【日本株週間展望】調整一巡し反発へ、業績と景況見直し-政局意識も

7月第3週(13-17日)の日本株 相場は、調整一巡感から反発が見込まれる。世界的な景気回復トレンド を受けて業績改善が予想される企業を中心に下値での買いが増えそう。 東京都議会議員選挙で連立与党が過半数割れとなったことで、政権交代 への期待から民主党政権誕生で恩恵を受けそうな業種も人気化する可能 性がある。

大和住銀投信投資顧問の門司総一郎投資戦略部長は、「経済指標は 市場予想より低いが、経済の基調は回復している。相場は下げが続いて いるが、上昇トレンドの転換ではない」と指摘。短期間に一方的に下落 した反動もあり、日経平均株価は9500円を上回るだろうと予想する。

第2週の日経平均終値は、前の週に比べ5.4%安の9287円となっ た。米企業業績への不安や為替の円高が不安視され、輸送用機器や非鉄 金属、鉄鋼、金融株を中心に幅広い業種が下落。日経平均は10日の取 引で、昨年7月に記録して以来の8日続落となった。

第3週は景気動向に対する関心が高まりそうだ。経済統計では米国 で14日に6月の小売売上高、15日に鉱工業生産、中国でも6月の小売 売上高や鉱工業生産の発表が予定される。15日に明らかになる米連邦 公開市場委員会(FOMC)議事録で、経済見通しが上方修正されるか どうかも焦点になりそう。

2日に発表された米雇用統計で非農業部門雇用者数の減少が予想以 上となって以降、景気回復に対する信頼感が低下、市場では景気の方向 性を見定めたいとのムードが広がっている。一方で、国際通貨基金(I MF)は8日に2010年の世界経済成長率見通しを2.5%と、4月時点 の1.9%から上方修正した。米供給管理協会(ISM)非製造業景況指 数や独の鉱工業生産など良好な指標も出ている。

ブルームバーグの事前調査によると、米中の6月鉱工業生産は改善 が予想されている。東海東京調査センターの隅谷俊夫投資調査部長は、 「悪い景気指標も出たが、良い指標も散見され、相場が本格調整に発展 するリスクは小さい」との見方。株価が調整した後だけに、景気が改善 傾向にあることが示されれば、好感される可能性はある。

米インテルやゴールドマンが決算

8日のアルコアから始まった米国の4-6月期業績発表は、金融機 関を中心に発表が相次ぐ。14日にはインテルやゴールドマン・サック ス・グループ、15日はウェルズ・ファーゴ、16日にはグーグルやJP モルガン・チェース、17日はシティグループやバンク・オブ・アメリ カ(BOA)などが予定されている。

ブルームバーグがまとめたアナリストの予想平均は、米S&P500 種採用企業の4-6月決算は34%減益、7-9月が21%減益となって いる。1-3月は33%の減益だった。BOAのアナリストは、ゴール ドマンの4-6月利益がアナリスト予想を上回るとの見通しを示した。 大和証券SMBCグローバル・プロダクト企画部の高橋和宏部長による と、「金融機関の決算で悪い話が出てこなければ、リスク回避的な動き が収まり、円高が一服することも考えられる」という。

景気指標や企業業績が改善を示せば、足元で売られた業種を中心に 見直し買いが入ると想定される。8日続落期間中で、東証1部の業種別 指数の下げが大きい上位10業種は、その他金融、空運、石油・石炭製 品、海運、証券・商品先物取引、鉱業、鉄鋼、不動産、非鉄金属。この ほか、リスク回避の動きが和らぎ円高が一服すれば、輸送用機器や電気 機器なども上昇する公算が大きい。

9000円前後まで値幅調整も

日経平均は6月12日の高値1万170円から調整局面に入り、7月 1日から10日まで8日連続安となった。高値から10日終値までの下落 率は8.7%、25日移動平均からのかい離は4.9%に達した。みずほ投信 投資顧問の岡本佳久執行役員は、「景気に対する期待値が高過ぎた。米 国で追加の財政政策への期待感が出てこなければ、株価の値幅調整は続 くだろう」と警鐘を鳴らす。

ただし、春には日経平均9000円が上値の壁になった経緯から、同 水準を上回った現在は反対に下値として意識されやすい、と岡本氏は強 調。「さらなる悪材料が出てこなければ、9000円を大きく下回ること はないだろう」と見ていた。

東京都議選で与党が過半数割れ

12日に投開票された東京都議会議員選挙では、民主党が54議席を 奪取して第一党に躍進した。自民、公明の連立与党は過半数割れに追い 込まれた。共同通信は13日未明、麻生太郎首相は衆院の早期解散に踏 み切る意向を固め、自民党幹部らに12日夜に伝えた、と報じた。

市場では「自民党と公明党の獲得議席が過半数の64に届かなけれ ば、一気に自民党の早期総裁選実施への流れが加速するのではないか」 (クレディ・スイス証券の市川眞一チーフ・マーケット・ストラテジス ト)との声が出ていた。

メリルリンチ日本証券は8日、民主党政権が誕生した場合の株式市 場への影響についてリポートをまとめた。それによると、民主党政権の 政策は中低所得者を中心とした内需拡大を目標にするため、全般に内需 株が好まれるだろうと分析。トラック会社や社会保障関連、教育関連、 出産・育児関連、環境関連企業にとってポジティブだと見る半面、JR や建設会社、人材派遣会社などにはマイナスになると予想している。

【市場関係者の当面の日本株相場の見方】
●みずほ証券投資情報部の瀬川剛エクイティストラテジスト
  「7月はマネーフローに変化が起きやすい注意月だが、ここまでの
激変は想定外。海外勢はいったん利益を確定、国内勢は政局不透明感を
意識して様子見なのだろう。当面株式市場の梅雨空は続く。03年の反
騰相場は日経平均が4月28日安値から47%上昇してその後の高値を付
けたが、今回は45%の上昇にとどまった。03年時は半値押し水準を下
回らなかったが、今回はどうなるか。半値押し水準は8700円前後」

●岩井証券・イワイリサーチセンター長の有沢正一氏
  「景気回復期待から相場は上昇してきたが、直近は経済指標などで
冷や水を浴びせられた。スピード調整だったのか、トレンドが変わった
のかを見極める上で、今週の動きは重要。ただ、日経平均で1万円以上
を買っていく材料はない。下値不安はないが、手詰まり感が出ている。
個人消費の回復が長引きそうななか、不況に強い小売や飲食銘柄の一角
の上昇はまだ続きそうだ」

--取材協力:鷺池秀樹、常冨浩太郎

Editor:Makiko Asai、Shintaro Inkyo

参考画面: 記事についての記者への問い合わせ先: 東京 長谷川 敏郎 Toshiro Hasegawa +81-3-3201-8361 thasegawa6@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net 東京 Darren Boey +852-2977-6646 dboey@bloomberg.net

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