TB利回りは上昇傾向、需給懸念が顕在化-緩和長期化で需要減退へ

国庫短期証券(TB)利回りが上 昇傾向になっている。国債大量償還に伴う資金流入が一時的で終わり、 大量発行に伴う需給懸念が再び顕在化しているためだ。日本銀行が景 気の先行きに慎重な見方を続けるなか、金融緩和の長期化観測から中 長期債に買い安心感が出て、TBは利回り対比で需要が減退している。

日銀がこの日実施したTB買い切りオペは、在庫を抱えたディー ラーの応札が殺到。4000億円の通知に対して2兆7162億円の応札が 集まり、応札倍率は6.79倍と前回(5.78倍)をさらに上回った。

落札利回り格差は店頭売買参考値より1ベーシスポイント(bp) 高く、利回り水準は0.16%台が中心。業者間取引では、36回債(償還 10月5日)が0.165%、37回債(償還2010年1月12日)は0.16%で 取引され、3カ月物の買い手は0.16-0.165%に上げている。

東短リサーチの寺田寿明研究員は、「本来の需給バランスの悪さが 顕在化してきた」という。発行額は3カ月物が毎週5.75兆円、2、6 カ月物は毎月3.5兆円、1年物は毎月2.3兆円と大量。一方、CP(コ マーシャルペーパー)など民間企業債務を担保とした日銀オペの導入 で、銀行の担保としてのTB需要は減少している。

需給を軽視

TB3カ月物利回りは7月初旬に0.14%まで低下した。しかし、 国内証券のトレーダーは、投資家の需要を無視した積極的な応札には 違和感があり、日銀の資金供給をあてにして、発行量の多さが甘く見 られていたという。

日銀は連日、国債買い現先オペや共通担保オペで潤沢な資金を供 給しており、レポ(現金担保付債券貸借)も低位安定するなか、ディ ーラーは在庫を積み上げることができた。しかし、利回りが低下する と投資家の需要はさらに減少し、在庫拡大にも限界が近づいている。

大手銀行など投資家は、9月期末までに償還する期内物のTBを 購入する一方、期末を越える銘柄の購入は、利回り対比で慎重。さら に、期内物も売却する動きも見られ、「中長期債に資金がシフトしてい るのではないか」(東短・寺田氏)という。

好需給相場にリスクも

日銀は15日の金融政策決定会合で、9月期末に期限が来る企業金 融支援策を12月末まで延長。「先行きの金融、経済情勢には不確実性 が高い」(白川方明日銀総裁)とした。政策委員が示す消費者物価指数 (生鮮食品を除く、コアCPI)の前年度比の見通しは、2009年度が マイナス1.3%、10年度はマイナス1%と、物価下落が続く。

国内大手投信投資顧問のファンドマネジャーは、来年度も利上げ は見通しづらい状況で、銀行はTBの購入を減らし、2年物など中期 債を買いやすくなっているという。TB3カ月物と2年債の利回り格 差も一時10bp以下に縮小するなど、中期債利回りの低下が加速した。

もっとも、利回り曲線の出発点に近いTBの金利上昇は、中期債 から長期債まで影響を与えるリスクもある。大手投信のファンドマネ ジャーは、TBが変調をきたすと、国債全体の好需給相場が崩れる可 能性もあるとして、今後の動向を注視している。

CP市場のゆがみ

一般企業が発行するコマーシャルペーパー(CP)市場では、需 給良好に伴う金利の低位安定が続いた。最上位格付けa-1プラスの 電機メーカーが3カ月物を0.15%台半ばで発行し、新発TB3カ月物 とほぼ並んだ。

日銀が企業金融支援特別オペの期限を12月末まで延長し、企業の 資金繰りに安心感が強まったうえ、資金需要も減退し、CPの発行は 目先、減少する可能性がある。一方、この日の同特別オペ(期日10 月8日)の応札は1兆円を超え、総残高は7兆2582億円に増加。オペ によるCP金利の下げ圧力も続いている。

市場では、CPの需給環境は大きくゆがんでいるとの声が多い。 日銀の受入担保残高を見ると、企業金融支援特別オペなどに使われる CP(短期社債)が3.3兆円程度まで持ち込まれ、CP買い現先オペ の残高2.7兆円程度を合わせると、6兆円規模のCPが日銀に持ち込 まれている計算になる。これは事業法人によるCP発行総額の半分に 達する。

国内大手銀行のCPディーラーは、日銀はCP金利低下の行き過 ぎを認めつつも、総合判断として企業金融支援オペを現状のまま継続 せざるを得なかったという。このため、目先はTB利回りが上昇する 形で、CPとの「官民逆転」が復活する可能性が高まった。

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