 指し協議中。アイバンホーマインズ社によると、埋蔵量は金が4520 万オンス、銅が789億ポンド。

バヤル首相は金・銅に加え、将来はウランも主要な輸出産品に加 える方針で、「ウラン開発では、20億-30億ドル程度の投資が必要」 と述べた。07年現在、モンゴルのウラン埋蔵量は6万2000トンと世 界の1%程度にとどまるが、国際原子力機関(IAEA)の資料によ ると、未探査地域には世界最大のオーストラリアの124万3000トンを 上回る139万トンが埋蔵されている可能性がある。

ウラン開発

独立行政法人、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC) によると、モンゴルのウラン開発は1990年代後半に旧ソ連への出荷が 停止して以来、止まっている。現在は地球温暖化対策としての原子力 発電再評価から、燃料としてのウランへの関心が高まり、ロシア、フ ランス、中国が触手を伸ばしている。

ウランなど核燃料のコンサルティングを手がける米トレードテッ ク駐日代表、田上雄司氏は「日本にとっては調達先の多元化という点 で意義があるとは思う」としながらも「ウラン鉱石から燃料へ加工す る技術をモンゴルが有しているかどうか不明だ。輸出するまではどの くらいの期間がかかるか全く予想できない」と述べた。

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