債券相場は堅調、米金利低下や株安が支え-8月衆院選の影響は限定的

債券市場では先物相場が堅調(利 回りは低下)。米国では景気不透明感から長期金利が低下基調にあるほ か国内株価が午後に一段と下落したことが支えとなった。8月30日に 次期衆院選が行われる見通しとなったことの影響は限定的だった。

岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長は、民主党が政権 を取った場合には諸々の政策に対する財源の問題から、市場は国債増発 への不安を抱きがちだとしながらも、「1カ月以上も先の選挙に向けて 今すぐ需給懸念を織り込んで動くのは無理な話だ」と指摘した。

東京先物市場の中心限月9月物は前週末比7銭高い138円91銭で 始まり、開始後いったんは138円76銭まで下げた。その後は10日の終 値を挟んで小動きが続き、午後には株安を手がかりに138円93銭まで 上昇したが、取引終盤にかけては再びもみ合い推移して、結局は5銭高 の138円89銭で引けた。日中の売買高は1兆1656億円だった。

先物9月物は6月半ば以降に右肩上がりの上昇となったが、前週後 半からは139円乗せの手前で足踏みとなっている。米債相場の上昇基調 が続いていることが買い材料視される一方、最近の国内債券市場の金利 低下ピッチが速かったことから現物買いが一段落したためだ。

また、この日午後には麻生太郎首相が来週以降に衆院を解散し、総 選挙を8月18日公示、30日投開票の日程で実施する方針を示したこと も、相場の方向感を乏しくする一因となったもようだ。

12日の東京都議選(定数127)では、民主党が前回の34議席から 大幅増の54議席を獲得して第1党に躍進する一方、自公両党合わせて も過半数の64議席に届かない61議席だったため、次期衆院選において も民主党有利の展開を予想する見方が増えている。

株式相場は民主党政権への不安などを背景に売り込まれたが、債券 市場は比較的に冷静に受け止められていた。RBS証券の市川達夫チー フストラテジストは、民主党政権のばらまき的な政策への懸念は、中長 期的な需給不安を強めるとしながらも、「今年度については税収減や経 済対策の観点から、自民、民主どちらでも年後半の増発は必要との見方 に変更はない」といい、新たな売り材料だとみていなかった。

新発10年債利回りは1.30%

現物市場で新発10年物の302回債利回りは、前週末の終値と同じ

1.295%での横ばい推移が続き、午後2時前からは1.30%で取引されて おり、午後4時20分現在でも1.30%で推移している。

302回債利回りは9日に1.27%まで低下して、新発10年債として 3カ月半ぶりの低水準を記録したが、その後は1.30%を中心に小動き が続いている。

衆院選が8月に実施される見通しとなると株式相場は政策の停滞を 懸念する見方などから下落した。一方、債券相場は横ばい圏でもみ合い が続いたが、みずほ証券の三浦哲也チーフマーケットアナリストは、現 在の現物市場はやや買われすぎの領域にあるといい、「来週の20年債 入札までには調整が入り、10年債は次回入札で利率が1.4%に決まる水 準の1.3%台後半に上昇してもおかしくない」との見方を示した。

ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは2年債の0.2%前 半や5年債の0.6%半ばといった水準を、これまでと同様に買い進む展 開は想定しづらいといい、「16日の5年債入札と前後して金利低下が 一段落しそう」と指摘していた。

日銀は金融政策据え置きか

日銀が14、15日に開催する金融政策決定会合において、政策金利 を現行の0.1%前後から据え置かれるとの見方が有力で、RBS証の市 川氏は債券相場が日銀関連の材料で動くことはないと予想している。

一方、9月末に期限が到来するコマーシャルペーパー(CP)と社 債の買い入れ、企業金融支援特別オペに関して、今年度末まで半年の延 長を決める可能性が高いとされる。ドイツ証の山下氏は、企業金融支援 措置が延長となれば1年未満の短い年限がしっかりする場面がありそう だが、債券市場に直接的な影響が及ぶことはないとみている。

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