民主・福山氏:2010年度予算概算要求は「ご破算」(Update1)

民主党の福山哲郎政調会長代理 (参院議員)はブルームバーグ・ニュースのインタビューに応じ、民主 党が政権を獲得した場合の2010年度予算編成について「概算要 求はご破算にする」と述べ、現政権が決めた概算要求基準(シーリン グ)にはとらわれずに党の方針に沿った形で進める考えを明らかに した。

インタビューは15日に行った。福山氏は「もし政権を担うことに なれば、マニフェスト(政権公約)で掲げた政策のプライオリティー (優先順位)を高くして予算を組むということがわれわれの使命だ」と 明言。その上で、10年度からの実施を目指す具体的な施策として、 揮発油税などの暫定税率の廃止、子ども手当(月額2万6000円)の 一部実施などを挙げた。

麻生太郎内閣は7月1日、10年度予算のシーリングを閣議了 解。一般歳出の上限額は52兆7000億円で、各省はこれに基づ き、8月末までに10年度予算の概算要求を財務省に提出する。

民主党は参院での与党過半数割れを実現した07年の参院選マ ニフェストに農家への戸別所得補償制度、1人月額2万6000円の 「子ども手当」の支給、高速道路の無料化などを盛り込んだ。福山氏 によると、衆院選で同党はマニフェストをこれらの政策の「集大成」と して掲げる予定だ。

福山氏は、農家への戸別所得補償などその他の独自政策につ いては、次の総選挙で当選する衆院議員の任期4年の間に順次実 施する方針を強調した。

一連の政策を実行するための財源については「特別会計と一般 会計で計約210兆円前後ある中で、人件費、公共事業費、施設 費、委託費、補助金などがだいたい70兆円。そういった中で例えば 1割5分削れば10兆円出てくる」と歳出を徹底的に見直すことでね ん出できるとの見方を示した。

民主党の独自政策を実施することによる経済効果について福山 氏は、「子ども手当の創設や暫定税率の廃止などで家計の可処分所 得が上がり、これによって消費が増えることを期待している。これまで の外需頼みの日本経済を内需も拡大していくことで下支えをしてい きたい」と語った。

また、今国会で成立した経済危機対策を実現するための2009 年度補正予算に盛り込まれた施策については「まったく意味のない 無駄なものもある。減額補正ということも考えなければいけない」と述 べ、国立メディア芸術総合センターの建設費用(117億円)など一部 の執行を見送る考えも明らかにした。

政策研究大学院大学の飯尾潤教授は民主党の子ども手当など の経済政策について、「中長期的には自民党よりは市場融和的な政 策だ。直接支払いによって受け取る人が使い方を自由に決められ る。間接的に利益集団にばらまくのと本人に直接渡すのとは経済的 な意味は違ってくる」と語った。ただ、歳出削減に関しては「真剣に 考えないと大変なことがあちこちで起こる可能性がある。どこを切る のか分からないから危ない」と熟慮を求めた。

一方、第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミストは、子ど も手当の経済効果について「消費喚起にはなるが、全員に均等に配 るとサービスなどの費用が高騰し、低所得の人が優遇されなくなるリ スクがある」と指摘。その上で、「所得制限を設けた方がこうした教育 費のインフレは起こりにくくなるかもしれない」と話していた。

財政健全化目標明記は見送りへ

基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化など財政再建 目標をマニフェストに掲げることに関しては、「実現のリアリティの感 じられないプライマリーバランスの話をすることは今の段階ではいい とは思わない」と見送る方針を示した。

この問題では直嶋正行政調会長も15日の記者会見で、「財政 規律を保っていくというのは非常に重要だ」としながらも、現時点で 目標を設定することについては「今年度の税収がどれぐらいになる かよく分からない。09年度の税収の状況をある程度、見込みをつけ ないことには、その先のことについてはなかなか判断しずらい」と否 定的な考えを表明している。

福山氏は、長期金利の上昇懸念については「長期金利の動向は 常にウオッチをしなければいけないと思う」としながらも、「アクセル とブレーキを一緒に踏むようなことが本当に足元の日本経済にとって いいのか。マーケットはそのことを本当に望んでいるのかを考える と、そんなことはないと思う」と語った。

状況次第で秋に経済対策も

福山氏は47歳。大和証券などを経て1998年に参院京都選挙 区から出馬し、初当選。現在2期目。初のマニフェスト選挙となった 2003年の総選挙でマニフェスト準備委員会事務局長を務めた。現 在は民主党「次の内閣」官房副長官も務め、総選挙のマニフェスト作 りに関わっている。

現在の経済情勢について同氏は「まだはっきりと好転していると 言い切れない状況だ。先行きに対してはまだ危機意識を持ってい る」と指摘。さらなる経済対策を検討する可能性については「秋の経 済状況によっては考えなければいけないが、できればいらないで済 むような経済の復調が見られることをわたし自身は望んでいる」と述 べた。

--取材協力:小坂紀彦Editor: Hitoshi Sugimoto, Tetsuki Murotani

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