米国債の供給懸念後退、景気回復期待消失で10年債応札好調

米国では年内の景気回復期待が消 えうせたことから、国内の債券投資家が10年物米国債の買いを急い でいる。

米国債利回りが10月以来の高水準に達してから1カ月経過し、ブ ラックロック(ニューヨーク)やフランクリン・テンプルトン・イン ベストメンツ(加州サンマテオ)などの資産運用会社は米国債相場に 一段と強気な姿勢に転じている。消費者マインド指数の低下や株価下 落に加え、失業率が10%に向かって上昇しつつあるため、過去最大規 模の国債入札による供給過多懸念は打ち消されている。バークレイズ によると、1-6月(上期)の9630億ドルに加え、年末までにさら に1兆1000億ドル(約102兆円)の国債入札が実施される見通しだ。

10年物と2年物の国債利回り格差は6月5日に過去最大の2.81ポ イントを付けたが、投資家が比較的割安な長期国債を買い進めたため、

2.41ポイントに縮小した。利回り格差が拡大するのは、景気回復を見 込む投資家が経済成長に伴うインフレ加速リスクの見返りを求める時 だ。

1280億ドルの債券を運用するフランクリン・テンプルトンの債券 運用委員会の共同委員長、マイケル・マテラッソ氏は「景気動向を一 段と懸念する声が聞こえ始めている」と指摘する。同氏によると、過 去2週間でフランクリンは、景気拡大時にリターンが国債を上回る傾 向のある社債の保有を縮小する一方で、償還まで約10年の国債の保 有を増やした。

応札倍率

BGキャンター・マーケット・データによると、190億ドル相当の 10年物国債入札に対する需要が過去最高となるなか、指標10年物国 債(表面利率3.125%、2019年5月償還)利回りは先週、20ベーシス ポイント(bp、1bp=0.01%)低下し3.30%となった。価格は1 20/32上昇の98 16/32。

7月8日の10年物国債入札の応札倍率は3.28倍と、前回6月10 日の2.62倍から上昇し、過去10回の入札の平均である2.38倍を上回 った。マテラッソ氏は10年物と2年物の利回り格差が2ポイントに 縮小すると予想している。

ブルームバーグが実施した調査の予想中央値によると、10年物と 2年物の利回り格差は2010年までに2.35ポイントに縮小する見通し。 1カ月前の調査では中央値は2.48ポイント、5月調査では2.15ポイ ントだった。

昨年までは、10年物と2年物の利回り格差は2003年8月の2.74 ポイントが最大だった。同年7-9月期に米経済成長率は7.5%に急 上昇していた。

メリルリンチの指数によると、7月の10年物国債のリターンは現 時点で2%と、米連邦準備制度理事会(FRB)が最大3000億ドル の国債買い取り方針を発表した3月以降で初めてプラスとなっている。

向かい風

投資家が米国債を再び積み増している背景には、7月の消費者マイ ンド指数が5カ月ぶりに低下したことや、6月の失業率が9.5%と、 前月の9.4%から上昇したことがある。

ブラックロック(債券運用額4740億ドル)の米国債共同責任者の スチュアート・スポデック氏は、「米経済は依然、雇用情勢やインフ レに関してかなりの向かい風に直面している」と指摘した。

米経済の年内回復論への疑念は外国為替市場の動きに表れており、 円は対ユーロで6月5日に付けた今年の安値1ユーロ=139円22銭か ら129円に上昇している。円は通常、投資家が円で借りた資金で高利 回り資産を買う取引を解消する際に上昇する傾向がある。

RBSセキュリティーズの国債戦略責任者、ウィリアム・オドネル 氏は10日付の顧客向けリポートで、「ユーロ円相場などの良く知ら れたリスク回避の指標は上昇を強く示唆し続けている」と述べ、「今 春に浮上したグリーン・シュート(新芽)論の根拠の強さを投資家が 疑問視している兆候がある」と指摘した。

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