果物価格総崩れでも“独り勝ち”バナナ-輸入が過去最高更新の勢い

景気低迷の影響を受けて青果物の価 格や販売が落ち込む中、バナナの価格は逆に上昇し、独り勝ちとなって いる。簡単に食べられる手軽さに加え、ダイエットにも適しているとい うのが人気の秘密。月間輸入量の拡大も続いており、年間では過去最高 を更新する勢いだ。

国内で消費するバナナはほぼ全量を輸入している。財務省の統計に よると、2008年のバナナ輸入量は109万トンと8年ぶりの過去最高と なった。今年1-5月も前年同期比34%増の54万トンと大幅に伸びて おり、2年連続で過去最高を更新するペース。

農林水産省の統計によると、国内の果実全体の1キロ当たり平均卸 売価格(2008年)は前年比9%安の257円と4年連続で前年割れ。ミカ ンが6%安の195円、リンゴが12%安の212円と下落する中、バナナ は8%高の149円と独り勝ちだ。それでも価格水準は低い。第一生命経 済研究所の永浜利広主席エコノミストは、08年度のバナナ販売は個人 消費を777億円押し上げたと試算する。

バナナは今後も伸びていく商材

バナナ輸入取り扱い最大手でシェア3割を占めるのが青果物販売 大手のドール(東京都千代田区)。08年の輸入量は前の年に比べて15% 増の約33万トン。大滝尋美エグゼクティブマーケティングスペシャリ ストは「包丁を使わず手でむける簡単なバナナは値段もお手ごろで食事 の代用品にもなる。まだ伸びていく商材」と語る。

住友商事は40年前からフィリピンで現地企業との合弁でバナナ農 園を展開。昨年の輸入量は26万トンと前年比で27%伸びた。取り扱い シェアは26%。青果流通事業部の西久保克彦・輸入青果チームリーダ ーは「2-3年内のシェアトップを目標にしており、フィリピンでの新 植地を少しずつ増やしている」と述べる。

住商グループではフィリピンから韓国や中国、中近東などへもバナ ナを輸出しているが、国内需要の拡大を受けて日本向けの割り当て分を 拡大。それでも小売店側からの要望に、住商フルーツの清野達也マーケ ティング部長は「100%応じ切れていない」と語る。

食品スーパーのマルエツでは、バナナの売上高が昨年度下期(9- 2月)には前年同期比で2倍弱に拡大。今年3-5月も1.5倍と販売好 調が続く。関西圏を地盤とするスーパーのイズミヤでもバナナの販売は 6月も2けたの伸びが続いている。昨年9月から10月にかけては前の 年に比べて2倍の売り上げで品切れ状態になったというが、広報担当の 角由久氏は「今年の9月以降も高い水準のまま推移するだろう」と話す。

見逃せない「バナナ」ダイエット効果

そもそもバナナ人気に火を付けたのは、昨年前半にダイエットに効 果的とテレビや雑誌など多くのメディアで紹介されたのがきっかけ。ぶ んか社が昨年3月に出版した「朝バナナダイエット」はシリーズで95 万部を突破する大ベストセラーに。日本バナナ輸入組合によると、ご飯 1杯分の消費カロリーが252キロカロリーに対し、バナナ1本では86 キロカロリーと約3分の1の低カロリーだ。

メタボ、つまりメタボリック症候群という言葉が人口に膾炙(かい しゃ)して久しいが、最近では豚のように肥えるという意味の「ブタボ」 という造語まで登場。ダイエットは洋の東西を問わず、今や男性も含め た現代人共通の関心事。家計にも健康にも優しい食材として価値が見直 されている。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE