月例報告:景気判断を3カ月連続上方修正-持ち直しの動き

林芳正経済財政担当相は13日夕、 7月の「月例経済報告」を関係閣僚会議に提出、景気の基調判断につ いて「厳しい状況にあるものの、このところ持ち直しの動きが見られ る」とし、3カ月連続で上方修正した。前月は「一部に持ち直しの動 き」と表現していたが、今月は、前向きな動きが個人消費などにも広 がっているため判断を引き上げた。

基調判断の3カ月連続の上方修正は、2002年3月から5月にかけ て引き上げて以来7年2カ月ぶり。個別項目では、個人消費、公共投 資、輸出、輸入、企業の業況判断の5項目を上方修正した。先行きに ついては「在庫調整の一巡や経済対策の効果」に加え、海外経済環境 の改善により「景気は持ち直しに向かう」ことを期待している。

今年1-3月期の国内総生産(GDP)は前期比年率14.2%減と 戦後最悪となったが、政府は6月の月例経済報告で、輸出と生産の持 ち直しから、景気が底打ちしたとの認識を示した。内閣府の外郭団体 の社団法人・経済企画協会が9日発表した民間エコノミスト40人を対 象としたESPフォーキャスト調査(回答期間6月25日-7月2日: 回答数36人)によると、4-6月期の実質成長率は年率1.98%と、 前月調査の1.63%から上方修正された。

林経財相は関係閣僚会議後の記者会見で、日本経済の状況につい て「交通事故に遭って入院し手術を終わったが、今からじっくりとリ ハビリをして元気になっていかなればならない時期だ」と述べた。そ の上で、現状は「景気回復と言える状況には至っていない。慎重に経 済運営をしていかなければならない」との認識を示した。

個人消費が持ち直し

月例経済報告では、個人消費について「このところ持ち直しの動 きが見られる」とし、前月の「弱い動きになっているものの、一部に 下げ止まりの兆しも見られる」から判断を2カ月連続で上方修正。内 閣府が需要側と供給側の統計を総合して指数化した消費総合指数は、 5月に前月比0.6%上昇と3カ月連続でプラスとなっている。

政府によるエコカー購入に対する減税・補助や環境対応型の家電 製品に付与されるエコポイント制度の導入により、自動車とテレビを 中心に個人消費をけん引している。内閣府が実施したヒアリング調査 では、6月についても自動車や家電の販売は好調だという。さらに外 食にも持ち直しの動きが見られ、これは定額給付金の支給による効果 が出ている可能性があるとしている。

内閣府政策統括官付参事官の西崎文平氏は、個人消費について「足 元で政策の効果が出ている」としつつも、「これが一時的な浮揚に終わ る可能性もある」述べ、慎重に見極めていく姿勢を示した。さらに西 崎氏は、厳しい雇用・所得環境や海外経済の動向などリスク要因など を指摘し、景気が「2番底に陥るリスクは依然として小さくない」と の認識を示した。

欧米景気の底入れ期待が後退

月例報告ではまた、世界的な金融危機や世界経済の下振れ懸念に 加え、最近の株価の下落や円高傾向などを念頭に「金融資本市場の変 動の影響」を新たにリスクの要因として加えた。

林経財相は株安の背景については、欧米景気の底入れ期待が後退 していることを指摘し、円高の背景には「質への逃避」があるのでは ないかとの見解を示した。ただ、円高や株安が継続した場合、「マイン ドや、実質的に輸出にマイナスの影響を与えることが懸念されるので、 注意深く見ていかなければならない」と語った。

内閣府の西崎氏は景気回復の条件として「民需の持ち直しの動き が広がるかが基本だ」とした上で、①設備投資や住宅投資に下げ止ま りの動きが出てくること②個人消費が政策効果後にはく落しないこと -などを具体的に挙げた。

アジア向け輸出が好調

月例報告では輸出について「持ち直している」とし、前月の「持 ち直しの動きが見られる」から4カ月連続で判断を引き上げた。アジ ア向け輸出数量が、半導体部品、化学、自動車部品などを中心に4カ 月連続増加しているほか、米国・欧州向け輸出数量も下げ止まってい る。輸入についても「下げ止まりつつある」とし、前月の「緩やかに 減少している」との判断から2カ月連続で判断を引き上げた。

また、公共事業については「堅調に推移している」と、2カ月ぶ りに上方修正。業況判断については、日本銀行の企業短期経済観測調 査(短観、6月調査)で大企業の景況感が2年半ぶりに改善したこと を受け、06年7月以来3年ぶりに上方修正した。一方、生産について は「持ち直している」、雇用情勢は「急速に悪化しており、厳しい状況 にある」、設備投資は「大幅に減少している」とし、それぞれ前月から 判断を据え置いた。

海外経済に関しては、「景気は後退しており、引き続き深刻な状況 にあるが、アジアを中心に持ち直しの動きが見られる」とし2カ月ぶ りに上方修正した。ただ、先行きについては「金融危機と実体経済悪 化の悪循環により、下振れリスクがある」との表現は踏襲した。

Editor:Masaru Aoki,Hitoshi Ozawa

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