米BOA:メリル資産への政府保証で手数料支払い回避狙う-賛否両論

米銀バンク・オブ・アメリカ (BOA)は、買収したメリルリンチの資産をめぐる損失についての 政府保証の手数料の数十億ドルについて政府に支払うことを回避しよ うと模索している。合意書が正式に署名されていなかったことや、結 局、保証合意に基づく政府の損失肩代わりは必要でなかったことを理 由としている。

規制当局は、1月に合意された40億ドル(約3700億円)の手数 料のうち少なくとも一部については、BOAに支払い義務があると主 張している。法的な文書への署名が完了していなかったにしても、メ リルが持つ住宅ローン担保証券など約1180億ドル相当の資産につい て、BOAは米政府からの暗黙の保証によって支援を受けたという論 法だ。事情に詳しい複数の関係者が匿名を条件に明らかにした。

BOAは資産規模と預金額で米銀1位。ブラッド・シャーマン下 院議員(民主、カリフォルニア州)は「チェックを切らずに保証につ いて道義上、政府の言質を得た。つまり、金を払わずに何かを得たと いうことだ」として、「政府がリスクを負うのなら、政府は支払いを 受けるべきだ」と話した。

議員らは政府の金融機関救済で、納税者が正当に報われているか という点を問題視している。また、BOAによる1月のメリル買収に なぜ公的支援が必要だったかについても疑問を呈する。政府はBOA のケネス・D・ルイス最高経営責任者(CEO)がメリルリンチ買収 合意を撤回するのを阻止するため、200億ドルの資本注入と資産保証 を行った。

関係者の1人によれば、BOAが政府から支払いを求められる手 数料の額は当初の合意の40億ドルよりは少なくなる見込み。

別の関係者は、政府保証プログラムをめぐる最新の解釈はBOA が17日に決算を発表する際に明らかにされる可能性があると語った。 ブルームバーグ・ニュースがまとめたアナリスト予想平均では、BO Aの2009年4-6月(第2四半期)純利益(調整済み)は前年同期 比31%減の24億4000万ドルが見込まれている。

関係者によると、BOA、政府双方ともに合意書が正式に署名さ れなかったことや、政府保証が実際には行使されなかったことを認め ている。BOAの広報担当者と財務省の報道官はコメントを控えた。

ルイスCEOは昨年12月に、メリルの四半期損失が150億ドル を超えるもようとなったことを受け、買収合意の撤回をほのめかした。 政府はこれに対応し保証プログラムを提供した。BOAはこの保証に ついて今年1月に、17年ぶりの四半期赤字決算とともに発表した。 発表文では政府保証について「合意」と形容していた。

財務省とBOAの文書によれば、この合意では、連邦準備制度理 事会(FRB)と財務省、連邦預金保険公社(FDIC)が融資債権 や住宅ローン担保証券などの金融商品について10年間に発生し得る 損失の一部を肩代わりすることがうたわれていた。問題資産の大半は メリルの資産だった。

BOAの1月の発表によれば、同行が損失の最初の100億ドルを 負担し、その後発生する分は政府機関が90%を肩代わりするとして いた。BOAはこれらの資産額の3.4%を保証料として支払うことに なっていた。

財務省の資料によれば、合意は、BOAが優先株とワラント(新 株予約権)の形で40億ドルを支払い、さらに一部の資産に関して年 20ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)を支払う内容。BOA は政府が合意すれば任意の時期に、交渉によって決定される「適切な 手数料」を支払って保証契約を終了できることになっている。

同文書は、合意が09年1月15日の時点に当事者間で成立したと しているが、関係者は財務省が広範な金融危機への対処に追われ交渉 が長引いたと語る。5月になると信用市場が改善し、BOAは交渉を 打ち切る方針を投資家に伝えた。損失がBOA負担分の100億ドルを 上回る可能性は小さくなっていた。バーナンキFRB議長は6月25 日の議会証言で、この合意は「完結されなかった」と述べた。

アーカンソー大学のティム・イエーガー教授は、投資家は1-5 月にかけて政府保証の合意が有効であると信じていたのだから、BO Aは少なくとも合意額の3分の1の13億ドルを支払うべきだとの見 解を示した。一方、ヘッジファンド、ヒルタウンゼント・キャピタル のゲーリー・タウンゼント社長は、合意書に「署名しなかったのは政 府の責任」だとしてBOAに支払い義務はないとの見解を示す。ただ、 「政府との取引には本質的に、相手方がどんなことでも、こちらに不 利なように勝手に操作できるという不公正さがある」と付け加えた。

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