新興市場、54%急落の悪夢再演か-07年10月以来の高値で(Update1)

(6パラ目以降に株価指数動向や市場関係者発言を追加します)

【記者:Adria Cimino and Michael Patterson】

7月13日(ブルームバーグ):新興市場の株価が前回、これほ どの高値まで買い進まれたのは、2007年10月のことだ。MSC I新興市場指数はその直後から下落に転じ、1年で時価総額の半分 が失われることになる。

ブルームバーグがまとめた週間データによれば、新興22カ国 の株価動向を反映するMSCI新興市場指数は、株価収益率(PE R)で見ると、構成企業の1株当たり年間税引き後純利益の15.4 倍で取引されており、これはS&P500種株価指数の14倍を上回 る水準。MSCI新興市場指数は、前回PERがS&P株価指数を 上回った翌年に54%急落している。

グルパマ・アセット・マネジメント、パラティン・アセット・ マネジメント、スタンダード・ライフ・インベストメンツの資産運 用3社は、このPERの格差について、世界的な景気下降局面で、 投資家らが中国からインド、ブラジルに至る新興諸国の株式に高す ぎる代価を支払っていることを意味すると指摘する。

MSCI新興市場指数は今年4-6月期(第2四半期)に 34%上昇した後、構成企業の純資産の1.7倍の水準に達しており、 これは先進23カ国の株価と連動するMSCI世界指数の1.5倍 を上回っている。

揺らぐ自信

パラティン・アセット・マネジメントで55億6000万ドルの 資産管理に携わるファンドマネジャー、マシュー・ジュリアーニ氏 は「新興市場の株式にはリスクがある。それほどの価格は成長の対 価としてのみ正当化される」としている。

投資家らは株価上昇が続くことへの自信のなさを既に見せ始め ている。MSCI新興市場指数は6月1日の年初来高値から

8.3%下げており、下落ペースはMSCI世界指数(7.4%)とS &P500種(6.8%)をいずれも上回っている。EPFR・グロー バル(米マサチューセッツ州ケンブリッジ)によれば、7月8日に 終了した週には、新興市場ファンドからネットで5億4000万ドル (約500億1260万円)の資金が流出し、過去3週間で2度目の 純資金流出となった。

ブルームバーグのデータによれば、新興市場国は株価の上昇に 伴い、過去12カ月の配当利回りが2.97%前後と、先進国の

3.49%を大幅に下回る水準。また、MSCI新興市場指数は、構 成企業の売上高の1.1倍、キャッシュフローの6.7倍の水準で取 引されており、MSCI世界指数の0.8倍と4.3倍をいずれも大 きく上回っている。

新興市場は脆弱ではない

グルパマ・アセット・マネジメント(パリ)で1190億ド ルの資産管理を手掛けるロマン・ボシャー氏も「景気回復ペースの 鈍さと比較して株価上昇のスピードは速過ぎた。バリュエーション (株価の評価)は現在高く、それは下落の可能性に通じる。新興・ 途上国市場にはリスクがある」と話す。

これに対し、カルミニャック・ジェスシオンで280億ドルの 資産管理に携わるエリック・ルコズ氏は、新興市場国は今年プラス 成長が見込まれる唯一の場所であり、株価のプレミアムを正当化す る理由があると指摘。「過去において新興市場は脆弱(ぜいじゃ く)だったが、現在はそうではない」と述べている。

1983年以降2度にわたって対外債務のデフォルト(債務不履 行)に陥り、99年には通貨切り下げを余儀なくされたブラジルは 現在、米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)とフィッチ・ レーティングスが「投資適格」に格付けし、ムーディーズ・インベ スターズ・サービスも今月、投資適格に引き上げる方向で見直すと 発表している。

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