【今週の債券】堅調か、景気懸念で運用資金流入が継続-1.2%半ばも

今週の債券相場は堅調(利回りは 低下)な展開が見込まれる。景気の先行き不透明感の強まりを背景に、 機関投資家が運用資金を債券に振り向ける流れが継続しそうだ。新発 10年債利回りは3月以来となる1.2%台半ばに低下する可能性がある。

三井住友海上火災保険投資部の高野徳義グループ長は、今週の相場 は底堅い展開を予想している。「米系金融機関の決算発表が警戒されて おり、円高・株安などリスク回避的な動きになりやすい。景気の楽観見 通しがさらに打ち消される可能性がある。景気の二番底が意識されるよ うになれば、10年債利回りは目先1.2%に近づく方向だろう」という。

今週の新発10年債利回りについて、10日夕までに市場参加者3人 に聞いたところ、全体の予想レンジは1.25%から1.35%となった。予 想の下限となる1.25%まで低下すれば、3月下旬以来の低い水準とな る。前週末の終値は1.295%だった。

前週の債券相場は上昇。機械受注統計を受けて景気懸念が強まり、 運用資金が中短期債に流入した結果、2年債と5年債利回りは3年超ぶ りの低水準に達した。10年債利回りは一時1.27%まで低下した。みず ほインベスターズ証券の落合昂二シニアマーケットエコノミストは、 「需給悪化懸念が後退し、代わって景気の不透明感が台頭してきたこと で、投資家の待機資金が長期ゾーンへと流入した」と説明した。

こうした強い相場の地合いが続きそうだが、さすがに足元の金利低 下に対する警戒感も出ている。日興シティグループ証券の佐野一彦チー フストラテジストは「9日に10年債が1.27%に低下してからは売り買 いが交錯しており、一方向的な強気相場には陰りが見られる」と言う。

こうしたなか、日本銀行が14、15日に金融政策決定会合を開く。 金融政策は据え置かれる見通しだが、今回は9月末に期限を迎える企業 金融支援策の期限延長を決めるかどうかが注目される。佐野氏は、日銀 は金融緩和からの出口政策を探り出したとの指摘を避けたい意向だとし たうえで、「基本的には年度末まで延長される可能性が高い。ただ、市 場はそれをすでに織り込んでいる」と説明した。

12日に投開票された東京都議会選挙については、民主党が第一党 に躍進し、自民、公明の連立与党は過半数割れに追い込まれた。麻生太 郎首相の交代や次回衆院選挙で民主党政権が誕生する可能性が高まって いる。債券市場の反応としては、国政選挙でないため影響は限定的で、 株式や為替動向次第との見方が一般的だ。

5年債入札に注目、クーポン引き下げ

需給面では、16日に実施される5年利付国債の入札が注目だ。前 週末の入札前取引では0.67%程度で推移しており、表面利率(クーポ ン)は前回債より0.2ポイント低い0.7%が見込まれる。発行額は前回 債から3000億円増額の2兆3000億円程度。

日興シティグループ証の佐野氏は、「新発5年債利回りは2005年 9月以来の水準に低下しており、入札への不安は残る。ただ、不調とな って利回りが上昇すれば、すかさず投資家の買いが入ると期待される」 とみて、相場を崩す要因になる可能性は低いという。

市場参加者の予想レンジとコメント

10日夕までに集計した市場参加者の今週の予想レンジは、以下の 通り。先物は中心限月9月物、新発10年国債利回りは302回債。

◎三井住友海上火災保険投資部・高野徳義グループ長

先物9月物138円30銭-139円20銭

新発10年債利回り=1.26%-1.35%

「底堅い展開か。米系金融機関の決算発表が警戒されており円高・ 株安などリスク回避的な動きになりやすい。景気の楽観見通しがさらに 打ち消される可能性がある。5年入札は利回り水準が0.7%を下回り、 銀行の需要が注目されるが、資金が余っているのも事実。景気の二番底 が意識されるようになれば、10年は目先1.2%に近づく方向だろう」

◎三菱東京UFJ銀行円貨資金証券部・中山憲一次長

先物9月物138円00銭-139円00銭

新発10年債利回り=1.25%-1.35%

「米国金融機関の決算発表が注目される。原油など商品市況下落や 円高が続くかも引き続き重要で、外部要因に振らされる展開が続く見込 み。5年債入札はクーポンが0.6%か0.7%になりそうだが需要はある と思う。日銀会合では企業支援策に関心が高い。同条件で継続するか何 らかの修正があるか、長期的な日銀の政策を見極めようとするだろう」

◎大和住銀投信投資顧問・横山英士ファンドマネジャー

先物9月物138円40銭-139円10銭

新発10年債利回り=1.27%-1.33%

「長期金利は1.3%を中心に神経質にもみ合う。先週後半に2年債 はじめ短い年限が再び買われたことで、長期ゾーンに関しても売りにく さが強まろう。5年債入札についてもいまの相場環境からは相応に買い 余力があり、無難な結果になるとみている。一方、20年債の2%割れ では金利の絶対水準で動く投資家の買い需要が細るのではないか」

--取材協力:赤間信行、池田祐美、船曳三郎 Editors:Tetsuzo Ushiroyama,Hidenori Yamanaka

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