円が下落幅縮小、株価にらみで方向感乏しい-米企業決算を警戒

午前の東京外国為替市場では、 円が下落幅を縮小。米株価指数先物など株価動向をにらみながらの展 開となるなか、株価がマイナスに転じたことから、比較的金利の高い 通貨から、円に資金を回帰させる動きが戻る格好となった。

みずほ証券の林秀毅グローバルエコノミストは、今週は米国で、 小売売上高などの経済指標や連邦公開市場委員会(FOMC)の議事 録に加えて、企業決算が発表されるが、景気見通しの重しになる可能 性があると指摘。世界景気の減速懸念が戻るなかで、需要減少の思惑 を通じて原油相場の下落基調が強まり、株価が上昇する要因も見当た らないとして、リスク回避に伴う「円高懸念」が根強いと説明してい る。

午前の取引では、米株の先物や日本株がプラスに転じた局面でリ スク回避の動きが緩和。やや円に売り圧力がかかり、ユーロ・円相場 は1ユーロ=129円88銭まで円安が進行。しかし、その後は株価が マイナスに沈んだため、円売りが鈍り、128円台後半まで値を戻して 推移した。

また、ドル・円相場も、クロス・円(ドル以外の通貨と円の取 引)の円売りが波及して、一時1ドル=92円95銭まで円安が進行 したものの、その後は92円50銭近辺まで円が水準を切り上げてい る。

海外市場はリスク回避に圧力

前週末の米株式市場では、ダウ工業株30種平均が一時8100ド ルを割り込む場面も見られ、週間ベースで4週連続の下げとなった。

ニューヨーク原油先物相場も、世界的なリセッション(景気後 退)がエネルギー消費を抑えるとの見方を背景に下落。リスク資産か らの資金引き揚げ傾向が意識されやすい展開となった。

外為市場では、投資家のリスク回避姿勢が強まると、低金利の調 達通貨とされるドルと円から資源国や高金利の通貨に向いていた資金 の還流が起こりやすくなる。

さらに、7月のロイター・ミシガン大学消費者マインド指数(速 報値)が64.6と、前月の70.8から低下するなど、指標の弱含みも 目立っている。

前週末の海外市場でドル・円相場は一時91円79銭と、2月17 日以来、約5カ月ぶりの円高値を更新。ユーロ・円相場も一時127 円82銭と、2営業日ぶりの水準まで円が上昇していた。

米企業決算を警戒

そうしたなか、米国ではあす14日のゴールドマン・サックス、 インテル、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)などを皮切り に、企業の決算発表が本格化する。

企業業績の悪化が再確認された場合は、リスク回避圧力が強まる 可能性がある。ただ、予想外に業績の底堅さが示されれば、株価の押 し上げ要因となり、円から高金利通貨に資金が向く展開もあり得るこ とから、週明けの取引では慎重な姿勢が強まる公算がありそうだ。

みずほ証の林氏は、米企業決算については来期をどうみているか という点に市場の目が移行している感があると指摘。金融機関は厳し い状況が続く可能性がある一方で、「ハイテク関連などは新興国需要 の伸びが期待できる」とみている。

国内政局の影響は不透明

一方、12日に行われた東京都議会議員選挙では、民主党が54 議席を獲得して第一党に躍進し、過半数割れとなった自民、公明の連 立与党との政権交代が現実味を帯びてきた。

三菱UFJ証券クレジット市場部為替課長の塩入稔氏は、民主党 の勝利は予想通りで、衆議院選挙を経て新しい内閣が決まるまで為替 市場では「材料視されない」と説明している。

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