日銀の企業金融支援継続でターム金利は低位安定-時間軸効果

日本銀行が企業金融支援特別オペ を含む企業金融支援策の延長を決定したことで、短期金融市場では、 ターム(期日)物金利が低位安定するとの見方が強まっている。低金 利がしばらく続くとの「時間軸」効果が意識されているためだ。

日銀はこの日の金融政策決定会合で、9月末に期限が来るCP(コ マーシャルペーパー)と社債の買い入れ、企業金融支援特別オペを12 月末まで延長した。企業金融オペは民間企業債務を担保に3カ月物の 資金を0.1%で無制限に供給するため、特にターム物金利の押し下げ 効果が強い。

みずほ銀行市場営業部の安西文博調査役は、延長は予想通りとし たうえで、「景気は下げ止まったといっても力強い回復には懐疑的で、 日銀は機動的に対応を続けていく姿勢だろう。低金利の時間軸効果は 2年債あたりまで十分に浸透している」という。

日銀政策委員が示した実質国内総生産(GDP)見通しの中央値 は、4月時点に比べ、2009年度がマイナス3.1%からマイナス3.4% に、2010年度もプラス1.2%からプラス1.0%に下方修正され、景気 の先行きに慎重な見方を強めている。

継続は織り込み済み

与謝野馨財務・金融相は14日の会見で、「CPは十分市場で消化 できる態勢になり、社債市場も機能回復した」としながらも、「日銀は 危機対応としてのCPや社債買い入れの窓口だけは開けておいた方が よいのではないか」と発言していた。

セントラル短資の金武審祐執行役員は、「日銀は企業短期経済観測 調査(短観)の内容を確認したうえで、すでに延長を決めていたので はないか。市場も織り込んでおり、8月の会合を待たずに発表した」 とみる。6月調査の短観では、資金繰り判断DIがマイナス12と、引 き続き「苦しい」との回答が多かった。

CP市場では、最上位から2番目a-1格付けのノンバンク・リ ース会社が発行する6カ月物が0.3%を割り込んでいる。償還が年末 を越えるが、企業金融支援特別オペの延長を既に織り込み、0.1%の低 利の資金調達を前提に取引されている。

東短リサーチの関弘研究員は、「企業の資金繰りには、先行きまで かなり安心感を与えており、資金需要自体も減退するなかで、CPは 低下基調が続きやすい」という。

「機動的」に対応か

一方、セントラル短資の金武氏は、CP金利の過度な低下などの ゆがみや、その悪影響を指摘したうえで、「日銀は政策の出口も意識し ているのではないか」とみる。

3カ月物のCPを見ると、最上位格付けa-1プラスの電機メー カーが0.16%割れで発行したほか、日本政策金融公庫の政府保証CP は0.15%を割り込んだ。一方、信用力が最も高い国庫短期証券(TB) は0.155-0.16%程度で、信用リスクプレミアム(上乗せ金利)を反 映していない。

企業金融支援策の延長期間は来年3月末までの6カ月間が予想さ れていたが、12月末までの3カ月間に短縮された。今後の景気動向を 見極めながら「機動的に対応」(金武氏)していく姿勢を示した形だ。

6カ月間の延長を見込んでいたユーロ円3カ月金利先物では、 2010年3月物以降の期先限月に売りが強まる場面も見られた。国内証 券のトレーダーは、海外中央銀行が出口政策を議論するなか、日銀も 出口を探りたいのが本心と指摘し、市場参加者に一定の「緊張感」も 与えたという。

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