円が午後上昇、衆院解散決定受けた株安でリスク回避姿勢強まる

東京外国為替市場では、午後の 取引で円が上昇した。麻生太郎首相(自民党総裁)が衆議院解散の意 向を示したことが伝わると、政局の先行き不透明感を背景に株安が進 行。リスク資産の圧縮に伴い円に資金を戻す動きが強まった。

ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドのヘッド・オブ・FX ストラテジー・ジャパンの山本雅文氏は、東京都議会選挙の結果を受 けて、総選挙での民主党勝利が予想されるが、政権の運営には懸念が あると指摘。政局の「不確実性がいったんリスク資産からの資金引き 揚げにつながっている」としたうえで、株がマイナスで反応したため、 円が買われやすいと説明している。

ユーロ・円相場は午前の取引で米株価指数の先物や日本株がプラ スに転じる局面で、1ユーロ=129円88銭まで円安が進行。しかし、 午後は株価が下落幅を拡大する展開となったことから、128円9銭ま で円が値を戻している。

ドル・円相場は午前に1ドル=92円95銭まで円が売られる場 面もみられたが、午後は92円10銭まで水準を切り上げている。

また、午後の取引ではドルの買い戻しも活発化。ユーロ・ドル相 場は一時1ユーロ=1.3898ドルと、前週末のニューヨーク時間午後 遅くに付けた1.3936ドルからユーロ安・ドル高が進んでいる。

政局混迷でリスク資産の圧縮に

麻生首相はこの日、首相官邸での政府与党連絡会議などで、7月 21日の週に衆院を解散し、8月30日に総選挙の投開票を行う方針 を表明した。

12日に投開票が行われた都議会選では、民主党が54議席を奪 取して第一党に躍進。自民、公明の連立与党は過半数割れとなった。

RBSの山本氏は、政権交代に絡む材料を背景に日本の資産が売 られてどんどん円安になるという感はないと指摘。むしろ、全体的に 「リスク資産の調整モード」になるなかで、株安を通じて、クロス・ 円(ドル以外の通貨と円の取引)の売りにつながりやすいという。

米企業決算を警戒

一方、米国ではあす14日のゴールドマン・サックス、インテル、 ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)などを皮切りに、企業の 決算発表が本格化する。

企業業績の悪化が再確認された場合は、リスク回避圧力が強まる 可能性がある。ただ、予想外に業績の底堅さが示されれば、株価の押 し上げ要因となり、円から高金利通貨に資金が向く展開もあり得る。

みずほ証券の林秀毅グローバルエコノミストは、米企業決算につ いては来期をどうみているかという点に市場の目が移行している感が あると指摘。金融機関は厳しい状況が続く可能性がある一方で、「ハ イテク関連などは新興国需要の伸びが期待できる」としている。

また、今週は米国で小売売上高などの経済指標や連邦公開市場委 員会(FOMC)の議事録も発表される。

林氏は、世界景気の減速懸念が戻るなかで、需要減少の思惑を通 じて原油相場の下落基調が強まり、株価が上昇する要因も見当たらな いとして、リスク回避に伴う「円高懸念」が根強いとみている。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE